単発・短期ワーク(スポットワーク)が生み出す、労働時間と収入はどのくらいなのか?
前回のコラムでは、単発・短期ワーク(スポットワーク)で働く人の就業状態や雇用形態について見てきた。本コラムでは、この働き方により生じた労働時間と収入について紹介していきたい。
単発・短期ワークでの年間の労働時間は241時間
この働き方を選択している人は、どのくらい働いているのだろうか。2024年1~12月に働いた日数の全体平均では、年間40.1日、1回の労働時間の平均は6.0時間だった(図表1)。年間の労働投入時間に換算すると241.0時間となる。これは、週40時間のフルタイム勤務を基準にすると約6週間分(約1.5カ月)に相当し、または1カ月あたり20時間働く場合と同程度である。
就業形態別(※1)に見ると、年間の労働投入時間には大きな差がある。最も長いのは労働者派遣事業所の派遣社員で平均391.9時間、次いで契約社員・嘱託が同346.5時間、自営業主・家族従業者・内職が同317.5時間となっている。いずれも年間51日以上働いており、1日あたりの労働時間は6時間を超える。年間51日以上というのは、ほぼ毎週1回以上、単発・短期ワークをしている計算になる。
一方、正規の職員・従業員は平均229.1時間、パート・アルバイトは同229.2時間で、いずれも全体平均より12時間弱少ない。さらに、仕事を探していた人や働いていなかった人は年間の投入時間が200時間未満となり、労働日数も30日程度にとどまっている。就業形態によって、単発・短期ワークの活用は開きがあることが分かる。
図表1 単発・短期ワーク(スポットワーク)での年間の労働投入時間(※2)
※クロスセクションウェイトを用いたウェイトバック集計
※四捨五入を行っているため、労働投入時間の積が一致しない場合がある
出所:「単発・短期ワーク(スポットワーク)の就労実態調査」より筆者作成
単発・短期ワークで稼いだ年収は平均45.9万円
この働き方でどのくらい稼いでいるのだろうか。単発・短期ワークで得られる年収は、全体平均で45.9万円である(図表2)。就業形態別に見ると、最も高いのは会社などの役員で82.2万円、次いで自営業主・家族従業者・内職が66.8万円となっている。労働者派遣事業所の派遣社員は56.4万円、契約社員・嘱託は53.1万円と比較的高い水準にある。
一方、パート・アルバイトは33.9万円、仕事を探していた人は31.9万円、働いていなかった人は26.1万円であり、全体平均を下回っている。単発・短期ワークの収入は、就業形態によって大きな差があることが確認できた。
図表2 単発・短期ワーク(スポットワーク)で稼いだ年収(※3)
※クロスセクションウェイトを用いたウェイトバック集計
出所:「単発・短期ワーク(スポットワーク)の就労実態調査」より筆者作成
正規の職員・従業員では平均時給2,765円
この働き方の平均時給はどのくらいだろうか。単発・短期ワークでの時給は、全体平均で1,906円である(図表3)。最低賃金2024年度の全国加重平均は1,055円であり、単発・短期ワークの平均はこれを851円上回っている。特徴的なのは、本業がどの就業形態であっても最低賃金の全国加重平均を超えている点である。就業形態別に見ると、最も高いのは会社などの役員で2,941円、次いで正規の職員・従業員が2,765円、自営業主・家族従業者・内職が2,103円となっている。
一方、パート・アルバイトは1,477円、労働者派遣事業所の派遣社員は1,440円と全体平均より低めではあるが、いずれも最低賃金の全国加重平均を上回る水準である。契約社員・嘱託やその他の形態も1,500円前後にとどまり、やはり最低賃金の全国加重平均を超えている。単発・短期ワークの時給水準は、年間収入や労働時間と同様に就業形態によって大きく異なるが、最低賃金との比較では相対的に高いと言える。
図表3 単発・短期ワーク(スポットワーク)での平均時給(※4)
※クロスセクションウェイトを用いたウェイトバック集計
出所:「単発・短期ワーク(スポットワーク)の就労実態調査」より筆者作成
ここまで、単発・短期ワーク(スポットワーク)で働く人の労働時間、この働き方で稼ぐ年収、そこから想定される時給について見てきた。では、彼らはどのようなきっかけでこの働き方を始めたのか。その理由はどこにあるのか。次回のコラムでは、この働き方を選んだ背景に焦点を合わせ、詳しく紹介したい。
(※1)2024年12月時点での就業形態を用いている。
(※2)その他の形態(n=23)、会社などの役員(n=47)、仕事を探していた(n=62)はサンプル数が100未満のため、参考値とする。
(※3)※2に同じ。
(※4)※2に同じ。
岩出 朋子
大学卒業後、20代にアルバイト、派遣社員、契約社員、正社員の4つの雇用形態を経験。2004 年リクルートHR マーケティング東海(現リクルート)アルバイト入社、2005年社員登用。新卒・中途からパート・アルバイト領域までの採用支援に従事。「アルバイト経験をキャリアにする」を志に2024年4月より現職。2014年グロービス経営大学大学院経営研究科修了。2019年法政大学大学院キャリアデザイン学研究科修了。
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