HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュースSeekOutなど各社が採用業務の自動化機能を発表、HR Tech Virtual 2023、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ

SeekOutとHally AIが、ソーシングやメール作成などの定型業務を自動化するAI機能を、Paradoxがノンデスクワーカー(デスクレスワーカー)の採用業務を自動化するATSを発表した。Upworkは、フリーランサーとクライアントの手数料を改定した。

  • 【注目トピック】

    海外HRテクノロジー最新動向~「HR Tech Virtual 2023」で注目される2つのサービス【前編】

    2023年2月28日~3月2日に、HR Technology Conference & Expositionが無料オンラインイベント「HR Tech Virtual 2023」を開催した。出展企業数は27社で、サービス領域は採用やタレントマネジメント、HRアナリティクス、人事・労務管理など多岐にわたる(図表)。そのなかから注目されていたPraisidioとEmiのサービスを紹介する。
    HRアナリティクス領域のPraisidioは、2022年のカンファレンスで行われたピッチコンテストのファイナリストで、AIがチームメンバーやマネジャーのパフォーマンスや成長停滞などに関する課題をリアルタイムに検知し、改善策を提案するタレントインテリジェンスプラットフォームである。社内の人事システムと連携し、従業員が担当するプロジェクトやアサインされたタスクの数、時間外労働をした日数、週当たりの会議時間、欠勤日数、ゴール達成率などを測定し、生産性低下のリスクを可視化する。
    採用領域のEmiは、小売や飲食、流通などの現場で働くノンデスクワーカーの採用業務を自動化するプラットフォームである。ショートメッセージ(SMS)やメッセージングアプリを経由した応募の受付や、スクリーニング、面接の日程調整、合否連絡、バックグラウンドチェック、研修資料の送信などを自動化する。求職者が募集企業の店頭に貼ってある求人ポスターに記載されている番号にキーワード(例「Jobs」)をSMSで送信すると、チャットボットが質問や応募に自動応答する機能もある。顧客企業はWalmart、7-Eleven、Burger King、Danon、Heinekenなどで、選考スピードの向上や、応募後の連絡の遅れによる候補者の離脱防止、全店舗での採用業務の一元化を実現している。米国では近年、人手不足が深刻化するノンデスクワーカーを対象としたサービスが増加している。

    【図表】HR Tech Virtual 2023出展企業
    HR Tech Virtual 2023出展企業

  • 【機能・サービス】

    SeekOut、GPT-4を搭載し、ソーシングやメール作成を自動化する「SeekOut Assist」を発表

    人材検索エンジンのSeekOutは、GPT-4を搭載した「SeekOut Assist」を発表した。この機能では、企業がジョブディスクリプション(職務記述書)を入力すると、AIが職種名や求めるスキルなどの情報を自動分類し、SeekOutのデータベースに保存されている8億人以上の人材から候補者を探し、プロフィールを表示する。該当スキルや資格がハイライト表示され、企業はAIによる候補者の選考理由を把握できる。AIは、各候補者の経験や興味をもとに個別化したメールも自動作成する。企業は、人材の検索条件を修正したり、文体や強調したい会社の特徴(例:「キャリアアップ」「やりがいのある仕事」「職場の柔軟性」「協力的な社風」「従業員のウェルビーイングをサポート」)、文章の長さ(例:「300字」など)を選択できる。(4月4日 Josh Bersin)
    https://joshbersin.com/2023/04/seekout-brings-gpt4-to-recruiters-eightfold-launches-copilots-for-hr/


    Hally AI、職務記述書や面接用質問の作成などを自動化

    リクルーター向けコンテンツ自動生成プラットフォームのHally AIが英国でサービスの提供を開始した。職務記述書や候補者へのメールの作成やリライト、SNSに投稿する求人情報の作成、履歴書の要約、面接用質問の作成、バイアスのある表現の特定など50種類以上のタスクを自動化するテンプレートを備える。(3月17日 AIM Group)
    https://aimgroup.com/2023/03/17/hally-ai-new-recruitment-content-generator-launches/


    Fountain、対話型AI機能「Fountain AI」を追加

    時給制労働者の大量採用をサポートするATSのFountainは、チャットボットがWhatsAppやSMS経由で、応募者のスクリーニングや面接日時の調整、データ収集を自動で行う対話型AI機能の「Fountain AI」を発表した。CEOのシーン・ベー氏は、「時給制労働者の人材獲得競争は激化している。迅速に採用しなければ、オペレーションに支障をきたし、顧客体験や業績の悪化につながる。Fountain AIを活用することで、候補者体験を向上させ、選考スピードを上げることができる」と説明した。数百社の企業がFountainを利用し、75カ国以上で年間300万人以上の従業員を採用している。(3月15日 Fountain)
    https://www.fountain.com/news/fountain-launches-a-new-conversational-ai-feature-to-streamline-the-entire-hiring-funnel


    Paradox、ノンデスクワーカーの採用業務を自動化する対話型ATSを発表

    Paradoxは、ノンデスクワーカーの大量採用をサポートする対話型ATSを発表した。スマートフォンなど携帯端末をメインに利用する傾向が強い求職者に合わせ、ParadoxのチャットボットがSNSやSMS経由での応募への対応、募集要件を満たしているかの確認、面接日時の調整、面接や勤務開始前日のリマインダーの送信、合否連絡、入社手続きに必要な書類の送信などを自動化する。店長や現場のマネジャーは、アプリでジョブボードへの求人広告の掲載、ボットが調整した面接日時の承諾、採用決定、採用承諾の確認を行うことができる。(3月22日 PRNewswire)
    https://www.prnewswire.com/apac/news-releases/paradox-launches-industry-first-conversational-ats-to-revolutionize-high-volume-hiring-with-chat--and-text-driven-automation-301778493.html


    Upwork、フリーランサーとクライアントの手数料を改定、フリーランサーは一律10%に変更

    フリーランサーマーケットプレイスのUpworkは、2023年5月3日以降、フリーランサーの手数料をスライド制から一律10%に変更する。現在の手数料は報酬500ドル以下が20%、500ドルを超えると10%、1万ドルを超えると5%である。また、4月26日以降のMarketplaceおよびProject Catalogueを契約するクライアント(発注者)の初回手数料は、最大4.95ドルとなる。(3月16日 Upwork)
    https://community.upwork.com/t5/Product-Release-Notes/Announcing-new-simpler-fees-on-Upwork/ba-p/1273950

  • 【資金調達】

    Rodeo、LocalGlobeなどから400万ポンド(約6.6億円)を資金調達。資金は、ギグワーカーが仕事や収入を一元管理するオペレーティングシステムの機能強化に充てる。Rodeoは、配達や報酬の履歴などを一目で把握できるギグワーク管理アプリで、配達件数が多いエリアを地図で確認したり、ユーザー同士がチャットで交流する機能などを備える。Deliveroo、Uber Eats、Just Eat、Stuartの配送ドライバー9000人超に利用されている。

    https://bdaily.co.uk/articles/2023/04/05/management-app-rodeo-raises-4m-in-funding-to-transform-gig-work

TEXT=杉田真樹