スウェーデンの現場職政策①:職業教育における現場職

2026年07月16日

現場職における人手不足は、日本だけの問題ではない。介護、医療、建設、教育、製造など、社会や暮らしを支える仕事の担い手をどう確保するかは、多くの国に共通する課題となっている。本コラムでは、諸外国における現場職確保の動向を探る一環として、スウェーデンの取り組みを3回に分けて取り上げる。なかでも今回は、同国の職業教育について触れる。スウェーデンの職業教育は現場職の育成だけを目的とするものではないが、現場職の不足が深刻化する社会で、労働市場のニーズに応じた能力供給システムをどう構築するのかという点で、日本が参照しうる点がある。

スウェーデンの労働市場の状況と現業部門の人材不足

日本では労働力不足もあり失業率が低水準で推移しているのに対し、スウェーデンでは比較的高い失業率と人材不足が併存する、構造的なミスマッチが目立つ状況にある。2026年2月の失業率は6.8%(登録失業者数36.0万人)(※1)であるのに対し、2025年の人材不足(仕事があるにもかかわらず、適切な人材を確保できずに業務が行われていない状況に相当する人数)は6.1万人であった。日本と同じ人口規模に換算すれば、約73.2万人の人材不足に相当する(※2)。

不足が目立つのは、IT人材や技術者・エンジニアのほか、介護職員、教育現場の職員、建設分野の大工・煉瓦職人・建設作業員、機械整備・修理工、店舗スタッフなどの現場職である(図表1)。教育水準別には、高等教育を要する職業で約3万人、高校レベルの職業で約2.7万人の不足が確認されており、労働市場の複数の層で、必要な仕事と人材の接続がうまくいかなくなっている。

図表1 人材不足に直面している12の職業グループ(2025年)
人材不足に直面している12の職業グループ(2025年)(注)雇用主が「仕事があるにもかかわらず、適切な人材を確保できずに業務が行われていない」と報告した人数に基づく数字。
(出所)スウェーデン統計局(https://www.scb.se/en/finding-statistics/statistics-by-subject-area/labour-market/labour-force-demand/job-openings-and-recruitment-needs/)

スウェーデンの職業教育と労働市場への適応

このような状況下で、スウェーデンでは、人々が労働市場のニーズに対応した職業スキルを学び直し、円滑に移動することを支える仕組みの見直しが続けられている。

そのひとつが、職業能力供給システムの見直しである。内需の規模が小さく、海外依存度が高い同国では、戦後、賃金インフレを抑制しつつ、低生産性部門から高生産性部門へ労働者の移動を促すことで、経済の発展と人々の生活安定を実現しようとする経済社会モデルが採用されてきた(宮本、1999)(※3)。その後の国際競争の激化や高失業率のなかでモデルの見直しが続けられているものの、円滑な労働移動を社会保障や職業教育によって支え、産業の転換と人々の生活保障を両立させようとする考え方は、現在にも引き継がれている。

現場職の人材確保を考えるうえでも、この点は重要である。介護、建設、教育、製造などの現場職は、単に求人を増やせば人が集まるというものではない。必要な技能を持つ人材をどう育てるか。別の職業からどう移ってもらうか。働きながら学び直す人をどう支えるか。こうした幅広い課題への対応を知る最初の一歩として、今回は同国の職業教育における近年の変革を取り上げたい。

職業教育の中心としての学校

スウェーデンの職業教育は、大きく2つに分けられる。ひとつは、学校システムのなかに組み込まれた職業教育、もうひとつは企業による従業員の能力開発や失業者への公共政策としての職業訓練など、学校外で行われる職業教育である(図表2)。過去スウェーデンでは、労使による企業内教育の拡大が目指された時期もあったが、徒弟教育で身につけた技能の労働市場における評価が十分ではなかったこと、訓練を受けた労働者の離職などの問題から伸び悩み、1960年代以降は、職業教育の主軸が学校教育へと移っていったとされる(※4)。

図表2 スウェーデンの学校教育、学校外職業訓練システム
図表2 スウェーデンの学校教育、学校外職業訓練システム(出所)欧州職業訓練開発センター(European Centre for the Development of Vocational Training:CEDEFOPウェブサイトで公表されている資料より作成(https://www.cedefop.europa.eu/en/tools/vet-in-europe/systems/sweden-u2)

高校レベルの職業教育プログラム (※5)

16~19歳向けの職業教育課程

学校教育における職業教育は、高校レベル(後期中等教育段階)のものと、大学・大学院レベル(高等教育段階)のものに分けられる。このうち高校レベルでは、16〜19歳を対象とした職業教育課程と、20歳以上の成人を対象とするプログラムがある。

前者の課程には、この年齢層のおよそ3分の1が進学しているが、政府がこの課程を重視する一方で、志願者は停滞を続けている(※6)。また、若者が将来の労働需要ではなく現在の興味や職業イメージに基づいて進路を選択する傾向があること、自治体が学生を集めやすく、運営コストが低いプログラムを優先しやすいことなどにより、学生に人気のあるプログラムと企業ニーズが高いプログラムの間にミスマッチが生じていると指摘されている。こうした課題がありつつも、高校レベルの職業教育を修了した若者の就業率は高く(約88%)、若者の職業選択を支えるインフラとして重要な役割を担っている。

自治体による成人向け職業教育プログラム

一方、現場職を中心に、成人の職業スキルの向上および新たな習得を支えているのが、自治体が運営するKomvux(コムヴクス)である(※7)。Komvuxは20歳以上の全ての人に教育機会を無償で提供しており、返還不要または要返還の学生支援を受けることも可能である。教育の中身は、義務教育内容の補完、高校課程の補完、移民向けの語学コース、そして高校レベルの職業教育など多岐にわたる。

このうちKomvuxが提供する職業教育は、主に高校レベルの職業スキルの向上や習得を目指す人にその機会を提供している。スウェーデン教育庁によれば、2025年の職業科目の受講者数は10.5万人(2024年は9.9万人)に上り、なかでも特定の職業に就くための科目を体系化した「職業パッケージ」の受講者は4.6万人(前年は4.3万人)であった(※8)。

2025年の職業パッケージ受講者の内訳を職業領域別に見ると(図表3)、医療・介護領域(のべ2万1078人)が最も多く、子ども・余暇(同5326人)、電気・エネルギー(同4246人)、車両・輸送(同3144人)、レストラン・食品(同2428人)、建設・土木(同2410人)、販売・サービス(同2195人)、産業技術・工業(同2036人)などが続く。領域別の受講者数からは、職業パッケージが医療・介護を中心に、現場職のスキル供給の重要な拠点となっていることがうかがえる。

図表3 Komvuxにおける職業パッケージ受講者の職業領域別内訳(のべ受講者数実績、2025年)
図表3 Komvuxにおける職業パッケージ受講者の職業領域別内訳(のべ受講者数実績、2025年)(注)職業教育パッケージには、国立教育庁の職業パッケージ(全国的な技能要件を満たすために教育庁が基準を定めたプログラム)と地域・ローカル職業パッケージ(各基礎自治体が地元の労働市場や企業のニーズに合わせて独自に設計・調整したプログラム)があり、本図表のデータは両者の受講者の合計数。ごくわずかに両方を受講している人がありうるため文章中では「のべ」と表記している。
(出所)BESKRIVANDE STATISTIK, Elever och studieresultat i kommunal vuxenutbildning Kalenderåret 2025 (https://www.skolverket.se/getFile?file=13425)

労働市場のニーズとのさらなる接続を目指す改革

スウェーデンでは今後、介護、工業、車両整備などの現場職の不足と、大学進学を前提とした普通科卒業生への需要減が見込まれており、高校教育における普通科コースの削減と職業教育充実の必要性が指摘されている(※9)。そこで近年、政府はKomvuxの運営をより労働市場のニーズに直結させるための改革を進めている。

その一例が、2023年7月施行の改正学校法に基づく、自治体の職業教育の見直しである(※10)。この改革では、国が3年に一度、県単位の労働需要やスキル需給の状況を評価し、必要な是正勧告を含む職業教育計画を作成すること、自治体が高校レベルの職業教育やKomvuxの職業教育プログラムの内容や定員計画を策定する際、国の計画に配慮することが義務づけられた(※11)。さらに、住民の選択肢を拡大し、小規模自治体を含めて地域に必要な訓練プログラムを提供するため、自治体に2つ以上の自治体と共同で職業教育パッケージを設計することを義務づけた(※12)。もちろん単なる定員合わせでは、学生の希望と教育機会の間のミスマッチは埋まらない。スウェーデン教育庁は(※13)、専門職の魅力を高めるためのキャリアガイダンスの充実や性別による職業選択の偏りを取り除くための産学官の連携の必要性も指摘している(※14)。

労働市場の需要への対応を重視する高等職業教育(※15)

職業大学(YH)

高等教育段階の職業教育としては、医師や看護師などの専門資格の取得を目指す高等専門学校のほか、1990年代に導入された職業大学(YH)がある。この職業大学は、労働市場のニーズに応じた教育内容であることが明確に求められ、就業経験のある成人を中心に、スキルアップや転職の土台としての職業能力形成の機会を提供している。こうした役割を担保するため、企業や産業界が講義、プロジェクト、実習受け入れなどの面で教育内容に関与するほか、労働市場の変化に応じて、プログラムの新設や廃止が比較的柔軟に行われている(※16)。

職業大学では、ビジネス、管理、営業、製造技術、IT、観光、医療、農業など、数百にわたる幅広い分野のプログラムが提供されている。職業大学で学ぶ学生は公的な奨学金制度の対象となり(外国人は一定の要件あり)、多くのプログラムは無償で提供されている。プログラムの多くは1~2年であるが、近年は、最大6か月の短期コースも設けられている。(※17)。

職業大学の全学生の約80%は、データ・IT、経済・管理・販売、医療・福祉、社会基盤・建築技術、技術・製造の5分野に集中している。2013年以降、その定員はほぼ倍増され、2023年の学生枠は3.5万人となった。内訳を見ると、データ・IT分野の構成比は急速に拡大し、2019年には全体の11%だったものが、2025年には19%にまで上昇している。一方で、経済・管理・販売分野は、2019年の26%から2025年には19%へと低下した(※18)。

日本で大学というと、高校卒業直後に進学するイメージがあるが、スウェーデンの職業大学の学生は、就業経験を持つ成人が中心であり、新たなスキル習得を通じて次のキャリアを切り拓く機会として利用するケースが目立つ。実際、2025年の卒業生の75%は入学前に就業経験を持ち、進学理由として「別の職業に就くため」「すでに仕事は持っているが、労働市場での自分の可能性を高めるため」を挙げる割合が高い(※19)。

短期教育プログラム

また近年、急速に需要が伸びているのが、2020年に導入された社会人向けの短期教育プログラムとしてのKurser(コース)である(※20)。このコースでは学位取得はできないものの、修了科目の成績が付与され、正式な履修実績として認められる。また仕事との両立を想定し、学習形態や学習ペースに柔軟性を持たせて設計されている。

このような工夫もあり、Kurserは長い就業歴を持つ人や、すでに高等教育を受けた人の利用が広がっている。実際、2025年のコース数は614(前年475コース)、入学者は2万5700人(前年から31%増)となった。受講者の年齢層は通常のYHプログラムより高く、入学者の半数以上にあたる54%が40歳以上であった。また、3年以上の高等教育を受けている人の割合は58%で、通常の職業大学の15%を上回る。受講者の98%がオンラインで学んでいる点も、働きながら学ぶ人を支える仕組みとして重要である。

分野別に見ると、経済・管理・販売分野が32%と大きいが、データ・IT分野が約16%、医療・福祉分野が約15%、技術・製造分野が約12%、社会基盤・建築技術分野が約11%を占めている。ここからYHが、現場職の領域での高度な技能習得においても重要な役割を果たしていることが分かる。

労働市場政策としての公共職業訓練

学校システムの内側で行われる職業教育とは別に、労働市場政策の一環として実施されている職業訓練もある。代表的なものが、労働市場庁が管轄する「労働市場訓練」である。この訓練は労働市場で人材ニーズが高い分野への就職を目指す求職者向けの短期職業訓練であり、労働市場庁の委託を受けた学校や非営利組織、民間企業などの研修機関が実施する。対象となるのは、スウェーデン公的雇用サービスに求職者として登録し、一定の基準を満たした人である。申請後、公的雇用サービスが、その訓練内容が申請者に適しているかどうかを検討し、最終的に受講の可否を判断する。訓練期間は、数週間から6か月程度のものが多く、原則としてフルタイムで行われる。制度の性格としては、すでに労働市場から離れている人、または離職リスクの高い人を、需要のある職業へとつなぎ直すための仕組みといえる。

職業教育に関わる組織間連携の推進

労働市場のニーズの変化が急速に進むなか、スウェーデンでは従来以上に精度の高いマッチングの仕組みや、変化に対応できる能力供給システムへのさらなる転換が求められている(※21)。こうしたなか、同国では職業教育をより労働市場のニーズに即したものとするための組織間連携が進められている。2022年に開始された「能力供給と生涯学習に関する政府機関間協働(MSV KLL。以下、組織間協働)である(※22)。この組織間協働には、労働雇用庁、高等職業教育庁、教育庁、経済地域成長庁、大学・高等教育評議会、国民教育協議会、イノベーション庁始め、多くの政府機関が参加している。

組織間協働は、労働市場で生じているスキル供給面での課題を特定し解決策を提案すること、関係機関の連携を促すこと、政策へのインプットを行うことを主な役割としており、これに関する複数のプロジェクトが推進されている。2025年の取り組みの柱は、①教育の予測と規模決定のための分析基盤の確立、②国と地域の連携、③気候変動教育の推進、④STEM教育への参加者拡大、⑤統合されたデータインフラの開発であり、それぞれの成果が公表されている(図表4)。

図表4 能力供給と生涯学習に関する政府機関間協働(MSV KLL):2025年の柱
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図表4 能力供給と生涯学習に関する政府機関間協働(MSV KLL):2025年の柱(出所)RAPPORT 2026 Myndighetssamverkan för en väl fungerande kompetensförsörjning Återrapportering av regeringsuppdrag verksamhetsår 2025より作成

たとえば、①教育の予測と規模決定のための分析基盤の確立では、常設の分析グループが設けられ、教育供給や政策課題を継続的に監視し、検討する体制が整えられている。②国と地域の連携に関しては、国家レベルと地域レベルが戦略的に対話するための会議体が設立された。③気候変動教育の推進については、各機関でバラバラに行われていた取り組みの状況が調査され、ガバナンス面での調整やデータインフラ整備の必要性が示された。
このほか、④STEM教育への参加者拡大では、女性を中心により多くの人が理系分野に向かえるよう、関係機関の取り組み状況マップを作成したほか、理系教員・進路指導員向けのウェビナーが行われている。また、⑤統合されたデータインフラの開発では、教育、職業、業界に関する情報が各機関に分散し、個人や進路指導員にとって使いにくい問題に対応するため、ユーザー中心の情報提供や、教育と職業の接続を示す統計作成の可能性が検討されている。

スウェーデンの職業教育の日本への示唆

ここまで、現場職の確保を軸に、スウェーデンの能力開発システムの動向を見てきた。次回は「人々の職業転換を支える支援制度」を取り上げるが、ここでは小括として、スウェーデンの職業教育に絞り、日本の政策への示唆を整理したい。

第一に、スウェーデンでは、現場職を中心とする労働力不足への対応に向け、能力供給システムの刷新を続けている。たとえば、自治体が運営する成人教育では、国が作成する地域ごとの労働需要の見通しを踏まえて、職業教育の内容や定員を決めることが義務化された。高等職業教育の領域でも、企業が職業大学の教育内容に関与し、労働市場の変化に応じてプログラムの新設や廃止が比較的柔軟に行われている。さらに、社会人向けの短期コースが設けられたことで、より年齢の高い層もスキルを更新しやすくなっている。

第二に、職業教育に関わるさまざまな組織の連携を進め、国全体としてより効率的に能力供給を行うための試行を続けている。労働力不足が深刻な領域ほど、さまざまな取り組みが各所で行われる可能性があるが、それらがバラバラに行われては非効率も生じやすい。スウェーデンの組織間連携を通じて各所の取り組みを整理・調整する仕組みや、データ基盤の整備の取り組みは、日本の職業教育領域での組織間連携においても参照しうる。

第三に、新たなスキル習得に関わる経済的な負担が最大限に抑制されている点である。前述のとおり自治体が運営する職業教育や、大学レベルの職業大学は無償で提供されており、学生ローンの利用も可能である。特に、現場職の人の利用が多い自治体の職業教育は、20歳以上の成人全てに無償で開かれている。このことは、経済的理由から学ぶことが難しい人の職業教育へのアクセスを改善するうえで重要であろう。

なお日本でも、組織間連携を通じて、より労働市場のニーズに即した職業教育の提供を目指す動きや、職業能力開発に関わる個人の負担を軽減する制度の充実が進められている。たとえば、都道府県単位で「地域職業能力開発促進協議会」が制度化されており、地域の関係者や関係機関が集まり、地域の実情やニーズに即した公的職業訓練の設定・実施、訓練効果の把握・検証を行う仕組みも整えられている。加えて、「全国職業訓練実施計画」の策定や専門職大学の創設など、労働市場のニーズを教育訓練に反映しようとする方向への政策展開も見られる。

また、教育訓練給付制度では、厚生労働大臣が指定する講座を受講した場合に、受講費用の一部が雇用保険から給付される。対象となる教育訓練には、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練がある。なかでも専門実践教育訓練には、看護師、介護福祉士、保育士、建築士など、業務独占資格や名称独占資格の取得を目指す課程の一部が含まれ、労働者の中長期的なキャリア形成を支える制度として位置づけられている。

今後は、こうした取り組みをいかに発展させるか、個人主体の職業能力開発の負担をいかに軽減していくか、その機会をどう広げていくかが課題になるだろう。すでに、地域職業能力開発促進協議会で把握されたニーズを踏まえ、都道府県労働局が教育訓練機関や業界団体に教育訓練給付の指定申請を働きかけるといった動きも出ているが、こうした動きの効果と課題を可視化し、広げていくことなどが求められる。

また既存の公共職業訓練や教育訓練給付は、全ての人に開かれた職業教育支援とは言い切れない部分がある。たとえば、公共職業訓練における離職者向け訓練や在職者訓練は、自らの希望や必要に応じて働きながら学び直したい在職者の利用が難しい。教育訓練給付制度は、受講費用の立て替えが難しい人にとっては利用のハードルが存在するほか、雇用保険を基盤とする制度であるため、受給要件を満たせない人もいる。地域で不足が深刻化する現場職など、特定の領域に関わる職業能力形成の機会について、思い切った学習費用の軽減を図ることも検討に値する。

(※1)データはスウェーデン公共職業サービス局「2025年年次報告書」(ARBETSFÖRMEDLINGEN.(2025).Årsredovisning 2025)による(https://arbetsformedlingen.se/om-oss/var-verksamhet/styrning-och-resultat/arsredovisning/arsredovisning-2025)。
(※2)OECD統計によれば、日本の人口は約1.24億人とスウェーデン(約1050万人)の約12倍であり、ここでは単純に12をかけることで日本における労働力不足の相当数を算出した。
(※3)宮本太郎(1999)『福祉国家という戦略: スウェーデンモデルの政治経済学』(法律文化社)
(※4)石原俊時(2023)「高度成長期スウェーデンにおける職業教育」『日本労働研究雑誌』No. 757、p55-66
(※5)後期中等教育に関する記述は、主にOECD(2025)『対スウェーデン経済審査報告書』(OECD.(2025).Economic Surveys: Sweden 2025)による。(https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/publications/reports/2025/06/oecd-economic-surveys-sweden-2025_70cad22e/75e94b2f-en.pdf)
(※6)16~19歳を対象とする職業教育課程は、2011年の改革で学術科目の削減により大学進学へのハードルが高まり、成績上位層を中心とする回避傾向や負のイメージが生じた。2023年には同課程にも高等教育への進学資格を原則付与する制度改正が行われたが、志願者の回復にはなお時間がかかっている。
(※7)Fejes, A., Runesdotter, C., & Wärvik, G.-B.(2016). Marketisation of adult education: Principals as business leaders, standardised teachers and responsibilised students., International Journal of Lifelong Education, 35(6), pp.664–681(引用部分はp105)
(※8)スウェーデン教育庁(2026)「自治体成人教育の生徒と学習成果 — 2025暦年」(Skolverket.(2026). Elever och studieresultat i kommunal vuxenutbildning Kalenderåret 2025)(https://www.skolverket.se/getFile?file=13425)
(※9)スウェーデン教育庁(2023)「後期中等教育における供給と需要:全国的な概況」(Skolverket.(2023). Utbud och efterfrågan på gymnasial utbildning: En nationell bild)(https://www.skolverket.se/download/18.4e20469818b671a20f99e/1698665707409/pdf12047.pdf)
(※10)Komvuxの見直しに関する記述は、スウェーデン企業連盟(2024)「後期中等教育の計画と規模調整 – 進捗は?分析、考察、および提案」(Svenskt Näringsliv.(2024).Planering och dimensionering av gymnasial utbildning – hur går det? Analys, reflektioner och förslag)に基づく。(https://www.svensktnaringsliv.se/bilder_och_dokument/rapporter/lhq7xr_planering-och-dimensionering-av-gymnasial-utbildning-hur-gar-det_1224369.html)
(※11)この法改正により、2025年1月以降に開始される課程から「計画と定員策定改革」が適用された。
(※12)スウェーデン教育庁(2024)『地域別計画資料に関する委託業務報告』(Svenskt Näringsliv.(2024). Redovisning av uppdrag om regionala planeringsunderlag)による。(https://www.skolverket.se/download/18.3531f8d618df22bffbf1d/1709196168774/pdf12561.pdf)
(※13)前掲Skolverket. (2023)による。
(※14)本文で触れた以外にKomvuxは、訓練委託先の民間事業者の監査が不十分である結果としての教育の質の低下や学習者の主体性が求められる授業形式や教材費負担が、低学歴層の脱落やアクセス困難につながっている問題が指摘される。ただそうした課題を含みつつも、Komvuxが現場職の領域を中心に、全ての成人に身近なスキル習得の機会を提供していることも事実である。こうしたなか、政府は民間委託についての規制強化などを含む対策を講じる予定を示している。
(※15)高等職業教育に関する記述は、断りがない限りOECD(2025)に依拠する。
(※16)スウェーデン高等職業教育庁(https://www.yrkeshogskolan.se/in-english), OECD(2025)による。
(※17)入学には原則として後期中等教育の修了資格が必要だが、既存の能力評価に基づく受け入れも行われている。提供主体は民間が中心で、プログラム数の半数強を担い、学生の約80%を受け入れている。
(※18)スウェーデン高等職業教育庁(2026)「2026年統計年次報告書」(Myndigheten för yrkeshögskolan.(2026). Statistisk årsrapport 2026)、p21およびP22から引用。(https://assets.myh.se/docs/publikationer/statistiska-arsrapporter/statistisk-arsrapport-2026.pdf)
(※19)スウェーデン職業高等教育庁(2026)、p32から引用
(※20)Kurserに関する記述はスウェーデン職業高等教育庁(2026)、p.35-40から引用。
(※21)スウェーデン職業高等教育庁(2024)『能力供給と生涯学習に関する政府機関間協働 2023年年次報告書』(Myndigheten för yrkeshögskolan.(2024).Myndighetssamverkan för kompetensförsörjning och livslångt lärande – Årsrapport 2023)(https://assets.myh.se/docs/publikationer/rapporter/arsrapport-msv-2023.pdf)
(※22)2019年に「能力供給と生涯学習」を国家戦略課題と位置づけ、これを受けて2020年より関係機関による枠組みづくりがスタート、2022年に規則・指令書(regleringsbrev)を受けて正式に制度化されている。

大嶋 寧子

東京大学大学院農学生命科学研究科修了後、民間シンクタンク(雇用政策・家族政策等の調査研究)、外務省経済局等(OECDに関わる政策調整等)を経て現職。専門は経営学(人的資源管理論、組織行動論)、関心領域は多様な制約のある人材のマネジメント、デジタル時代のスキル形成、働く人の創造性を引き出すリーダーシップ等。東京大学大学院経済学研究科博士後期課程在学中。

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