頼れるつながりを生みやすくする行動とは

つながりを持つことに関わる要因を探る
「全国就業実態パネル調査2025追加調査」によれば、配偶者を持たない場合に、体調不良や経済的困難に直面したときに頼れる人、仕事・キャリアの停滞時に相談できる相手を持つ人の割合が低くなる傾向が見られる。では、家族の形態にかかわらず、支え合える関係を持つ上で何が有効なのだろうか。
この点を検討するために、年齢や雇用形態、業種・職種などの影響を取り除いた上で、単身者がつながりを持つことに関わる要因を分析し、図表1に示した。図表中の数値はオッズ比で、1を超えるほどつながりを持つ傾向が強いことを示す。
分析の結果、学びや働き方、居住地といった要因のなかでも、学校やセミナー、勉強会など他者と共に学ぶ「集合型学習」を行っていることが、仕事とプライベート双方でのつながりの構築と強く関連していた。集合型学習を行う人は、自己啓発を行っていない人と比べて、キャリアの相談相手がいる確率が約3倍、体調不良時に頼れる人がいる確率が約2倍に高まる。
図表1 単身者のつながり保有に関わる要因
(注)「これからの仕事やキャリアについて相談できる人がいるダミー」および「体調を崩してしまったときに頼れる人がいるダミー」を目的変数とする二項ロジット分析の結果。年収、仕事量に関する主観的状況、業種、職種、学びに関する考え、仕事に関する考え、年齢、非正規雇用ダミーを統制。学習カテゴリの比較対象は自己啓発を行わなかった人。数値はオッズ比。有意だった項目のみ棒グラフに色と数値を付し、非有意な項目は無色とした。*** p<0.01、** p<0.05、* p<0.10。
なぜ集合型学習なのか
集合型学習には、自然に人間関係が育まれやすい特性がある。第一に、職場や家族以外の人と接点を持てること。第二に、学習時間が比較的長く、継続的なやり取りが生まれやすいこと。第三に、共通の目的があること。そして第四に、教え合う経験そのものが、助けを求める練習になることである。こうした条件が整えば、スポーツや文化活動などでも同様の効果が期待できる。
気軽に足を運ぶことの重要性
つながりを持ちたいときは、準備を重ねる前に、まず参加しやすい場に足を運ぶことも一案である。いきなり学び始めるより、説明会などの場に気軽に顔を出す方が自分に合った場が見つかりやすい。職場の仲間や旧友と共通の目標を設定し、協力して取り組むことも有効だ。さらに、一つの場に過度な期待を寄せず、軽やかに試す姿勢が大切である。つながりを育む鍵は「同じ目的に向かって切磋琢磨できる」ことにあるのだから、自分に合わなければ新たな場を探す方がよい。
政策面では、集合型の学習を孤立対策の一環として位置づけることが有効である。地域ベースの学び合いの立ち上げ支援を充実させることや、個人主導のリスキリング支援において学び合いの要素を重視することなどが考えられる。つながりを生み出す効果を期待できる場を意図的に増やすことが、関係縮小化に対抗する一つの戦略となるだろう。
この記事は、研究報告書「家族×仕事 10年の追跡調査が示す、変わる個人・変われない構造」の内容をもとに、再構成したものです。詳細は報告書をご覧ください。
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