研究所員の鳥瞰虫瞰 Vol.3労働時間3分割のススメ 中尾隆一郎

短時間労働者と通常の労働者

短時間労働者という言葉があります。厚生労働者のHPによると『「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」のこととされています。(中略)ここでいう、「通常の労働者」とは、事業所において社会通念にしたがい「通常」と判断される労働者をいいます。この「通常」の判断は、業務の種類ごとに行い、「正社員」、「正職員」など、いわゆる正規型の労働者がいれば、その労働者をいいます。例えば、労働契約の期間の定めがない、長期雇用を前提とした待遇を受ける賃金体系である、など雇用形態、賃金体系などを総合的に勘案して判断することになります。』
つまり、同事業所の通常の労働者(定義上は所定労働時間)より短い時間で働く労働者のことです。

ちなみに、「全国就業実態パネル調査(リクルートワークス研究所2016)」によると、所定労働時間にあたる週35-40時間(週5日勤務として1日7~8時間 以下同)の労働者は、1割強に過ぎません。これでは「通常」労働時間とは言えません。一番多いセグメントは、週40~45時間(1日8~9時間)の3割強。つまり1日8~9時間が通常の労働時間といえそうです。参考までに、短時間の週35時間未満(1日7時間未満)は、3割弱、週60時間以上(1日12時間以上)の超長時間労働者は約7%存在します。

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労働時間を3分割して、3時間×3単位で考えてみる

日本人の健康寿命は延び続けていて、人生100年時代も目前です。一方で、企業の再編・淘汰も増えています。現在働いている1つの会社に頼りきりというのでは心配です。常に選択肢を広げておくことが重要です。
一方で、すぐに転職するのは心配だ!という人もいるかもしれません。
その際に、実労働時間を1日当たり9時間と想定し、3分割して、3時間を1つの単位として考えると違う風景が見えてきます。
例えば、現在1つの会社でフルタイム勤務している人は3単位9時間を、その会社のために使っているといえます。
短時間労働者は、2単位6時間をその会社で働き、1単位3時間を、家事・育児・介護あるいは将来のキャリアアップのための勉強などに使っていると整理できます。あるいはその1単位を兼業や副業に使っている人も今後増えていくと想定されます。

今後はITの進化で場所を選ばずに働くことも可能になってきます。そうすると、3単位、それぞれ、別の会社のプロジェクトをすることも可能になります。
投資の鉄則で、すべての卵を1つのバスケットに入れない。つまり、分散投資という考え方があります。
個人のキャリアも同じです。例えば、3単位9時間を1つの会社で働いている場合も、2単位6時間を現在業務に使い、残りの1単位を将来のキャリアアップのために使えないかを考えてみてはどうでしょう。
そう考えると1日の労働時間は2単位6時間が基準となります。
6時間勤務の労働者が通常の労働者。同じ会社で9時間勤務する人は1社での長時間労働。さらにそれを超えて4単位12時間働く人は、1社での超長時間労働と分類できます。
会社が、個人のキャリアを考えてくれる時代は、終焉を迎えつつあります。キャリアは自分で考えなければいけません。そのためにも、1単位3時間を何に使うのか、本気で考えてみてはいかがでしょうか。1単位3時間だと長すぎてイメージがつかめない人は、まずは、1時間、30分でも将来のキャリアアップのために考え始めてみませんか。私もさっそく考えて、実践します。

中尾 隆一郎

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