定点観測 日本の働き方メンタルヘルス(2020年6月版)

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リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用い、メンタルヘルスの指数を算出すると、2018年は3.48ptと、2017年から+0.03ptとわずかながら改善した(図1)。

近年労働時間は着実に減少しているにもかからず、メンタルヘルスの改善は十分に進んでいない。そもそも、メンタルヘルスと労働時間の関係をみると、たしかに週労働時間が60時間以上といった長時間の労働はメンタルヘルスを悪化させるが、適度な労働時間であれば、その長短がメンタルヘルスに及ぼす影響は大きくないことがわかる(図2)。

他方、業務負荷との関係をみると、業務負荷が高まれば、メンタルヘルスは大きく悪化する(図3)。メンタルヘルスに大きな影響を与えるのは、労働時間よりもむしろ業務負荷なのであるであるといえる。

メンタルヘルスの悪化は個人の生産性、ひいては企業の競争力に悪影響を与える。従業員の業務負荷のコントロールは企業として極めて重要になる。従業員のメンタルヘルスをより良い状態に保つための環境づくりを、さらに推進していきたい。

  図1 メンタルヘルスの推移4-4-1.png出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016~2019」
注:メンタルヘルス指数は、「頭痛やめまいがする」、「背中・腰・肩が痛む」、「動悸や息切れがする」、「ひどくつかれている」、「気がはりつめている」、「ゆううつだ」、「食欲がない」、「よく眠れない」の8項目について、あてはまるかどうかを聞き、それを単純平均したもの。5段階評価で、あてはまらないは5pt、あてはまるは1pt。

図2 メンタルヘルスと週労働時間(2018年)
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2019」

図3 メンタルヘルスと業務負荷(2018年)
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2019」
注:いずれもxa16~xa19を用いたウエイト集計を行っている。

文責:坂本貴志(研究員・アナリスト)
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