HR Technology 2019プログラマティック求人広告

広告枠を自動買付し、ターゲットに求人広告を配信

Programmatic Job Advertising
代表的なサービス

プログラマティック広告は、オーディエンスや地域といったターゲティングをソフトウェアがリアルタイムのデータに基づいて自動で行い、広告枠を自動買付し、ターゲット層に適した広告を適切なタイミングで配信するしくみの総称である。広告を表示するページが読み込まれる瞬間に自動的に競売が行われ、最高金額で入札した広告主がその枠に広告を表示する権利を得る。この最新の消費者マーケティングのしくみを求人広告にも適用し、企業の採用マーケティング予算を最適化するサービスが米国で近年増えている。

最新のHRテクノロジーマップでは、前回の「ジョブマーケティング&ディストリビューション」を2つに分割し、ジョブマーケティングの代わりに新たにこの「プログラマティック求人広告」のカテゴリーを設けた。企業は、数多くのメディアの中からサイトを複数選び、求人広告を一括して自動掲載する。メディアごとにアカウントを新規作成し、求人広告の掲載料金を支払い、広告を掲載するという手間を軽減できる。このしくみは「ジョブディストリビューション」と同じだが、プログラマティック求人広告サービスの場合は、企業が職種や地域、入札価格の上限(例:広告表示1回あたり0.2円)や1日あたりの求人広告の予算の上限(例:1日あたり最大10万円)と、応募者数などの目標値を事前に設定すると、RTB(リアルタイム入札)で広告枠を自動的に買い付け、求人広告を自動配信する。求人広告の予算内で目標値を達成できるよう効果的に予算を配分し、目標値に満たない場合は自動的に入札価格を引き上げ、目標値に達した場合は入札を自動停止する。ジョブボードだけでなく、検索エンジン、SNS、動画サイト、ニュースサイトにも広告を掲載する。

1人の求職者が同じ求人広告を見る回数に上限を設けたり、広告配信時間や曜日を指定する機能もある。どのメディアを選べばいいか分からない企業には、広告効果が高いと予測される最適なメディアミックス(様々な広告媒体の組み合わせ)を提案するサービスもある。どのメディアに求人広告を掲載すれば多くの閲覧者や応募者を集められるのか、といった広告効果を示すアナリティクスサービスも提供する。

人事との関連性

求人広告の掲載は以前は、広告を一定期間掲載し、応募がなければ再度料金を支払い掲載期間を延ばす掲載課金型のジョブボードが主流だった。現在ではGoogleなどの検索エンジンに見られるリスティング広告へと拡大しているが、リスティング広告の運用は手間がかかる。広告予算の配分やキーワード、地域、入札単価の設定が必要だ。また、求人広告の掲載を停止する最適なタイミングを知るには、常時モニタリングしなければならない。プログラマティック求人広告サービスを利用することで、広告の運用を自動化できる。

ターゲットとする求職者がどのメディアを利用しているのかを把握するのも容易ではない。特に国外で人材の採用を始める場合、各国の求人メディアに関する知識が必要不可欠だが、どのメディアが求人広告の掲載に最適かが分からない。また、広告を出稿する契約の手続きなど、実際に採用活動を始めるまでに時間がかかってしまう。プログラマティック求人広告サービスを利用することで、広告効果の高い各国のメディアに短時間で広告を掲載することができる。

サービス例

1.Appcast:プログラマティック求人広告サービスの代表的な会社

応募課金型のプログラマティック求人広告サービス「Exchange」を提供する。インターネット利用者の地域や職種別ネット閲覧データを収集・分析し、求職者がプライベートや仕事で頻繁に利用するジョブボード、ジョブボード・アグリゲーター 、SNSなど約1万種類のサイト(Glassdoor、Indeed、Monster、Jobs2Careers、LinkUp、Snagajob、ZipRecruiter、XINGなど)を特定。その中からアルゴリズムで企業がターゲットとする求職者層が多く利用するサイトを特定し、自動入札機能で各求職者に合った求人広告を自動配信する。応募手続きの途中に離脱した求職者が閲覧する別のサイトにディスプレイ広告を表示するリターゲティング広告や、応募手続きを完了した求職者と似た属性や行動をするサイト未訪問者に対して広告を配信するオーディエンス拡張の技術も持つ。顧客はHP、Lyft、PwC、Citi、FedEx、Informatica、AT&T、Bridgestone、Hodesといった大手企業や人材サービス会社約750社。

2.VONQ:欧米のメディア約2,000社と提携

オランダの会社。パートナー契約を結ぶジョブボード、ジョブボード・アグリゲーター、コミュニティサイト、SNS、eコマースサイト、ニュースサイト(Facebook、GitHub、LinkedIn、Indeed、CareerBuilder、Monster、Dice、Instagram、Google、YouTube、Twitter、Spotify、Stack Overflow、StepStone、Adzuna、Reed.co.uk、Financial Times、The Guardianなど)といった欧米の主要メディア約2,000社の中から、企業が自社のニーズに合ったメディアを複数選択すると、求人広告を一斉配信する。企業が業種、職種、求める人材のスキルや経験年数、学歴といった応募条件を入力すると、AIでターゲット層が多く利用するメディアを特定し、メディアミックスを提案する。求人広告の閲覧数や応募者数といった広告効果の予測データを提示するサービスもある。顧客はCoca-Cola、Oracle、Deloitte、BMW、DaVita、NetApp、HubSpot、Schouten & Nelissen、Wilgaerdenなど。

ビジネスモデル(課金形態)

企業がサービス事業者に求人広告の配信料を支払う
企業がプログラマティック求人広告プラットフォームに求人広告の予算や応募者数などの目標値を入力すると、ソフトウェアがターゲット層に最適な広告を配信する。企業は、広告の配信料を支払う。課金形態は、1件の応募ごとに料金が発生する応募課金型(Appcast)、広告がクリックされるごとに料金が発生するクリック課金型、一定期間の求人広告の掲載に対して料金が発生する掲載課金型(VONQ)などがある。企業や人材サービス会社に1カ月間一定料金でプログラマティック求人広告を自動配信・管理できる月額料金制のSaaS運用システムを提供しているところもある(Recruiticsなど)。

今後の展望

Appcastによると、現在プログラマティック広告は求人広告全体の約25%を占めるという。米国企業の採用マーケティング活動に関するBeameryの調査レポート"State of Recruitment Marketing 2018 Report"によれば、米国企業の77%が採用マーケティングを2018年の最優先事項に掲げている。企業の3分の1(29%)が採用マーケティングプラットフォームを利用していると答えた。また、約半数(49%)が採用マーケティングツールに投資するために2018年の予算を増やす計画だと答えた。限られた予算や時間の中で、広告効果を最大限に高められるプログラマティック求人広告プラットフォームの需要は、今後さらに高まるだろう。

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