「家族」と「仕事」のかたちを、どう分類するべきか

2026年03月31日

「家族」と「仕事」のかたちを分類することの難しさ

  • 家族のかたちはさまざまである。配偶者がいるのか・いないのか、配偶者以外の家族・親族と暮らしているのか、子どもがいるのか・いないのか、そのうち同居している子がいるのか・いないのか、家族・親族以外の同居者がいるのかなど、選択は多岐にわたる。
  • 仕事のかたちも多様である。働いているのかいないのか。働いている場合には、雇用者か雇われない働き方かという違いがある。有配偶者であれば、本人と配偶者の働き方の組み合わせとして、正社員同士、非正社員同士、正社員と非正社員、正社員と非就業者、雇われない働き方を含むかなどの種類がある。さらに、それぞれについて、勤務先の規模や業種、職種の違いがあり、副業の有無などによる差異も考えられる。雇われない働き方についても、従業員の有無、業種や職種、労働時間などの面で、実態には相当の違いがある。
  • このように考えると、「家族」と「仕事」の類型を作ることは、想像以上に難しい。切り口を絞り込んだとしても類型数は極めて多くなりやすく、その分、全体像の把握が難しくなる。一方で、類型を大きくまとめすぎると、その中での重要な変化を見落とす懸念がある。

雇用を軸に大きな傾向を捉えるための15類型

  • こうした課題を踏まえつつ、リクルートワークス研究所では、配偶者の有無、同居の子の有無、働き方(単身者の場合は本人、有配偶者の場合は夫婦の働き方の組み合わせ)を考慮し、図表1の15類型を作成した。これが唯一の正解としてではなく、「家族」と「仕事」の多様性を踏まえつつ、大きな変化を捉えやすい枠組みとして設定したものである。
  • この15類型のうち、雇用者もしくは非就業者である単身者(以下では、配偶者がいない人を単身者と呼ぶ)は類型1~5に該当する。有配偶者で夫婦双方が雇用者もしくは非就業者である人は、類型6~13に該当する。単身者の場合は本人、有配偶者の場合は本人・配偶者のいずれかまたは双方が雇われない働き方である人は類型14に該当する。最後に、これらに分類されない類型15には、同居者に家族・親族以外の人が含まれる場合や、会社役員などが含まれる。

図表1 「家族」と「仕事」の15類型図表1 「家族」と「仕事」の15類型
(注)「正社員と非正社員」「正社員と非就業者」は順不同。同居の子の有無について記載がない場合は、同居の子あり・なし計。「その他の人」には、同居者の中に家族・親族以外がいる人、会社役員が含まれる。

15類型の強みと弱点

  • リクルートワークス研究所では、全国の約5万人を対象とする「全国就業実態パネル調査」を2015年より毎年実施している(図表2)。上記の類型を本調査に適用することで、類型別のさまざまな状況を把握することができる。また、類型ごとのより詳細な状況や意識の違いなどを把握するため、2万人規模の追加調査(「全国就業実態パネル調査2025追加調査」)も実施している。
図表2 「全国就業実態パネル調査」および「全国就業実態パネル調査2025追加調査」の概要 
図表2 「全国就業実態パネル調査」および「全国就業パネル調査2025追加調査」の概要 
  • この15類型と「全国就業実態パネル調査」を組み合わせることで、「家族」と「仕事」の実態を同時に捉え、変化や現在の状況を把握することが可能となる。
  • 一方で、今回作成した15類型には弱点もある。具体的には、雇用については比較的詳細に区分しているのに対し、自営業者やフリーランスなどの雇われない働き方は一つの類型にまとめられており、詳細な実態を追うことが難しい。また、配偶者以外の親族との同居については「あり・なし」のみで整理しているため、この点に関する詳細も把握しづらい(※)。
  • 今後、多様な切り口による実態把握や議論が求められるが、その手始めとして、本稿では上記の15類型を軸に、「家族」と「働く」の変化や現在地、課題を検討する。

(※)リクルートワークス研究所では、50類型×男女版、20類型×男女版なども作成しており、これらの類型を用いた大きな変化の方向についても把握を行っている。

この記事は、研究報告書「家族×仕事 10年の追跡調査が示す、変わる個人・変われない構造」の内容を、再構成したものです。詳細は報告書をご覧ください。