マルチサイクル・デザインの時代 ~100年ライフのキャリアを考える~分析5 ファーストキャリアに着眼してみた(3)

分析⑤-3

「師匠やロールモデル」との出会いが、
キャリア展望を拓いていました。

仕事人生の始まり。学校生活を卒業し仕事が始まるとともに、ライフスタイルも大きく変わります。初めての職場、初めてのことに直面し、たくさんの人と出会うことになります。今回の調査からは、ファーストキャリアにおいて「仕事のやり方や仕事に取り組む姿勢」に強く影響を与えた人がいたか、が現在のキャリア展望と強く関係していることが明らかになりました。影響を受けた人が多ければ多いほど、キャリア展望スコアは高まっています。このシンプルな図式が物語るのは、キャリアの第一段階において「影響を受けた人」を見つけることの重要性です。

ステージ①で「影響を受けた人」はどこにいたのでしょうか。まずは自分の会社。「職場の上司」や「チームのリーダー」といった日ごろ関わる人だけでなく、「直接の上司ではない先輩」や「社長・会長」まで、実に会社のなかの様々なところに“師匠”や“ロールモデル”はいました。さらに、「影響を受けた人」は会社や職場だけとは限りません。調査の回答からは「学生時代の友人」「バイト先の先輩」「お客様」から「父・母」「夫・妻」など、私生活で関わる人まで含めて非常に多様な回答が寄せられました。

実は、全回答者のうちの半数の人が「ステージ①で影響を受けた人はいなかった」と答えています。ファーストキャリアにおける師匠やロールモデル探しは、簡単なこととは言えません。しかし、現在ステージ①にいるすべての人の回りにも社内外問わず師匠やロールモデルになりうる人はたくさんいます。飲み会も残業も減ったと言われる昨今ですが、それはそれだけいろいろな人の話を聞く自由な時間が増えているということ。探して、そして、この人だ!と思ったら、 勝手に弟子入りしてしまうぐらいの気持ちで、行動してみてはどうでしょうか。
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text:古屋星斗
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版