家族・親族以外と暮らす選択は増えているのか
家族・親族以外と暮らす人は非常に少ない
- 配偶者や子、親族以外と暮らす生活には、他人同士で住居を借りる、団体が運営する共同住宅に住む、家族宅への間借りをするなど、多様な形態が含まれる。
近隣に家族・親族がいない場合や、生活に困難を抱える場合に、こうした暮らしは生活コストの軽減や孤立防止、日常的な助け合いを提供しうる。 - 単身化が進むなか、「家族・親族以外との暮らし」は、ニーズが大幅に拡大してもおかしくない。しかし実際には、家族・親族以外と暮らす人は非常に少ない。図表は割愛するが、同居者に家族・親族以外の人が含まれる割合は、2015年の1.3%に対し2024年は1.0%だった。
地域別に2024年のこの割合を確認しても、首都圏1.1%、近畿0.8%、中京0.8%、その他の地域1.1%と大きな差はない。
家族・親族以外と暮らす選択への強い抵抗感
- 家族・親族・恋人以外と共同で生活することへの希望を確認すると、いずれの類型の単身者でも約9割が「あまり希望しない」「全く希望しない」と回答している(図表1)。単身者のうち「急に体調を崩したときに頼れる人」がいない人に限定しても、94%が希望していない。「家族・親族以外と暮らす」ことについて、心理的な抵抗感が強いことが示唆される。
図表1 家族・親族・恋人以外との同居を「希望しない」割合
(注)家族・親族・恋人以外と共同で暮らすことに対する希望を尋ねた設問で、「あまり希望しない」「全く希望しない」を選んだ人の割合。分母は、各類型に該当する人から「既に実現している」を除いた数。
(出所)リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査 2025 追加調査」
家族・親族以外との暮らしを前提としてこなかった制度
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環境面での制約もある。日本では住宅政策や住宅市場のあり方が、家族・親族以外との暮らしを前提としてこなかった。戦後の住宅政策は、中間層の家族世帯による持ち家取得を軸とし、住宅金融公庫が行う低利の融資は1980年度までは有配偶者が対象で、単身者などは対象外であった(注1)。
- 企業の社宅制度や家賃補助も、家族形成期の社員を主な対象としてきた。民間賃貸住宅市場では、他人同士での共同生活を許容する物件が増加傾向にあるものの、全体としての数は少ないとされる。
人々の意識変容が必要
- 近年、単身化の進行や空き家の活用の観点から、シェアハウスに注目が集まっている。政策面では2019年の建築基準法の改正などによる規制緩和が行われたほか、高齢期向けの小規模シェアハウス(日本版CCRC)を地域で推進する構想も打ち出されている(注2)。しかし、家族・親族以外の人と暮らす選択が広がるためには、人々の意識が変わる必要がある。価値やノウハウを言語化し、身近な選択の一つとして普及させていくことも重要である。
(注1)後継の住宅金融支援機構が提供する現行の住宅ローン(フラット35等)では単身者でも融資を受けることが可能であるが、融資対象の住宅や土地について非親族間で共有名義にすることはできないと説明されている。
(注2)内閣官房「地方創生2.0基本構想」(令和7年6月13日閣議決定)
この記事は、研究報告書「家族×仕事 10年の追跡調査が示す、変わる個人・変われない構造」の内容を、再構成したものです。詳細は報告書をご覧ください。
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