本気の健康経営ロート製薬/食へのこだわり

社員食堂の健康食を一般客にも“おすそわけ”

薬膳の思想を取り入れたメニューは、旬で身近な野菜が中心だ。一汁三菜の日替わり膳が2種類、季節によりうどんやカレーもある。

オフィス街の一角にある「旬穀旬菜カフェ」。
そのコンセプトは、"福利厚生のおすそわけ"。ランチタイムには一般客で行列ができる。

「薬に頼らない製薬会社を目指す」。その事業領域からすれば驚きの経営理念を持つのが、ロート製薬である。同社は世界の人々の健康を願い、薬が必要でなくなることこそが、真の健康と考える。すべての人に健康を届けるためには、まず社員が健康でなければならない。これが、同社の健康経営を支える考え方だ。
2004年には、社員の健康増進を担う部署が発足し、大阪本社に福利厚生施設「スマートキャンプ」を開設。施設内に薬膳を取り入れた社員食堂を作った。その後も、BMI値や腹囲の改善などを目指すプロジェクトや、運動・体力測定の定期実施等々、経営陣を含む全員参加型で数々の取り組みを推進した。2014年には、副社長が最高健康責任者(CHO)に就任。翌年、人事総務部に健康経営推進グループが発足したという。
同社は、こうした健康経営の知見を社会に還元・発信している。その一環として、上の写真にある家庭薬膳ランチの「旬穀旬菜カフェ」を一般客に開放している。また、美と健康をテーマとする季刊誌も発行。社会に向けた活動の幅は広がっている。

Text=池内由里Photo=峯本宗介