「大学進学」は割に合うか―学歴別賃金の最新状況

主任研究員 古屋 星斗

2026年04月10日

筆者は以前のレポートで、職種別の賃金上昇率を分析した(※1)。この際に検証の必要性を感じたのが学歴別の賃金状況である。その理由は、学歴別に就業する職種が相当程度異なるためであり、また、新卒求人倍率を見た際に、特に高校卒の高さが近年際立っているためである。例えば、この求人倍率の高さは賃金水準に影響を与えていないのだろうか。
労働需給が逼迫した採用市場では求人側が賃金を上昇させることで需給の均衡をはかろうとすることは、当然考えられることであり、この動きについて、学歴別に需給構造が異なると考えられるため、厚生労働省の賃金構造基本統計調査(賃金センサス)を用いて、本稿公開時点で最新の2025年までについて検討する。

同調査は2020年から学歴・職種の分類が変わっていることから、学歴別賃金についての全体像を2010年から2025年、詳細な分析を2020年から2025年の変化について見る(※2)。
なお、本稿では労働者の収入水準を反映するため、賃金センサスを用いて年収額(所定内給与+賞与等)を概算して分析に用いた(※3)。なお、この概算した年収額については調査のタイミングの都合上、当年6月支給額を12倍したものに前年賞与等額を加えており、月額支給額の月ごとの変化や賞与等の支給タイミングなどを加味できず、当年の実際の所得水準ではなく、あくまで賃金水準の経年変化を分析するための“概算値”である点注記する。

4倍近い水準が続く、高校卒求人倍率

まず学歴別の採用市場の全体像を見る。求人倍率については例年、高校卒を厚生労働省・文部科学省が、大学卒・大学院卒(修士)をリクルートワークス研究所が算定している。
この数値を図表1に掲示した。近年特徴的なのは、求人倍率について高校卒が大学卒を恒常的に上回る状況になっていることである。2017年卒頃までは高校卒と大学卒の求人倍率はほぼ同じような動向を見せていたことが確認でき、そのなかで高校卒が大学卒を上回ったのはバブル最盛期の採用であった1992年卒からバブル崩壊後の1996年卒までの短期間のみであった。その後20年ほど大学卒が上回る状況が続いていたことがわかる。
話が本題から逸れるが、筆者はこうした高校卒求人倍率が高い弾力性を見せていることの背景には、求人数の増加(2026年卒の高校卒求人数は1996年卒以来の30年ぶりの高水準)もあるが、それ以上に高校卒求職者の減少の影響が大きいと考える。かつて2010年代まで20万人前後であった高校卒求職者数は足下で12万~13万人前後となっている(※4)。求職者数の減少が採用難を加速させている状況が高校卒で起こった一方で、大学卒求職者は増加を続けており、これが大学卒求人倍率がかつてほどの弾力性がなくなった背景にあるだろう。
なお、大学卒と高校卒のほか、専門学校卒や短大卒、高等専門学校卒といった学歴の求人倍率統計はあるが、サンプルサイズの問題や母集団に準拠した統計ではないなどの点から扱わない。

図表1 新卒求人倍率の推移(大学卒/高校卒)
図表1 新卒求人倍率の推移(大学卒/高校卒)

出典:大学卒はリクルートワークス研究所,大卒求人倍率調査(※5)。高校卒は厚生労働省,高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況(7月末)

大学卒・高校卒の賃金差の現在地

では学歴別の賃金水準はどのような状況にあるだろうか。俗に「大学卒と高校卒で生涯賃金が〇千万円異なる」等の言説が見られるが、学歴による賃金差の現在地を、特に近年の新卒採用市場の動向の変化を受けやすい若年層(39歳以下)について整理しよう。
まずは図表2に、2010年と2025年の年収水準の値を示す。なお、2020年に賃金センサス上の学歴区分が変更となっており、2025年の「大学・大学院卒」の値は筆者が算定したものである(※6)。
全体としては、大学・大学院卒が高く、高校卒が低い傾向は変わっていない。また、その傾向は年齢階級が上がっていくとともに大きくなっていることも変化がない。ただ、2025年では賃金水準自体が高まっているにもかかわらず、金額差はそれほど広がっていない(20~24歳の高校卒-大学・大学院卒の年収差は縮小している)。
この点について、図表3に上昇率を整理している。20~24歳で高校卒の上昇率が125.8%となっており大学・大学院卒の122.4%と比べて高く、25~34歳では上昇率がほとんど変わらないなど、年齢層による違いはあるが、年齢計では高校卒が大学・大学院卒の上昇率を上回っている。
なお、2020年以降は大学卒と大学院卒が統計上区分できるが、この大学卒と大学院卒では差異がある。大学卒は10.6%、大学院卒は14.0%(年齢計。2025年/2020年)と、上昇率で大学院卒が高くなっている点を付記しておく。

図表2 学歴別・年齢階級別年収(千円)(2010/2025年)

20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 年齢計
高校 2010年 2,573 2,933 3,377 3,792 3,726
2025年 3,238 3,631 4,022 4,388 4,349
大学・大学院 2010年 2,907 3,629 4,452 5,440 5,527
2025年 3,559 4,483 5,325 6,106 6,355
学歴による年収差 2010年 334 696 1,076 1,648 1,801
2025年 321 852 1,303 1,718 2,006

出典:厚生労働省,賃金構造基本統計調査


図表3 学歴別・年齢階級別の年収上昇率(2010年に対する2025年の水準)
図表3 学歴別・年齢階級別の年収上昇率(2010年に対する2025年の水準)

出典:厚生労働省,賃金構造基本統計調査

年収が急速に上がる高校卒のメインストリーム、生産工程従事者

以上が全体平均であるが、近年重要なのは以前のレポートで筆者が検証したとおり、職種によって全く状況が異なることである。特に高校卒者に関しては40%前後が生産工程従事者(製造業の現場でオペレーション、品質管理、検査を担う職業)として入職していく特性(※7)がある。また、大学卒者については2つの職種、具体的には専門的・技術的職業従事者(41.2%。専門性や技術を求められる仕事で、技術者、エンジニア、システムコンサルタント、教員、看護師等)、次いで事務従事者(23.9%)での入職者が他の職種と比較し圧倒的に多い傾向がある(※8)。このため、学歴別賃金水準については、進学先によって就職する職種が全く異なることを加味して考える必要がある。本稿では、学歴別年収を実態的に把握するため、こうしたメインストリームの職種に注目し分析する。

まず高校卒者の4割が就職している生産工程従事者の状況を確認する。生産工程従事者の年齢別・学歴別の賃金について、2020年と2025年で比較したのが図表4である。2020年と2025年の比較から以下のことがわかる。
大学卒・高校卒ともに全体の賃金水準が上昇している。例えば、25~29歳では大学卒は333.2万円から367.6万円に、高校卒は287.3万円から363.9万円となっている。特に高校卒の上昇には注目が必要だろう。このため、2020年の段階では大学卒と高校卒には年齢層を通じて一定の差異があり、一貫して大学卒が高い傾向があったところ、2025年では39歳以下の年齢階層においては高校卒がキャッチアップしその差がほとんど見られなくなっている(※9)。
図表5に高校卒と大学卒の年収の増加幅を示した。55~59歳以外の年齢階層で高校卒が一貫して高く、特に若年層において増加が顕著であることがわかる。
製造業へ就職する高校生が多く通っているのが工業高校である。高校卒者の求人倍率は4倍ほどであることは冒頭で触れたが、工業高校の求人倍率は筆者がいくつかの高校に聞き取ったところで平均するとおおむね20倍、高い高校では40倍前後という工業高校もあった(※10)。
こうした若年労働市場を追いかけている人間として過去に聞いたことがないような凄まじい需要超過の状況に高校卒求人、特に工業高校生採用は直面している。工業高校生を主に採用してきた地域の製造業や建設業においてはこの著しい採用難に直面しており、筆者は全国各地をまわっていて、採用企業の困惑と苦心の声を聞かない日はない。大手電力会社から「高校卒求人が予定の半分しか充足していない」、地域の中核製造企業から「大手企業の採用数が昨年より多いと聞いたので高校卒は諦めている」といった声が挙がっているのだ。
話が逸れたが、本稿はこうした労働需給の偏り(需要超過)が起こっていれば、賃金に影響を及ぼすだろうという仮説から始まっている。工業高校生の逼迫により、その主な就業先である生産工程従事者の著しい賃金上昇という形で顕在化した可能性がある。

図表4 生産工程従事者の賃金水準(年齢別・学歴別)(千円)
図表4 2020年生産工程従事者の賃金水準(年齢別・学歴別)

図表4 2025年生産工程従事者の賃金水準(年齢別・学歴別)


図表5 生産工程従事者の学歴別年収の増加幅(2020年→2025年)(千円)
図表5 生産工程従事者の学歴別年収の増加幅(2020年→2025年)(千円)

専門的・技術的職業従事者、事務従事者

もちろん、39歳以下の生産工程従事者は高校卒では112.9万人に対し、大学卒では25.2万人(※11)であり大学卒の主流の就業先ではない。先述したとおり大学卒で最も多い就職先は「専門的・技術的職業従事者」、次いで「事務従事者」である。
専門的・技術的職業従事者について図表6ー1、6-2に2020年と2025年の年齢階層別年収を整理している。大学卒の“本職”と言える仕事であり、2025年でも全年齢階層で大学卒が上回っていることがわかる。大学卒者はそれだけ、教育コストに加え、4年間就業しない分の機会損失を支払っている代わりに職業能力を獲得しているのだから、当たり前のことではあるが、図表6ー1、6-2の傾向は押さえておく必要がある。
また、2020年と比べると、44歳以下、特に30代前半までの若年層では高校卒がキャッチアップする傾向が見て取れる(図表7)。例えば、25~29歳では高校卒で+78.4万円の年収増に対して大学卒では+46.6万円である。大学卒の主戦場である専門職・技術職でも高校卒の若年層の賃金増加が起こっていることも留意が必要であろう。このため、30~34歳の年収水準が近似しつつあるなどの状況が起こっている(大学卒540.2万円、高校卒487.1万円)。

なお、大学卒は「事務従事者」にも4分の1程度入職しているため、図表8に事務従事者の学歴別年収増減を示した。こちらでは39歳以下において大学卒の上昇幅が大きい。
ただし、生産工程従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者と並べたときにわかることは、高校卒の25~29歳の生産工程従事者の年収水準が2020年から2025年で+76.6万円し、高校卒の25~29歳の専門的・技術的職業従事者が+78.4万円に対して、大学卒の25~29歳の事務従事者は+61.1万円であるなど、特に若年層において事務従事者はやや上がり幅が小さい傾向にある。

図表6ー1 専門的・技術的職業従事者の賃金水準(年齢別・学歴別)(千円)
図表6ー1 専門的・技術的職業従事者の賃金水準(年齢別・学歴別)


図表6ー2 専門的・技術的職業従事者の賃金水準(年齢別・学歴別)(千円)
図表6ー2 専門的・技術的職業従事者の賃金水準(年齢別・学歴別)

図表7 専門的・技術的職業従事者の学歴別年収の増減幅(2020年→2025年)(千円)
図表7 専門的・技術的職業従事者の学歴別年収の増減幅(2020年→2025年)(千円)

図表8 事務従事者の学歴別年収の増加幅(2020年→2025年)(千円)
図表8 事務従事者の学歴別年収の増加幅(2020年→2025年)

「大学進学」投資コストの回収期間の長期化

こうした近年の年収水準を取り巻く状況から、一つ重要な変化が生まれつつある。
それは大学進学による機会損失が埋めづらくなってきていることだ。この点については様々な研究・アプローチが存在するが、直近の状況を把握するための一助として「賃金センサス」のデータによるシンプルな分析により、指数化して見ていこう。

高校卒者が最も多く就職する先は生産工程従事者であると先述した。また、高校卒の生産工程従事者の採用市場は著しい需要超過の状況にあり、就業できる見込みが極めて高い。このため、生産工程従事者で4年就業した際の推計収入が「大学進学の(狭義の)機会損失」であると想定できる。
これに対して、大学卒では専門的・技術的職業従事者や事務従事者に入職できる確率が高く、当該職業は高校卒の生産工程従事者よりも所得水準が高い。このため、大学卒の専門的・技術的職業従事者・事務従事者が、同年齢層の高校卒の生産工程従事者と比べてどの程度高い所得を得ているか、によって大学進学による所得向上を実態に即して分析することができる。

つまり、「大学進学の機会損失」を20~24歳階層の高校卒の生産工程従事者の年収水準を4倍(4年分)(※12)とし、「大学進学による所得向上」として25~29歳/30~34歳階層(※13)の大学卒の専門的・技術的職業従事者及び事務従事者の年収水準で除すことで、指数的に「何年働くと大学進学によるコストを回収できるか」を推計することができる(※14)。
結果は図表9である。
専門的・技術的職業従事者の大学卒においては2020年には7.9年で回収できていたものが、2025年には15.0年となっている。事務従事者の大学卒においては2020年に9.8年で回収できていたものが、2025年には16.8年となった。専門的・技術的職業従事者のほうが所得水準が高い分、回収までにかかる期間が短くなるが、両職種ともにその期間が2020年から2025年にかけて長期化している明確な傾向があることに違いはない。
なお、図表9は大学卒25~29歳階層の年収水準ベース(25~29歳時点の年収差何年分で回収できるか)で算出したが、30~34歳階層ベースでは、専門的・技術的職業従事者で5.8年から10.0年、事務従事者では7.5年から12.3年へと、やはり長期化していた。

図表9 大学卒者の職種別、大学進学投資回収年数(指数)(※15)
図表9 大学卒者の職種別、大学進学投資回収年数(指数)

大学進学の投資回収期間が長期化しているという傾向は、ここまでの議論を踏まえれば当然のことではある。
それは労働需給の逼迫によって高校卒就職者、特に生産工程従事者等の現業職の賃金が上昇傾向にあることがまずは大きな要因となっている(図表5)。合わせて、高校卒就職者と大学卒就職者の賃金上昇率を見た際に、両者ともに上がっているものの前者のほうが高くなっていることも要因である(図表3。統計上、大学・大学院卒者)。また、大学卒の主戦場である専門的・技術的職業従事者や事務従事者において賃金上昇が、高校卒の生産工程従事者ほどではない(図表7・8)という要因も加わっている。
近年の労働市場の変化が、こうした結果を生んでいる。その結果として、大学進学の際の機会損失を回収できるまでの期間が長期化する傾向が進んでいるのだ。

もちろん、本分析は単純な在学中の所得機会喪失のみを扱っており、大学進学にかかる教育費・生活費等の費用を勘案していない(奨学金によって軽減、もしくは逆に増大する(※16))。また、現下インフレの影響を無視できなくなっており、インフレ率の分、実際には在学中の機会損失はより大きくなる。こうした条件から、実際の回収期間はより長くなると考えることが妥当であろう。

回収期間の長期化傾向は2023年、2024年の段階から見られていたが、生産工程従事者等の現業職の人手不足が加速すればこうした傾向がさらに進む可能性がある。また、事務従事者等ホワイトカラーにおいては生成AIの影響があり、供給超過になるという可能性も指摘されて久しい(ただし、賃金水準からは事務従事者全体におけるそうした変化は2025年段階では見られていない(※17))。

高校卒は新・「金の卵」か

なお、類似の状況が、中学卒者が「金の卵」と呼ばれていた高度経済成長期に生じていた可能性がある。この「金の卵」は高校進学率が高まるとともに、企業の採用が中学卒から高校卒にシフトしたために解消された。今般の変化についても同様の経過を辿る可能性(高校卒人件費高騰によって、企業が当該職種を大学卒採用で充足しようとする)もある。ただし、「金の卵」という先行事例との相違点として、機会損失の大きさ(3年と4年、教育費等)、当時と現在の産業構造・労働需要の違い(外需型から内需型)などには留意する必要がある。いずれにせよ、足下で着実に進行する傾向がさらに進んだ場合に、高校卒後の大学進学は投資としてペイし続けることができるのだろうか。

OECDは「過剰学歴」(Over Qualification。保持する学歴水準に対して、就業する職業で求められる学歴水準のほうが低い状態)について、日本が世界トップクラスの過剰学歴状況にあると指摘してきた(※18)。地域のものづくりや工事の現場では工業高校生へのニーズが日増しに高まっている。
日本の若年労働市場は、需給が逼迫するなか、賃金増をはじめとした企業の様々な人材確保策という形でターニングポイントに差し掛かりつつある。そして、一部職種における需給バランスの著しい不均衡が、企業の採用難にだけではなく、学校教育の投資対効果へも影響を与える局面に入っている可能性がある。
各教育機関の役割、その配置状況や生徒・学生のアクセス可能性、高校における普通科・商業科・工業科に求められるもの、18歳で進学するか就職するかによる行政の支援の不均衡の問題、就業後に大学等へ進学する者への支援のあり方など、最新の労働市場の状況を把握した上での議論が求められるフェーズに入ったと言えよう。

    (※1)古屋星斗,2026,「稼げる仕事」の変化―二極化するブルーカラーの賃金上昇,ワークス労働市場分析
    (※2)2020年はコロナ禍のただ中にあり、その影響を大きく受けた職種(宿泊・飲食、移動に関する職種等)の解釈については留意を要する
    (※3)残業時間の長短等の要素を除外するため所定内給与額を用いた。算定にあたっては、賃金構造基本統計調査上の、「所定内給与額」を12倍したものに、「年間賞与その他特別給与額」を加算したものを“年収額”とした。この際に統計上、「所定内給与額」は当年6月分として支給された額であり、「年間賞与その他特別給与額」は前年の支給額である。後者については、前年の値となる制約があること、その分インフレ率の影響を受けることなどの点に留意の必要がある。なお、所定内給与額は、手取り額でなく、所得税、社会保険料などを控除する前の額であり、基本給、職務手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当などが含まれる。このため、労働者の残業代を除いた実際の収入増減、稼得力の水準を見ることができる
    (※4)詳しくは、古屋星斗,2025,高校卒就職の最新状況―経年変化の分析から,ワークス労働市場分析
    (※5)2021年3月卒はコロナ禍の影響を反映するため、2020年6月に調査実施。他は前年の1-2月に実施している
    (※6)2020年以降は大学卒、大学院卒別で出ており、それ以前は合わせて出ていた。このため、2020年以降の大学卒・大学院卒のそれぞれの人数をもとにすれば「大学・大学院卒」の合計値が算定できる
    (※7)古屋星斗,2026,高校卒就職の長期推移―高校生の就職の60年,ワークス労働市場分析【https://www.works-i.com/column/labor-market/detail009.html】図表3を参照。1990年代以降30年以上、高校卒の職種別で最大の就職先は生産工程従事者であり、安定的に40%前後で推移している
    (※8)数値は文部科学省,学校基本調査(令和6年度)
    (※9)本稿では取り上げていないが、生産工程従事者の学歴別では「高校」が「専門学校」を追い抜いた。また、39歳以下においては「高専・短大」が「大学」の水準を超えて最も高くなっている。これは高専卒者の影響が大であると考えられる
    (※10)校内の就職希望者数で指定校求人数を除した数値。高校卒求人には「指定校求人」(その学校在学者のみに限定して求人を出すことができる)という他の求人では行うことができない特殊な仕組みがあるため、“指定外求人”を合わせれば厳密にはもっと高い求人倍率となる可能性がある。なお、「40倍」は首都圏の工業高校で聞かれた
    (※11)賃金構造基本統計調査の労働者数。当該統計が10人以上企業を対象としていることに留意する必要がある
    (※12)厳密には、18歳から21歳までの4年間が、おおむねの大学在学年齢であるため、18歳・19歳・20歳・21歳時点の高校卒の年収水準の加算が妥当性が高いが、年齢階層でしか統計がないこと、また、18~19歳階層職種別の統計がサンプルサイズの問題があるためか年によって変動幅が大きく、推計の頑健性を高める観点から20~24歳階層を採用した

    (※13)もちろん、厳密には年齢ごとの賃金上昇も加味して算出すべきであるが、①現在の上昇率は変動すること、②特に足下で若年層において需給逼迫の影響が強く出ていると考えられること、から当該算定方法が一定の合理性を有すると考える。なお、年齢ごとの累積を勘案して算定しても類似の結果となる

    (※14)大学卒25~29歳階層の年収水準ベース

    (※15)年齢計の差で除すこともできるが、大学進学による機会損失は若年期に生じており、その投資回収は入職早期の年収差からなされると考えることが自然である。後述するインフレ率の問題、教育費用の問題などがあり、厳密な推計とはならないものの、25~29歳/30~34歳時点での年収水準差を用いた。なお、年齢計の差で以下の分析を実施しても結果に大きな変化はなかったことを付記しておく
    (※16)給付型奨学金であれば軽減されるが、貸与型である場合金利分が加重される
    (※17)この点について直近の職種別賃金の変化を分析したレポートを別途発出する予定
    (※18)OECD ,2018, Education Policy in Japan: Building Bridges Towards 2030など
    https://www.oecd.org/en/publications/education-policy-in-japan_9789264302402-en/full-report/component-8.html

    古屋 星斗

    2011年一橋大学大学院 社会学研究科総合社会科学専攻修了。同年、経済産業省に入省。産業人材政策、投資ファンド創設、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わる。
    2017年より現職。労働市場について分析するとともに、若年人材研究を専門とし、次世代社会のキャリア形成を研究する。一般社団法人スクール・トゥ・ワーク代表理事。