機械化・自動化で変わる働き方 ―接客調理・販売編用語解説【接客調理編】

配膳ロボット

配膳ロボットは、配膳業務効率化やエンターテインメント効果などを目的としてレストランなどに導入される配膳に特化した運搬ロボットのこと。必要な時に稼働し、不要であれば休ませておけるため、人手不足・人員過剰の対策として導入されている。1つのトレイに1人分の食事を載せて運ぶタイプだけでなく複数のトレイを持ち、一度に複数の食事を運ぶことができるタイプもある。ロボットアームを使ってテーブルの上のトレイをロボットに載せ替える「下膳専用」のタイプも。多言語対応のロボットや顔認識技術を使って利用者の顔を認識できるタイプもあり、オーダーした席に自動的に食事を配膳することができるようになっている。「フードデリバリーロボット」という自律走行型のロボットの場合、飲食店から出前用の料理を載せたトレイを運び、顧客のもとへ配達する。

調理ロボット

調理ロボットは、飲食店などで提供される料理の調理を自動的に行うロボット。AIなどの技術を利用して、一定の指示に従って食材を切ったり、「煮る」「焼く」「炒める」といった調理ができる。例えば、ピザ生地を均一な厚さに延ばしたり、材料を混ぜ合わせたり、調理した料理を盛り付けたりすることができる。調理ロボットは、一定の品質や味を保ちながら、スピーディーに調理できるのが特徴。近年では、調理ロボットを活用した店舗が増えており、スムーズなオペレーションを実現するための重要な役割を果たしている。国内の導入例としては、「エビノスパゲッティ 丸ビル店」や「そばいちnonowa東小金井店」などがある。

食器洗浄ロボット

食器洗浄ロボットは、飲食店などで使用される食器洗浄作業を自動化するためのロボットである。飲食店では、大量の食器が一度に使用されるため、手洗いでは洗浄作業に従事するスタッフの負担が大きいことが課題となっている。食器洗浄ロボットを導入することで、作業の効率化や作業負担の軽減が期待される。食器洗浄ロボットは、食器を水洗い、洗浄、乾燥の工程に分け、それぞれの工程を自動的に行う。水洗いでは、食器を水で洗浄し、大まかな汚れを落とす。洗浄では、洗剤や熱水を使用して、食器の汚れをしっかり落とす。乾燥では、食器を乾燥させ、衛生的な状態にし、仕分けする。

惣菜盛付ロボット

惣菜盛付ロボットは、お弁当などの惣菜を自動的に盛り付けるロボットのこと。手作業で行われていた盛り付け作業を自動化することで、作業効率の向上やコスト削減などを実現する。惣菜盛付ロボットには、ベルトコンベヤやトレイから惣菜をピックアップしお弁当箱などに盛り付けるピックアップロボットや、アームに取り付けたカメラを使って惣菜の種類や位置を認識しお弁当箱などに盛り付ける6軸ロボットなどがある。惣菜盛付ロボットは、食品産業に限らずホテルやイベント会場、学校給食などでも導入されている。従来、野菜などの不定形物や粘着性の高いポテトサラダのような食材をロボットが扱うのは技術的に難しく、また少量多品種で段取り替えが多いことから惣菜製造工場では自動化が進んでいなかった。コネクテッドロボティクスの惣菜盛付ロボットは、決められた重量の食材や具材をつかんで、製品トレイに盛り付ける作業工程の自動化を実現している。

搬送ロボット

搬送ロボットは物品を自動的に運搬するロボットのことで、主に工場や物流センターなどで利用され、重い荷物や大量の物品を効率的に運搬する。搬送ロボットには、AGV(Automated Guided Vehicle)という磁気や光、超音波などを使って誘導し、自動的に走行する車両型の搬送ロボットとAMR(Autonomous Mobile Robot)というLIDARやカメラ、超音波などを使って自動的に走行するロボットがあり、後者は環境に合わせて自律的に移動することができる。ホテル業界では従業員が荷物を運ぶことが多く、負担が大きいため、搬送ロボットを導入することで作業効率の向上や作業時間の短縮を図る。2020年開業の東京・竹芝の「メズム東京、オートグラフ コレクション」では搬送ロボットがリネン類を運ぶ。また品川プリンスホテルではデリバリーロボットが食事などを客室まで届ける。

清掃ロボット

清掃ロボットは、自律走行しながら床や地面の清掃を行うロボットのこと。多くの場合、レーザースキャナーやカメラ、センサーなどを使って自身の位置や周囲の環境を認識し、自律的に動く。ブラシや掃除機などの清掃機能によって床や地面の汚れを効果的に取り除くことができる。ホテルでは、清掃作業が重要な役割を果たしており、従業員の負担が大きいため、清掃ロボットを導入することで作業効率の向上や作業時間の短縮を図る。リッチモンドホテルでは2020年に業務用清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を導入、フロントや廊下など主に館内の共用スペースで活用する。カーペットをはじめとする床清掃に利用し、カビやダニ、花粉のほか、ゴミやホコリなどを除去する。

自動受付機

自動受付機は、レストランなどで利用者が席の確保やオーダーを行う機械である。利用者は、自動受付機に設置されたタッチパネルなどで空いている席を選び、人数や注文内容などを入力することができる。自動受付機を使うことで、店内での待ち時間を短縮でき、注文内容も正確に入力できるため、注文ミスのリスクを低減することができる。 店側は利用者の注文を自動的に受け付けることで、店内の混雑状況を把握し、従業員の配置を最適化することができる。すき家では2020年より一部の店舗で自動受付機を導入、店舗内の混雑状況に応じて、自動受付機からの注文と店員からの注文を組み合わせて運営している。自動受付機を導入することで、従業員の負担軽減やスムーズな運営につなげると同時に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策としても活用が進んでいる。

自動チェックイン

自動チェックインとは、ホテルや旅館などの宿泊施設で利用されるサービスの1つで、利用者はまず、事前にスマートフォンなどのデバイスを使って自分の情報を登録する。到着時には受付カウンターでの手続きが省略され、自動的にチェックインが完了する。利用者は受付カウンターでの手続きを待つ必要がなく、また、チェックインの手続きがスムーズに行われるため、宿泊施設や交通機関のスタッフはより多くの時間をほかの業務に充てることができる。コロナ禍もあり、自動チェックインを導入するホテルや宿泊施設が増えている。アパホテルでは、スマートフォンを使った自動チェックインサービス「アパトリプルワンシステム」を提供しており、利用者が事前にアプリからチェックインを完了させることで、到着時には自動チェックイン機にスマホをかざすだけでカードキーを受け取ることができる。

モバイルオーダー

モバイルオーダーはスマートフォンやタブレット端末などのモバイルデバイスを利用して、飲食店やカフェなどでの注文や支払いを行うサービスのことを指す。従来の店内での注文方法に比べ、①注文がスムーズに行える、②注文ミスが少なくなる、③顧客の待ち時間が短くなる、④キャッシュレス決済が可能、といったメリットがある。国内ではマクドナルドやスターバックスでモバイルオーダーサービスを提供しており、入店前にアプリから事前注文ができる。すき家でもスマートフォンアプリから注文できる「すき家アプリ」を提供しており、同様に事前注文ができるようになっている。

スマートレジ

スマートレジとは、POS(Point of Sale)システムの一種で、スマートフォンやタブレット端末を用いたレジスターのことを指す。従来のPOSレジスターに比べ、スマートレジは携帯性が高く、場所を選ばずに利用することができる。また、タブレット端末を使用することで、より視覚的な操作が可能であり、より直感的なインターフェイスが実現できるのが特徴。スマートレジは、小売店、飲食店、美容室など、さまざまな業種で使用されており、在庫管理、顧客管理、売上分析などの機能が備わっているタイプもある。近年は、スマートフォン決済やタッチレス決済に対応するスマートレジも登場しており、決済方法の多様化にも対応している。