家事の自動化・外部化は広がっているのか

2026年05月18日

家事の自動化や外部化は一般化していない

  • 仕事や家事・育児をこなしながら、自分のための時間をどう確保するかは、日常生活において重要な課題である。とりわけ仕事と家庭の両立負担が重くなりやすい働き方の夫婦では、家事時間の短縮は切実な問題である。
  • しかし、その有力な手段である家事の自動化や外部化は、必ずしも積極的に選択されているわけではない。図表1は、正社員同士の共働きで子どものいる30代女性に対象を絞って、自動洗濯乾燥機、自動調理器具、ロボット掃除機などの自動家電の利用状況を示したものである。自動家電を利用している人は50.2%であった一方、全く利用していない人も49.8%に上った。時間に追われがちな状況にある人でも、家事の自動化が広く浸透しているとは言えない。

年収が高くても自動家電を利用しない人は多い

  • 自動家電は決して安価ではなく、利用群の方が夫婦合算年収は高い傾向にある。しかし夫婦合算年収が800万円以上の女性に限っても、自動家電を全く利用していない人は40%を占める。
  • 「家事はできるだけ自分の手で」「お金をかけるのはもったいない」「効果が分からない」といった意識が、導入をためらわせている可能性がある。

図表1 全自動タイプの家電の利用状況(正社員同士の共働きをする30代、子どもあり女性)図表1 全自動タイプの家電の利用状況(正社員同士の共働きをする30代、子どもあり女性)
(注)全自動タイプの家電(自動洗濯乾燥機、自動調理器具、ロボット掃除機など)について、利用頻度を尋ねる設問の回答をもとに作成。
(出所)リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査 2025追加調査」

家事・育児への考え方が二極化

  • さらに、自動家電を活用しているかどうかによって、家事や育児・介護を支援するサービスの利用状況には明確な差が見られた。例えば、家事代行サービスの利用率は自動家電利用群が13.5%、非利用群が1.3%であり、ベビーシッターは自動家電利用群が9.6%、非利用群が1.8%、訪問介護・看護サービス・デイサービスは自動家電利用群が14.6%、非利用群が0.9%であった。
  • これらの結果から、自動家電や外部サービスを活用して家事・育児等の負担軽減に積極的なグループと、消極的なグループに分かれる傾向が示唆される。

家族のケアの自動化・外部化のメリット

  • 家族のケアを自動化・外部化することは、家事負担の軽減や生活満足度の向上に貢献する可能性がある。実際、1日の家事時間は自動家電を利用している人(以下、利用群)で平均326分、自動家電を利用していない人(以下、非利用群)で360分であり、その差は年間換算で約207時間に及ぶ。

  • 過去1年間の生活全般についての満足度をスコア化し、利用群と非利用群で比較すると、利用群で高い傾向にあった。
  • 生活満足には世帯年収や仕事時間などさまざまな要因も関わるため、これらの影響を統計的に統制した分析でも、自動家電の利用が生活満足度の上昇と関連している傾向が確認された。

家事・育児の負担への考え方を変える必要

  • 家事・育児の自動化・外部化は家族の生活満足度を上げるとともに、家族を持つことの心理的・時間的ハードルを引き下げうる。国や自治体は、家事支援サービスの利用推進策や自動家電の利用補助などに取り組んでいるが、家事や育児の負担軽減を「手抜き」とする考えが残れば、効果は限定的なものになりかねない。
  • 家事・育児の効率化や自動化を、生活を豊かにするためのマネジメントと捉える意識を本格的に広げる必要がある。

この記事は、研究報告書「家族×仕事 10年の追跡調査が示す、変わる個人・変われない構造」の内容を、再構成したものです。詳細は報告書をご覧ください。