有期雇用契約者の就業実態―進む同一企業での就業継続
無期雇用と比較して一般的に不安定な雇用と言われる有期雇用契約者だが、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用いたレポート「働き方の定点観測2025」では、この10年、前年に有期雇用だった者の(当年)就業率は9割超を維持していることを示した。もっとも、雇用の安定性を考えるうえでは、就業の有無だけでなく、同一企業で継続して働けているかも重要な視点である。そこで本稿では、「全国就業実態パネル調査」を用いて有期雇用契約者の就業継続の実態に着目する。有期雇用契約者の就業継続が同一企業での就業継続と転職による就業継続のどちらによって支えられているのか、そしてその構成がこの10年でどのように変化してきたのかを確認する。
図1は、前年の有期雇用契約者が当年にどのような状態へ移行したかを、契約期間別に示したものである。契約期間1年以上の層を見ると、「同一企業で就業継続」する割合は、2016年の86.7%から2024年には87.9%へと1.2pt増加し、一貫して高い水準を維持している。「転職して就業継続」する割合は同期間で7.7%から6.4%へと1.3pt減少した。また、一般に雇用の不安定さがより懸念されやすい契約期間1年未満の層を見ても「同一企業で就業継続」する割合が7割超を維持し、73.9%(2016年)から77.7%(2024年)へと3.8pt増加している。「転職して就業継続」する割合は同期間で17.8%から14.6%へと3.2pt減少した。なお、同調査では2024年から有期雇用契約期間に関する選択肢が「1年超」「1年以下」に変更されたため以前との単純比較はできないが、2025年でも「同一企業で就業継続」する割合は契約期間「1年超」で88.4%、「1年以下」で80.8%と8割を超えており、「転職して就業継続」する割合はそれぞれ7.2%、12.3%となっている。
図1 前年有期雇用契約者の当年の就業状況 ※クリックで拡大します![]()
出所:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」
集計対象者:前年有期雇用契約者(各年12月時点)
注1:集計対象者を2年間継続回答者に限定していることから、「同一企業で就業継続」する割合と「転職して就業継続」する割合の合計は、「働き方の定点観測2025」で示した図表Ⅰ-2「前年有期雇用契約者の(当年)就業率」の計数と一致しない
注2:2024年から2025年の計数について、2024年の有期雇用契約期間に関する選択肢が「1年超」「1年以下」に変更されたため以前との単純比較はできない
注3:2年間の脱落ウエイトを用いたウエイトバック集計を行っている
今回の集計により、前年に有期雇用だった者の就業継続の大半は、転職ではなく同一企業での就業継続によるものであることが確認された。また、2016年から2024年にかけて「同一企業で就業継続」する割合は増加し、「転職して就業継続」する割合は減少している。特に、契約期間1年未満の層でその変化幅が大きかった。こうした傾向が今後も維持されるのか、引き続き本パネル調査を通じて確認していくことにしたい。
野村 旭
2019年に金融庁でキャリアを開始し、金融・資本市場に関する施策の企画立案に従事。東京証券取引所での勤務などを経て、2025年7月より現職。
一橋大学国際・公共政策大学院(公共経済専攻)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンス(MSc Economics)修了。
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