HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュースLinkedIn調査・離職率が最も高い業界と低い業界、2021年卒学生の初年度の平均年収は5万5911ドル(約764万円)、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ(2022年8月)

LinkedInの調査によると、離職率が高い業界はビジネスサービス、テクノロジー&メディア、娯楽、宿泊(同率3位)であった。また、NACE (全米大学就職協議会)の調査では、2021年卒学生の初年度の平均年収は5万5911ドル(約764万円)と、パンデミックの影響で前年より微増にとどまった。
LinkedInやUpworkなど大手各社が、四半期決算を発表し、いずれも増収となった。

  • 【注目トピック】

    法人向けコーチングアプリを導入する企業が増加、従業員の能力向上やメンタルケアをサポート

    リモートで働く従業員が、リーダーシップ能力や営業力の向上、チームマネジメント、キャリア形成、ストレス管理など、さまざまな課題についてビデオ通話でコーチングを受けられる法人向けコーチングアプリを導入する企業が増えている。CoachHubBetterUpTorchSoundingBoardBravelyなどがこのサービスを提供する。

    CoachHubの特徴は、ICF(国際コーチング連盟)やEMCC(欧州メンタリング&コーチング協議会)、AC(コーチング協会)などの認定資格と6年以上の経験を持つ世界90カ国のコーチが、3500人以上所属していること。従業員は、コーチングの合間にさまざまなマイクロラーニングで学びを深める。人事は、管理画面から従業員のフィードバックや目標の達成度などを把握できる。ASICS、Fujitsu、Coca-Cola、Danone、Toyota、LVMH、L’Oréal、Credit Suisse、Twitterなど500社が利用している。

    BetterUpは、ICFの資格を持つ世界約70カ国、約3000人の所属コーチのなかから、AI が個人の目標やニーズに合ったコーチをレコメンドする。専属コーチによる1on1、栄養や睡眠などの専門家によるコーチングやグループセッションを65カ国語で提供する。Google、Hilton、Salesforce、Bain & Company、Chevron、カリフォルニア州サンタモニカ市、スタンフォード大学経営大学院、NASA(米航空宇宙局)、米空軍など、約600の組織がBetterUpを導入している。企業で働く従業員だけでなく、一般ユーザーも利用できる。サブスクリプションプランは3種類あり、個人向けの月間利用料金は89ドル、149ドル、279ドルとなっている。

    これまでのコーチングは、高額で一部の経営幹部しか受けられないなどの課題があったが、コーチングアプリの普及により、あらゆる従業員が個別のニーズに合ったコーチングを気軽に利用できるようになった。

  • 【新サービス・新機能】

    Modern Hire、欧米や南米などの23の言語に対応

    ビデオ面接と採用前アセスメントプラットフォームのModern Hireは、AIによる面接の自動採点機能(AIS)に新しい言語を追加した。今後、方言を含む、欧米、南米、アジアの23の言語に対応し、グローバル企業の倫理的かつ多様な採用をサポートする。
    AISは、候補者の面接の回答をそれぞれの言語で自動で書き起こし、評価をして、採用担当者にランキングと総合スコアを提供する。150万件の面接の回答をもとに訓練された高度なAIモデルを使用しており、人間の面接採点者に比べて、3倍以上バイアスが少ないことが実証されている。
    採用担当者は、今年初めに提供が開始された自動面接クリエイター(AIC)と組み合わせて、ほぼすべての職務内容に対応した面接質問ライブラリを活用することで、より迅速で正確な面接を行うことができる。
    Modern Hireは、700社以上の大手グローバル企業や、Fortune 100企業の約半数が利用している。(8月10日 PR Newswire)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/modern-hire-launches-new-languages-for-ais-answering-demand-from-global-enterprises-for-multiple-language-support-to-enable-ethical-diverse-hiring-301602945.html

  • 【M&A】

    Harver、pymetricsを買収

    採用最適化プラットフォームのHarverは、アセスメントプラットフォームのpymetricsを買収した。pymetricsは、AIや脳神経科学を活用したゲーム形式の評価ツールにより、候補者の能力や、強み、弱みなどを瞬時に特定し、社内のトップパフォーマーのプロフィールと比較する。Harver は、行動科学と深いデータ洞察を活用し、採用プロセスの自動化、候補者体験の向上、職務への適合性の評価、リファレンスチェックなどをサポートする。(8月11日 PR Newswire)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/harver-acquires-pymetrics-further-enhancing-talent-decision-capabilities-across-the-employee-lifecycle-301603823.html


    Employ、Leverを買収

    Employ は、主に中小企業向けのATS(応募者追跡システム)やCRM(候補者関係管理)のLeverを買収した。エンド・ツー・エンドの採用ソリューションプロバイダーのJobvite、中小企業向け採用管理ソフトウエアのJazzHR、採用プロセスアウトソーシングのNXTThing RPOの3社を傘下に収めた。今回の買収で、Employのカスタマー数は1万8000人超となった。
    Leverは、Netflix、Spotify、Talend、KPMG、Nielsenなど約5000社で利用されている。ATS「Lever Hire」は、候補者のデータベース検索、GoogleやMicrosoftのカレンダーツールと連動した面接の日程調整、キャリアページの制作ができる。CRMの「Lever Nurture」は、企業からのメッセージを個人に合わせて定期的に自動配信し、潜在層との人間関係を構築する。(8月5日 Business Wire)
    https://www.businesswire.com/news/home/20220805005292/en/Lever-Joins-Employ-to-Accelerate-Growth

  • 【決算】

    LinkedIn、2022年第4四半期決算は、前年同期比26%の増収

    Microsoftは、2022年第4四半期決算(2022年6月30日締め)を発表した。LinkedInの売上高は、前年同期比26%増(7億6800万ドル増)となった。為替変動の影響を除いた場合の伸び率は、29%増である。年間売上高をセグメント別にみると、タレントソリューションは前年比 39% 増の60 億ドル超であった。マーケティングソリューションは、 50 億ドルを突破した。(7月26日 LinkedIn)

    https://news.linkedin.com/2022/july/linkedin-business-highlights-from-microsoft-s-fy22-q4-earnings?trk=lms-blog-librand&src=bl-po


    Upwork、2022年第2四半期決算は、前年同期比26.3%の増収

    フリーランサーマーケットプレイスのUpworkは、2022年第2四半期決算を発表した。売上高は、前年同期比26.3%増の1億5690万ドルで、売上総利益は同27.4%増の1億1604万ドルと、2018年の上場以降の最高水準に達したが、2382万ドルの純損失を計上した。
    セグメント別の売上高は、マーケットプレイスが同26.1%増の1億4433万ドル、マネージドサービスが同29.3%増の1257万ドルだった。
    顧客からのマーケットプレイスおよびマネージドサービスへの支払いとフリーランサーによる支払いの合計を表すグロスサービスボリューム(GSV)は、同19%増の10億4600万ドルとなった。
    第3四半期の売上高は、1億5600万~1億5800万ドルになる見通しである。
    社長兼CEOのHayden Brown 氏とCFOのJeff McCombs氏は、「コンサルテーションサービス(顧客が専門性の高いフリーランサーからプロジェクトについてZoomで30分のアドバイスを受けられる)の提供を開始したことで、顧客満足度の向上、採用にかかる時間の短縮、顧客の再契約率アップなどの成果を上げることができた」とコメントした。(7月28日  SIA)

    https://www2.staffingindustry.com/site_member/Editorial/Daily-News/Upwork-revenue-rises-26.3-in-Q2-gross-services-volume-up-19-62455


    Fiverr、2022年第2四半期決算は、前年同期比13%の増収

    イスラエル発のフリーランサーマーケットプレイスのFiverr Internationalは、第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比13%増の8500万ドル、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)は460万ドルだった。アクティブバイヤー数は同6%増の420 万人で、バイヤー1人あたりの単価は同14%増の259ドルとなった。年間支出額が1万ドルを超えるバイヤー数は、同60%以上増加した。売上高の見通しは、第3四半期が同8~11%増の8050万~8250万ドル、通年が前年比12~14%増の3億3200万~3億4000万ドルであった。
    同社は、経費を見直すため、各オフィスで約 60 名の人員削減を実施した。(8月4日 Business Wire)

    https://www.businesswire.com/news/home/20220803005934/en/Fiverr-Announces-Second-Quarter-2022-Results


    DHI Group、2022年第2四半期決算は、前年同期比29%の増収

    求人求職サイトを運営するDHI Group は、第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比29%増の3710万ドル、調整後EBITDAは780万ドルであった。150万ドルの純利益を計上し、黒字に転じた。
    IT系求人求職サイトのDiceは売上高が同30%増加し、新規顧客獲得数は137社だった。セキュリティクリアランス(機密情報取扱適格性審査)保持者向けの政府請負企業の求人を専門とするClearanceJobsは、売上高が同26%増で、新規顧客獲得数は 48 社だった。
    社長兼CEOのArt Zeile氏は、「2022年6月の米国企業による技術職の求人掲載数は、50万件超と、前年同期比で62%以上増加した。現在の厳しいマクロ環境下においても、技術者の需要の高まりは衰える気配はない」と述べる。
    第3四半期の売上高は同20~23%増の3700万~3800万ドル、通年の売上高は前年比21~23%増の1億4500万~1億4700万ドルとなる見通しである。(8月3日 DHI Group)

    https://dhigroupinc.com/press/press-release-details/2022/DHI-Groups-Second-Quarter-Total-Revenue-Increases-29-Year-Over-Year-as-Bookings-Increase-27-Year-Over-Year/default.aspx


    ZipRecruiter、2022年第2四半期決算は、前年同期比31%の増収

    求人マーケットプレイスのZipRecruiterは、第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比31.1%増の2億3990万ドルとなった。ZipRecruiterのCEOであるIan Siegel氏は、「四半期全体では好調だったが、6月には雇用環境の冷え込みが見え始めた」とコメントした。2022年通年の売上高増加率は前年比20%増となると予想し、見通しを下方修正した。(8月15日 ZipRecruiter)

    https://ziprecruiter-investors.com/news/news-details/2022/ZipRecruiter-Announces-Second-Quarter-2022-Results/default.aspx


    SEEK、2022年通年決算は、前年比46%の増収

    オーストラリア、ニュージーランド、東南アジア、南米で求人求職サイトを運営するSEEKは、2022年通年決算(6月30日締め)を発表した。売上高は前年比46%増の11億1650万豪ドル(約1063億1730 万円)、EBITDAは同53%増の5億910万豪ドル(約484億8200万円)となった。
    セグメント別の売上高は、SEEK ANZ(オーストラリアとニュージーランド)が前年同期比53%増の8億2660万豪ドル(787億4500万円)だった。JobsDBやJobStreetを傘下に収めるSeek Asiaは、同37%増の2億160万豪ドル(約192億円)、ブラジルでcathoを運営するBrasil Onlineは同13%減の2800万豪ドル(26億6630万円)、メキシコでOccmundialを運営するOCCは同37%増の2770万豪ドル(26億3900万円)、プラットフォームサポートは同36%増の3070万豪ドル(29億2500万円)、ポートフォリオ投資は同24%増の190万豪ドル(1億8100万円)だった。
    2023年は、売上高が12億5000万~13億豪ドル(1190億9400万~1238億5800万円)、EBITDAが5億6000万〜5億9000万豪ドル(533億5400万~562億1300万円)となる見通しである。(8月16日 SEEK)

    https://wcsecure.weblink.com.au/pdf/SEK/02553571.pdf


    Saramin HR、2022年第2四半期決算は、前年同期比17.1%の増収

    韓国の求人サイトSaraminを運営するSaramin HRは、2022年第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期比17.1%増の321億ウォン(約32億8500万円)、営業利益は同21.8%増の134億ウォン(約13億7130万円)と、過去最高の業績を記録した。同社は、派遣・ヘッドハンティング事業、専門職採用プラットフォームなどの事業を展開する。
    売上高の伸びは、プラットフォームのサービス利用企業の増加などに起因する。AIでビッグデータを解析し、人材と企業をマッチングする「タレントプール」サービスの利用企業数は、過去5四半期で平均11.2%増加した 。
    第2四半期にSaraminに登録された求人数は52万件で、転職市場が活況だった前年同期比5%増となった。また、月間アクティブユーザー数は同10%増の1000万人、履歴書登録件数は同7%増の551万件となった。
    CEOのKim Yong-hwan氏は、「全体的な経済状況は芳しくないが、ビッグデータ技術で人事トレンドをリードするサービスを導入したことで、ユーザー満足度が向上した。新規事業の改善と迅速な市場導入で顧客基盤を拡大し、厳しい市場環境を乗り切る」と述べた。(8月3日 SIA)

    https://www2.staffingindustry.com/row/Editorial/Daily-News/South-Korea-Saramin-HR-second-quarter-revenue-rises-17-while-operating-profit-climbs-22-62514

  • 【調査】

    LinkedIn調査、離職率が最も高い業界と低い業界

    LinkedInのデータによると、世界全体の業界別での平均離職率が最も高いのはビジネスサービス(13.4%)だった。次いでテクノロジー&メディア(12.9%)、娯楽(11.8%)、宿泊(11.8%)、小売(11.4%)と続く。一方、離職率が最も低い業界は、公社・官庁(8.4%)で、次いで建設(9.2%)、不動産(9.3%)、運輸(9.3%)、製造(9.3%)となった。全業界の平均離職率は10.6%だった。
    このデータは、2021年7月から2022年6月までのLinkedInプロフィールの更新にもとづく。契約社員やフルタイムではないそのほかの従業員(インターン、学生など)は対象外である。
    離職率が最も高いプロフェッショナルサービスには、4大会計事務所、経営やITのコンサルティング会社などが含まれる。会計業界の離職率はパンデミック以前から高く、近年になって過去最高値を更新している。退職理由として、燃え尽き症候群や給与の伸び悩みなどが指摘されており、KPMGでは最近、約3万人の従業員の給与引き上げを発表した。
    離職率が最も低い公社・官庁には、法執行から、消防、国際交流、都市計画まで、行政業務を行うさまざまな組織が含まれる。FRED(連邦準備銀行の経済データ)によると、米国では民間人が離職する頻度は、公務員の3倍である。離職率が低いにもかかわらず、一部の政府は公務員の定着や燃え尽き症候群を減らすための対策を講じている。たとえば、ベルギーでは、勤務時間外の連絡への対応を拒否できる「つながらない権利」が、公務員に適用されている。
    建設、運輸、製造は、娯楽や宿泊などの離職率の高い業界と同様に、現場で働くフロントラインワーカーによる労働力に頼っているが、賃金が高い点で異なる。BLS(米労働統計局)によると、従業員の平均週給は、運輸が950ドル、製造が1250ドル、建設が約1350ドルである。一方、宿泊が500ドル、娯楽が650ドル、小売が700ドルとなっている。(8月11日 LinkedIn Talent Blog)
    https://www.linkedin.com/business/talent/blog/talent-strategy/industries-with-the-highest-turnover-rates



    NACE調査、2021年卒学生の初年度の平均年収は5万5911ドル

    NACEの調査によると、2021年卒学生の初年度の平均年収は5万5911ドル(約764万円)であった。パンデミックの影響により、2020年卒学生の5万5260ドル(約755万円)を1.2%上回るにとどまった。
    専攻分野別にみると、コンピューター・情報科学が最も高く、平均年収は前年比0.9%増の8万1202ドル(約1110万円)だった。工学は同0.8%減の7万1516ドル(約977万円)、数学・統計学は同1.6%増の6万8929ドル(約941万円)、経営学は同2.9%増の5万7186ドル(約780万円)、医学関連は同1.4%増の5万4133ドル(約739万円)と続く。
    これらの数値は、「Class of 2021 First-Destination Survey 」を通じて、全米293校の大学やカレッジから2021年12月31日~2022年5月13日に収集した、2021年卒の準学士、学士、修士、博士号取得者約68万6000人の実際の初任給データにもとづく。ボーナス、歩合給、フリンジベネフィット、残業代は含まない。(7月11日 NACE)

    https://www.naceweb.org/job-market/compensation/hampered-by-the-pandemic-salaries-up-only-slightly-for-class-of-2021/

  • 【資金調達】

    InternMatchが、不動産開発会社Doma Groupなどから1000万ドルを資金調達。資金は、カナダ、米国、英国への進出に充てる。学生や卒業生を世界中の企業にインターンとして斡旋するオーストラリアのインターンシッププラットフォームのInternMatchのビジネスモデルは、大学生や大学院生に最長12週間のインターンシップを斡旋し、大学などから紹介料を、学生を採用した企業からは採用手数料を受け取る。1年半前に国際市場に参入して以降は、世界中で1万人以上のインターンを斡旋した。最も需要の高い分野はテクノロジーやエンジニアリング関連である。

    https://www.startupdaily.net/topic/funding/student-placement-platform-internmatch-bags-10-million-series-a-for-global-plans/

    HiBobが、General Atlantic、Bessemer Venture Partnersなどから1億5000万ドルを資金調達。企業評価額は24億5000万ドルに達した。急成長する中堅のグローバル企業向け人事管理プラットフォームのHiBobは、2021年10月にも1億5000万ドルを資金調達している。6年連続で3桁の売上高成長率を記録するなど好業績を上げ、投資家から支持を得ている。同プラットフォームは、オンボーディング、勤怠、パフォーマンス、給与などの管理やピープルアナリティクス機能を備える。13カ国語に対応し、多拠点での同時導入が可能である。166カ国でCazoo、Gong、Hopin、Monzo、Happy Socks、Fiverr、VaynerMediaなどのグローバル企業2500社以上に利用されている。

    https://www.prnewswire.com/il/news-releases/hibob-raises-150m-series-d-up-round-led-by-general-atlantic-to-capitalize-on-significant-business-momentum-301607390.html

TEXT=杉田真樹