ここは集中特区立つ、座る、を選択する自由

ふつうのオフィスとは何かが違う。デスクワークなのに、立っている人も多い。よく見ると、デスクの高さがそれぞれ違う。彼らが使っているのは、ボタン1つで上下する電動昇降デスクなのだ。楽天では、本社勤務の全社員にこのデスクを導入している。
そもそもの理由は、社員の働く環境の向上のためだった。身長が高い社員は天板の下に足が収まらず、車いす利用者には高過ぎる。そんな不便をなくそうとした。このデスクの可動域は65〜125センチメートル。自分の好みの高さにピタリと合わせられる。デスクとの相性で生じるストレスが、これならば軽減できる。さらに、導入してみると、「集中」にも効くとわかった。昼食後の眠いとき、アイディアに詰まったとき、あるいは夕方、疲れたときにデスクを上げて立つ。すると、目が覚める。頭がさえる。血流がよくなる。仕事をする姿勢を自由に変えることで、さまざまな「集中」の邪魔ものを除去できる。
「デスクワーク」はデスクに縛られる。しかし、その支配から解放し、働く姿勢の選択を自由にしたのが、楽天の「集中特区」だ。電動昇降デスクは、一般的なデスクよりもコストがかかる。だが、「集中」のための投資と考えれば、決して高すぎることはない。

Text=湊美和Photo=峯本宗介

楽天
■事業内容/インターネットサービス、金融サービスなど■本社所在地/東京都世田谷区■従業員数/1万2575人(連結、2015年9月現在)