HR Technology Trendsスキルアセスメント

特定のスキルを測定

Skill Assessment
代表的なサービス

サイコメトリックアセスメントが性格特性を測るのに対し、スキルアセスメントは特定のスキルの測定に重点を置く。求職者の技能査定のほか、従業員のスキル育成にも活用できる。

スキルアセスメントは多種多様である。IT系では、例えば日本ではIPA(情報処理技術者試験)が、国際的にはGAIT(Global Assessment of Information Technology)が有名だ。採用におけるスキルアセスメントは、採用ツール事業者がオープンソースのプログラミング問題を用意して、登録者が問題を解いて得たスコアをレジュメに記述することが一般的になりつつある。企業にとっても候補者のスキルレベルが明確で分かりやすい。また、企業が面接の前に問題を提示し、得点が高い求職者をリスト化して面接をすることがある。

トップコーダー、ハッカーランク、スタックオーバーフローなどの有名プログラミングサイトでは、プログラマー同士のQ&Aや、各プログラマーやUIデザイナーのコンテストが頻繁に行われており、上位入賞者を採用する企業もある。例えば、コーディングの課題(特定のタスクの遂行に必要なコードの作成を実際に行う)の評価や、求職者がアルゴリズムで書いたコードの質を測定、適切な訓練を受けたことを証明する修了書、スキルを実演させるシミュレーションなど、方法はさまざまある。

人事との関連性

採用時にスキルアセスメントを実施する企業は多い。業界や企業が実施する試験のスコアやコンテストの結果を参考にするのが一般的だが、近年はエンジニアの採用を中心に、より実践的なスキルテストを実施する企業が増えた。レジュメや面接では分かりにくいが、実務能力に長けているなど、即戦力を求める職種での利用価値が高い。

サービス例

  1. TrueAbility:プログラミングスキル測定およびトレーニング
    「能力スクリーニング」、「ジョブスクリーニング」、「証明書発行」、「スキルアップラボ」の4つの機能がある。コーディングスキルの低い求職者は、先にスキルアップラボで学習してからテストに臨める。レジュメに証明書を添付し、テストの点数を記載できる。企業が1次選考としてこのサイトのテストを利用することもある。

  2. Wellhire:さまざまな職種におけるスキルの測定
    事務、HR、マーケティング、営業、IT、法律、財務など多岐にわたる職種のスキル別に100種以上のテストを提供する。求職者はテスト結果をLinkedInとレジュメに掲載できる。テストは1つ目のみ無料で受けられる。また、企業に特化したテストを作成し、それに合格した求職者だけが応募できる仕組みを作れるほか、応募者の中から求人要件にマッチする人材リストの受け取り、SNSのバックグラウンドチェックもできる。

ビジネスモデル(課金形態)

  1. 企業がアセスメント料金をサービス事業者に支払う
    サービス事業者の多くは、応募者がアセスメントを受検するたびに応募先企業へ利用料金を課す。大量に受検した時はディスカウントする。
  2. 求職者がアセスメント料金をサービス事業者に支払う
    求職活動に活かすために求職者が自ら受検する場合は、アセスメント料金をサービス事業者に支払う。

今後の展望

長期にわたり需要がある事業領域である。資格証明書を発行している事業者が多くみられるが、さまざまな証明書が存在し、その基準は標準化されていない。再整備されることで各事業者の統合が進む可能性がある。
正確なスキルアセスメントは重要であり、将来の見通しは明るい。査定の精度が上がれば市場の需要は増加するだろう。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)
石川ルチア

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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