7 労働時間は大幅減少へ

坂本 貴志

2025年04月17日

日本型雇用と称される、日本ならではの雇用慣行。過去、年功賃金や終身雇用など日本ならではといわれる仕組みが正規雇用者を中心とした労働者の雇用の安定につながり、また企業側としても安定した人員確保を可能にした部分もあった。しかし、低迷する経済と歩調を合わせる形で日本型雇用は近年批判が行われてきた。こうしたなか、日本の雇用は変化しているのかあるいはそうではないのか。本シリーズでは、日本の労働環境が今どのように変化をしているのか確認していく。

日本型雇用と称される、日本ならではの雇用慣行。過去、年功賃金や終身雇用など日本ならではといわれる仕組みが正規雇用者を中心とした労働者の雇用の安定につながり、また企業側としても安定した人員確保を可能にした部分もあった。しかし、低迷する経済と歩調を合わせる形で日本型雇用は近年批判が行われてきた。こうしたなか、日本の雇用は変化しているのかあるいはそうではないのか。本シリーズでは、日本の労働環境が今どのように変化をしているのか確認していく。

総務省「労働力調査」から、性別・年齢階層別に労働時間の変化をみても、あらゆる年齢層で労働時間が減少していることが確認できる(図表1)。

特に男性若年層の労働時間の減少が顕著になっている。20代男性の週労働時間は2000年時点の46.4時間から2023年には38.3時間まで減少している。20代は進学率の上昇なども影響しているとみられるが、同様の傾向は30代男性にも確認される。30代男性は2000年の50.9時間から2010年の48.1時間、2023年には43.6時間まで減少した。

現代においては、幅広い企業で長時間労働が是正されており、平均労働時間も減少を続けている。そして、労働時間の減少には先述のように女性や高齢者など短時間労働者が増えていることも大きく影響しているものと考えられる。

週労働時間別の人口の推移をみると(図表2)、週1~14時間働く人は2000年の298万人から580万人へ倍増しており、週15~29時間も730万人から1037万人へと増えているなど、短い時間働きたいという労働者の希望に合わせた働き方が現代では可能になっていることがわかる。

図表1 性別・年齢階層別の労働時間の推移

図表1 性別・年齢階層別の労働時間の推移

出典:総務省「労働力調査」

図表2 週労働時間別の就業者数

図表2 週労働時間別の就業者数

出典:総務省「労働力調査」

坂本 貴志

一橋大学国際公共政策大学院公共経済専攻修了後、厚生労働省入省。社会保障制度の企画立案業務などに従事した後、内閣府にて官庁エコノミストとして「月例経済報告」の作成や「経済財政白書」の執筆に取り組む。三菱総合研究所にて海外経済担当のエコノミストを務めた後、2017年10月よりリクルートワークス研究所に参画。