夫婦内での賃金格差は解消されたのか
共働きでも男女の賃金差は大きい
- 近年、夫婦の働き方は「二人とも働く」、「二人目がよりしっかり働く」方向へと変化している。
- このような変化がみられる一方で、有配偶者の男女間の賃金差は依然として大きい。実際、「正社員同士の共働き(同居の子あり・なし計)」をする有配偶者の本人年収(2024年)は、男性で平均 634万円、女性で 407万円と、200万円超の差がある。
母親ペナルティの存在
- 日本では出産後に女性の賃金が低下する傾向が強い。いわゆる「母親ペナルティ」である。出産を機に離職や労働時間の抑制を選ばざるを得ないことや、両立の負担によって能力形成の機会が制約されること、育児との両立しやすさを優先して就業先を選択することなどが、賃金に影響している可能性が指摘されてきた。
- 実際に2024年の本人収入を、夫婦の働き方と同居の子の有無別に確認すると、男性では子どもがいる場合に年収の平均値が高く、女性では子どもがいる場合に低くなる傾向が見られた(図表1)。
- このうち男性については、もともと収入が高い人ほど子どもを持ちやすいことの結果である可能性もあるが、女性の場合、母親ペナルティの存在が示唆される。実際、個人を追跡調査したデータを用いて、子ども数の増加(第1子の出産も含む)が、主な仕事からの年収や労働時間に与える影響を検討したところ、女性のみ、子どもの数が増えると年収や労働時間が減る関係が確認された(注1)。
図表1 有配偶者の本人収入の平均値(2024年の1年の年収、夫婦の類型別)
(注)「正社員同士の共働き」「正社員と非正社員の共働き」「正社員と非就業者の片働き」「非正社員同士の共働き」のそれぞれに該当する有配偶者について、男女別・同居の子の有無別に本人収入の平均値を示した。年収には①主な仕事からの収入、②副業・兼業からの収入、③仕事以外の収入(不動産売却、家賃収入、年金、仕送りなど一時的な収入も含む総額)が含まれる。2024年の実績。
(出所)リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」。各年のクロスセクションウェイトを用いたウェイトバック集計。
男性の家族時間も損なわれている
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子どもがいる30~59歳の有配偶者のうち、正社員同士の共働きをする人の平均家事・育児時間(仕事がある日)を見ると、2024年でも男性で170分、女性で309分であり、差は大きい。
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こうした状況は、母親ペナルティを生むだけでなく、家族との時間を大切にしたいと考える男性の機会を損ねている面もある。子どもを持つと賃金が低下しキャリアの展望を持ちづらい、あるいは家事や育児を通して家族に関わる希望を実現しにくい状況は、男女双方で子どもを持つ負担を高めている。
(注1)回答した期の全てで30~59歳、正社員、男性の条件に合う男女のデータ(2020~2024年)を用い、同一人物の中での変化に注目する固定効果ロジットモデルを用いて、男女別に推定を行った。統制変数として、年齢、労働時間、収入、課長以上の役職有無、人間関係、処理しきれない仕事量、計画的OJT有無、Off-JT機会有無、仕事に関わる自己啓発の有無、相談先の種類を投入した。
この記事は、研究報告書「家族×仕事 10年の追跡調査が示す、変わる個人・変われない構造」の内容を、再構成したものです。詳細は報告書をご覧ください。
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