2014年度研究プロジェクト

田原総一朗氏

田原総一朗氏 ジャーナリスト

第一線の政治家から企業家、オピニオンリーダー、文化人まで、名うてのリーダーを向こうにまわし、自分の意見を堂々と述べながら、一つの番組につくりあげていく。テレビ討論番組「朝まで生テレビ!」で発揮される田原総一朗氏の司会手法は「猛獣使い」と呼ばれる。半世紀以上のジャーナリスト歴をもつ超ベテランに、“猛獣”たちの生態をうかがった。

ネット業界に若いリーダーが生まれている

― 今の日本には、社会を変える力量を持ったリーダーがなかなか生まれてこない、と思っています。

田原 そんなことないよ。どんどん生まれているんじゃないですか。今は時代の大きな転換期。高度成長が続き、バブルが盛り上がってそれが弾けた。一転、不況となり、それが20年も続いた。それが終わりつつあるのが今だ。
それまでは人々は「不況だね。大変だね。先行き暗いね。日本は大問題だね」と嘆いてばかりいた。でもそういう時代は終わったんだ。今は、じゃあどうすればいいのか、が問われる時代になった。それを象徴しているのが政治の世界だ。一強多弱だからね。

― どういうことでしょう。

田原 自民党だけが強くて後は全部駄目だからね。安倍晋三という人が総理大臣をやって、アベノミクスを打ち出している。それに対して、野党はアベノミクスのここが駄目だ、あそこが駄目だ、と言うばかりで、「俺たちはこうする」という対案がない。ないから、一強多弱の状態がいつまでも変わらない。

でも一方で経済界では、こうすればいいという「対案」を持ち、現に実行している人たちが、若い世代を中心に増えている。最近、『起業のリアル』(プレジデント社)という、起業家との対談本を出したけど、出てくるのはそういう連中ばかりだ。特にネットの世界で多い。

今までは起業するにはそれなりの金が必要だったから、若い連中はそう簡単に起業できなかった。ベンチャーキャピタルがしっかり機能すれば、金がなくても起業できたが、日本にはそのベンチャーキャピタルも乏しかった。でもネット起業はそこまで金がかからない。優れた発想ないしビジョンがあれば、金がなくても起業できる。

― 優れた発想とはどんなものでしょうか。

田原 日本で最初に孫正義の取材をしたのは僕だと思う。孫さんは当時まだ30代だった。留学先のアメリカで、英語と日本語を互いに通訳するシステムを開発し、それをシャープに1億円で売却した頃だ。麹町に事務所があった。彼いわく、ソフトのインフラで勝負すると。アメリカでゴールドラッシュが起きた時、皆が金を探しに山に入った。その時に一番儲けたのが金を入れるバケツ屋だと。

― まさにインフラですね。

田原 皆がソフトの中身の話ばかりしていた時に、孫さんはソフトのインフラを整える流通をやると言っていた。これが優れた発想というものだ。

2015年01月21日