対談タイトル
プロフィール
未来予測ロゴ   3つの市場を“グローカル”に攻める
     
大久保  

最初に、御社の中長期の経営課題を教えていただけますか。

 

大島  

2010年10 月、グループの中期経営3 カ年計画を発表しました。我々の目標は、2020年に売上と利益の双方でアジア・ナンバーワンの小売りになることです。経営計画では、そのための柱として、アジアシフト、大都市シフト、シニアシフトという3 つを打ち立てました。キーワードはグローカルです。グローカルに考え、行動しようというメッセージです。

 

大久保  

小売だと地域(ローカル)密着は外せませんからね。その経営課題に対して、人事としてどんな手を打っていきますか。

 

大島  

最大の人事課題は採用です。現在、実人数として国内外33 万人いる従業員を倍以上にまで増やす必要があります。こうなると、採用というより、不足している知識資産の獲得競争です。問題はどんな人に我々の“船”に乗っていただくか、ということです。2011年は学生向けの採用説明会を 5 月から実施したのですが、その時に、震災後、被災した店を一刻も早く再オープンさせるために奮闘している先輩の姿を紹介したDVD を流しました。この内容に共感できる人材に、ぜひご入社いただきたいと思ったのです。2011年はこうした説明会を日本だけでなく、ロンドンでも実施しました。事前の申し込みは数十人程度だったのですが、蓋を開けてみたら5 倍以上の方々が集まってくれました。大半の方が、イオン=小売とはとらえず、PB 開発や海外から商品を調達する商社でもあり、また顧客を最重視した総合金融でもあるマルチな企業グループと認識していました。2011年の秋以降は、アメリカ、中国、アセアン各国でも同様の説明会を開催します。

 

     
未来予測ロゴ   アジアの有力大学とのパートナーシップという試み
     
大久保  

この対談で多くの人事トップにお目にかかっているのですが、グローバルという面では皆さん共通しており、アジア・ナンバーワンを目標にする企業が多いですね。そのためには日本人だけでなく、現地の人をどんどん採用しなければなりません。問題はやり方です。国ごとに法律も慣習も違いますから、かなりの工夫が必要だと思いますが。

 

大島  

弊社は30 年くらい前からアジアに出店しており、また植樹や学校建設などの社会貢献活動も行ってきました。イオンは、アジアで気がついたら、その地に溶け込んでいたという存在になりたいのです。採用面でいちばんの鍵を握るのが現地の大学だと思います。現在、中国やASEAN 諸国の有力大学を訪問して、パートナーシップを進めています。

 

大久保  

パートナーシップですか。

 

大島  

卒業生の採用、奨学金の支給、インターンシップの受入れ、研究材料の提供といった中身を説明すると、皆さん納得してくれます。もちろん、国内の大学との連携も進めています。我々が求めているのは各大学との様々なつながりであり、最大の知識資産である優秀な人材との縁です。

 

大久保  

ここ数十年、日本の新卒採用は大学と採用を切り離す方向で動いてきました。一方、世界はその逆で、新卒採用といえば未だにオン・キャンパス・リクルーティングが主流です。

 

大島  

日本ももう一度、原点に立ち返る必要があるのではないでしょうか。バブル経済華やかなりし頃、私も採用担当だったのですが、当時、商社や金融が花盛りで、小売業希望者は少数でした。そのため、学校に出かけては有望な人材に直接声かけをしました。そうやって採用した人材が今現場の第一線を支えてくれています。当グループの採用は従来から新卒でも既卒でも関係ありません。「若者採用」と銘打って、自分が若いと思う人なら誰でも応募可能にしました。

 

大久保  

実際の採用者は新卒、既卒、どのくらいの割合ですか。

 

大島  

半々といったところです。国籍・年齢・学歴・性別を問わない採用をやっていきたい。そうなると面白い人材がたくさん集まりますよ。正社員という言葉も定義を見直す時期にきているかもしれません。雇用形態にかかわらず、すべてがイオンピープルだと。

 

大久保  

正社員は、外国語に翻訳できない日本だけの概念ですからね。あえて英訳すると、ロングターム・コミットメント(Long-term Commitment)だと思いますが、この言葉は逆にどんどん使ったほうがいいと思います。終身雇用ではないけれど、会社はあなたを長期視点で見て、きちんと育てる意思がある、と。

 

大島  

そうですね。小売は異動のスピードが比較的速く、なかには1年単位で異動する社員もいますが、それこそ、もう少しロングタームで育成し評価することも必要かもしれません。今年、採用活動をやっていて痛切に感じたのですが、3 年後、5 年後に想定される役職や報酬を明確に提示し、ある程度約束しなければ、海外の優秀な人材は振り向いてくれませんね。これまでの日本の採用は会社に入社してもらうことばかりに意識が向かっていましたが、今後は、より工夫が必要だと感じています。

 

     
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