生活の基盤となる就業形態に広がりは見られるか

2026年05月18日

生活が賃金を基盤とする構造は維持

  • 30~59歳人口のうち、「自営業者を含む世帯に属する人(※)」の割合を見ると、2015年に9.8%だったのに対し、2024年は8.3%であった。人々の生活が雇用と賃金 を基盤とする構造は大きく変わってこなかった。
  • この傾向は特定の地域に限らない。図表1で見るように、首都圏、近畿、中京、その他地域で見ると、おおむね全国と同様の動きが見られる。

(※)ここでの「自営業者を含む世帯に属する人」とは、単身者の場合は本人が、有配偶者の場合は本人、配偶者の片方または双方が雇われない働き方をする場合を指す。

図表1 30~59歳人口のうち、「自営業者を含む世帯に属する人」の割合(全国・地方別)
図表1 30~59歳人口のうち、「自営業者を含む世帯に属する人」の割合(全国・地方別)
(注)30~59歳人口のうち、「自営業者を含む世帯に属する人」の割合を地域別に見たもの。
(出所)リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」。各年のクロスセクションウェイトを用いたウェイトバック集計。

人々の暮らしの安定度が正社員としての就業に依存する状況は維持

  • その上で、雇用形態による収入差も残されている。有配偶者の夫婦合算収入を比較すると、2015年から2024年にかけての増加額は「非正社員同士の共働き」が129万円(461万円→590万円)と最も大きい。一方、「正社員同士の共働き」は114万円(854万円→968万円)、「正社員と非正社員の共働き」は85万円(685万円→770万円)、「正社員と非就業者の片働き」は76万円(634万円→710万円)であった。

  • ここで注意したいのが、同じ期間における単身非正社員の収入増加は25万円(204万円→229万円)にとどまったことである。このことから、単身非正社員のうち、もともと収入が高い人や賃金が上昇しやすい人が有配偶者になった結果、非正社員同士の共働きをする人で、夫婦合算収入の増加幅が大きくなった可能性も示唆される。雇用形態による生活安定度の差が解消に向かっているかどうかは慎重に考える必要がある。

  • あらためて2024年の夫婦合算収入の平均額に着目すると、「非正社員同士の共働き」が590万円に対し、「正社員同士の共働き」は968万円、「正社員と非正社員の共働き」は770万円、「正社員と非就業者の片働き」は710万円であり、依然として差がある。総じて、30~59歳の人々の生活が雇用就業によって支えられていること、その中でも雇用形態による差が存在する構造は、今なお維持されていると見てよいだろう。

この記事は、研究報告書「家族×仕事 10年の追跡調査が示す、変わる個人・変われない構造」の内容を、再構成したものです。詳細は報告書をご覧ください。