HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュース250社が利用する従業員向けヘルスケアアプリのPeppy、MultiverseがEduflowを買収、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ

Codilityは、コーディングテストでのChatGPTの不正使用に対処する機能を追加した。
iCIMSは、人事向け求人求職サイト「HRjobs.icims.com」を開設した。
また、英国のアプレンティスシッププラットフォームのMultiverseが、デンマークのソーシャルラーニングプラットフォームのEduflowを買収した。

  • 【注目トピック】

    海外HRテクノロジー最新動向~「HR Tech Virtual 2023」で注目される2つのサービス【後編】

    2023年2月28日~3月2日に、HR Technology Conference & Expositionが「HR Tech Virtual 2023」を開催した。出展企業は27社で、サービス領域は採用やタレントマネジメント、HRアナリティクス、人事・労務管理など多岐にわたる(図表)。そのなかからPeppyとTaTIOのサービスを紹介する。

    Peppyは英国発の従業員向けヘルスケアアプリで、従業員は更年期障害、不妊治療、子宮内膜症、出産・育児の悩み、メンタルヘルス、男性特有の病気などについて、ビデオ通話やチャットで専門家にいつでも相談できる。また、ホルモン補充療法薬など、FDA(米国食品医薬品局)の認可を受けた医薬品の処方や配達といったサービスを無料で利用できる。同じ悩みを抱えるユーザー同士で交流するグループチャット、健康課題について理解を深めるオンライン講座、イベントのライブ配信などの機能もある。Capgemini、Novartis、BNP Paribas、JT International、MarshMcLennan、NatWest Group、Clifford Chance、英国国家統計局など250社超の企業や政府機関が、従業員の健康促進や離職防止にPeppyを利用している。

    イスラエル発のTaTIOは、リアルな実務経験のシミュレーションによるアセスメントプラットフォームで、物流、カスタマーサポート、販売、金融、保険関連の職種の採用をサポートしている。候補者がチャットボットに対して送信したテキストや音声の回答をもとに、AIが、態度やサービス志向などを解析し、仕事への適性をスコア表示する。企業は、学歴や職歴、資格ではなく、スキルや能力を基に候補者を評価できる。たとえば、観光業から金融業への転職を希望していた求職者は、金融系の学士号や職歴がないために、書類選考を通過できなかったが、プライベートでは株式運用の経験があったことから、このシミュレーションテストで高成績を出し、大手銀行への転職に成功した。ハーバード・ビジネス・スクールの調査報告書によると、米国には、採用担当者が求める資格や学歴を持たないため、労働市場で見落とされている隠れた労働者が2700万人以上存在するという。

    【図表】HR Tech Virtual 2023出展企業
    HR Tech Virtual 2023出展企業

  • 【機能・サービス】

    Codility、コーディングテストでのChatGPTの不正使用に対処する機能を追加

    コーディングテストプラットフォームのCodilityは、ChatGPTを用いた不正行為に対処するため、顧客企業がChatGPT耐性のある独自の課題を作成したり、ChatGPTの利用が可能な課題を除外できる機能を追加した。
    CodilityのCEOナタリア・パノウィッツ氏は、「AIの進化は、技術者の採用にチャンスと課題をもたらしている。企業が各社の理念や目標に即したアセスメント方法を選択できるように、AIの不正使用を軽減させる、使用を検出する機能の開発を今後も続ける」と説明した。(4月26日 Codility)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/codility-introduces-ai-resistant-skills-assessments-301807718.html


    iCIMS、人事向け求人求職サイト「HRjobs.icims.com」を開設

    タレントクラウドのiCIMSは、顧客企業の求人情報を集約した、人事向け求人求職サイト「HRjobs.icims.com」を開設した。求職者は、社名や職種名、地域などで求人情報を検索する。履歴書を登録すると、iCIMS Talent CloudのAIが、求職者のスキルや経験に沿った求人をレコメンドする。2023年6月現在、約2100件の求人を掲載している。
    iCIMSが5月に発表した「Monthly Workforce Report」によると、人員削減を行う企業の増加により、2022年1月から2023年4月にかけて人事職の求人数は57%、採用数は43%減少した。一方、iCIMSの顧客企業の多くは事業拡大を続けており、人事プロフェッショナルの発掘と採用の課題を抱えている。(5月31日 iCIMS)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/icims-launches-new-site-to-connect-unemployed-hr-and-talent-professionals-with-open-roles-301837919.html

  • 【M&A】

    Multiverse、Eduflowを買収

    英国のアプレンティスシップ(見習い訓練)プラットフォームのMultiverseは、デンマークの学習者間の相互評価や協働を促進するソーシャルラーニングプラットフォームのEduflowを買収した。これにより、個別学習やピアラーニングの機能を自社のプラットフォームに導入し、アプレンティスの登録者数10万人の達成を目指す。
    Multiverseは、コーチと実習生をペアリングし、実習生を受け入れている企業や団体に紹介する。実習生は、紹介先の組織で約15~18カ月間、ソフトウエアエンジニアリング、デジタルマーケティング、データアナリティクスなどの分野で働きながら、実践的スキルを習得する。トニー・ブレア元英首相の長男であるユアン・ブレア氏が共同創設者で、2022年に英国初のEdTechユニコーンになった。Microsoft、Cisco、Box、Jaguar Land Rover、WGSN、CBRE、Leeds Health and Care Academyなど、米国や英国の企業約1000社が、人材の採用や従業員のスキル向上、リスキリングにMultiverseを利用している。(5月22日 UKTN)
    https://www.uktech.news/education/multiverse-eduflow-acquisition-20230522

  • 【資金調達】

    InstaworkがTCV などから6000万ドルを資金調達。資金はAIによるマッチング機能の強化や、数秒でシフトを直接投稿できる機能の開発、労働力を簡単に管理できるデータ駆動型インターフェイスの整備に充てる。Instaworkは、時給制で働く労働者と、倉庫・接客・飲食業などの仕事をつなぐ人材プラットフォームで、登録者数は400万人を超える。今後は資格がないためにシフトに入れない求職者向けに、独自の訓練や資格取得のしくみを構築する。また、給与即時払いやInstaworkデビットカードなどのサービスも提供する。

    https://blog.instawork.com/instawork-invests-in-artificial-intelligence-to-optimize-how-businesses-find-the-workers-they-need

    OpusがStage 2 Capital などから680万ドルを資金調達。資金はエンジニアリングおよび市場開拓チームの人員増強や、AI機能の強化、対象業種の拡大などに充てる。Opusはノンデスクワーカー向けの研修プラットフォームで、講座内容や配信メッセージ、コメントを自動翻訳する機能を備え、100カ国語以上に対応できる。企業は、衛生管理やカスタマーサービス基準、新規採用者向けオンボーディングなど500種類以上のテンプレートをもとに、マイクロラーニング形式の講座を約10分で作成し、アプリ経由で従業員に配信する。従業員は、スマートフォンで動画を視聴し、テストやアンケートに回答する。顧客企業は、Taim、Just Salad、Luke's Lobster、Swingers Golf、Gregorys Coffee、Vanderbilt University、Rhode Island School of Designなど。

    https://www.prnewswire.com/news-releases/opus-secures-6-8m-series-a-funding-towards-ai-powered-training-technology-for-the-deskless-workforce-of-110-million-americans-301832900.html

TEXT=杉田真樹