全国就業実態パネル調査「日本の働き方を考える」2020どのような大学生がインターンシップへ参加しているのか 大谷碧

昨今インターンシップの重要性が高まっている。文部科学省はインターンシップについて、主体的な職業選択や職業意識の育成を図る取り組みとして推進をしており(注1)、多くの企業で実施され、大学などにおいても参加が推進されている。では、いったいどれくらいの学生がインターンシップに参加しているのだろうか。そこで本コラムではリクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査2020」(JPSED2020)を使用して、大学生のインターンシップの参加状況についてみていきたい。

図1 大学生のインターンシップ参加割合8-1.jpg

注:集計対象はJPSED2020の大学3年生と4年生、XA20を用いたウエイトバック集計。

図1は大学3年生と4年生が2019年の1年間にインターンシップに参加したか否かを示したものである。3年生では43.4%、4年生では36.4%がインターンシップに参加しており、特に3年生の参加割合が高いことがわかる。

次に、インターンシップの期間別の参加状況についてみていきたい。ひと口にインターンシップといっても、短期間のものから数週間にわたる中長期のものまであるが、参加した学生はどのような期間のものに参加しているのだろうか。

図2 大学生のインターンシップ期間別参加割合(複数回答)8-2.jpg

注:集計対象はJPSED2020の大学3年生と4年生でインターンシップ参加ありの者、XA20を用いたウエイトバック集計。

図2より、5日未満のインターンシップに参加した学生は86.9%と多い一方で、5日以上14日未満は13.4%、14日以上は9.7%と、大幅にその割合が低くなっている。このことから、学生の参加するインターンシップのほとんどは短期間のものであり、中長期的なインターンシップへの参加割合は低い状況であることがわかる。

ここまで大学生のインターンシップへの参加状況について、学年別および参加期間別にみてきた。インターンシップは業界や企業について理解を深めるものであるため、これから就職活動を始める学生にとっては重要な取り組みと言えるが、インターンシップの参加割合が比較的高い大学3年生でも半数以上は参加しておらず、参加している学生もほとんどが5日未満と短期間のものへの参加であった。

次に、インターンシップの参加機会について考えたい。インターンシップへの参加しやすさはどの学生も同じと言えるのだろうか。たとえば、多くの企業は大都市圏に集中しているため、大都市圏に住んでいる学生はインターンシップへ参加しやすい一方で、そうではない学生は参加が容易でない可能性が考えられる。そこで、学生の居住地別にインターンシップの参加割合をみてみよう。

図3 大学生の居住地別インターンシップ参加割合8-3.jpg

注:集計対象はJPSED2020の大学3年生と4年生、XA20を用いたウエイトバック集計。

図3より、南関東および近畿といった大都市圏に住む学生のインターンシップへの参加割合(45.0%)のほうがそれ以外のエリアに住む学生の参加割合(32.8%)よりも高いことがわかる。このことから、学生の居住地が影響している可能性が考えられるが、本来であればインターンシップへの参加機会は等しくあるべきではないだろうか。遠方に住む学生を考慮したインターンシップとして、たとえばオンラインインターンシップが考えられる。オンラインであれば、交通費や滞在費を気にすることなくインターンシップに参加可能である。新型コロナウイルス感染症の影響もありオンラインインターンシップが増えているが、これにより居住地の関係でインターンシップへの参加が難しかった学生にも、より参加の機会が開かれることを期待したい。

注1)文部科学省、厚生労働省、経済産業省(2015)「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」
https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/12/15/1365292_01.pdf

大谷碧(研究員・アナリスト)
・本コラムの内容や意見は、全て執筆者の個人的見解であり、
所属する組織およびリクルートワークス研究所の見解を示すものではありません。

※本コラムを引用・参照する際の出典は、以下となります。
大谷碧(2021)「どのような大学生がインターンシップへ参加しているのか」リクルートワークス研究所編「全国就業実態パネル調査 日本の働き方を考える2020Vol.8https://www.works-i.com/column/jpsed2020/detail008.html