Column

HRテクノロジーは34領域へと拡大

本コラムは、世界の人事が注目する28の「HRテクノロジー」の続編。

前コラムでは、HR(Human Resource)領域におけるHRテクノロジーは約14万件。

グローバルセンターの調査を基に、労働市場のバリューチェーンごとに代表的なサービス分野を28種類に大別した。その後、2年間でHRテクノロジーは大きく変化し34領域へと拡大し、商品サービス自体も大きく入れ替わった。例えば、「キャリアのアドバイスやコーチング」領域では、その8割がサービスを終了し、新たなサービスに入れ替わるなど、急速に変化している。

2019年、さらにサービス領域は拡大した。連載では、新たな9領域のサービス内容やビジネスモデル、主要なサービス事業者についてポイントを解説する。

1)ボット
2)シェアードタレントネットワーク
3)プログラマティック求人広告
4)ブランドクリエイション
5)ブランドマネジメント
6)行動アセスメント
7)シミュレーションアセスメント
8)アナリティクス
9)APIコネクター

2019年のテーマはトータル・タレント・アクイジション

グローバル企業の人事の多くは、「トータル・タレント・アクイジション(TTA)」「トータル・タレント・マネジメント」「トータル・タレント・アサインメント」を2019年のテーマに掲げている。人事は、会社にとって最高の人材を、最適なタイミング、最適なコストで採用するために試行錯誤している。さまざまな就業形態の人的資源を活用し、組織全体の人材戦略をたてるには、どのツールが効果的なのだろうか。

世界中の人事が新たな「人材ポートフォリオ」を模索している。社内の人的資源は、正規社員、限定社員、契約社員、パートタイマー・アルバイト、インターンシップ生など。外部人材は、派遣労働者、元従業員、請負、業務委託、高度専門サービス、個人事業主、フリーランサー、ギグワーク、有償ボランティアなど。ここに、新たに、ロボット、ドローン、人工知能(AI)、RPA(Robotic Process Automation)などが加わる。さらに、他企業の従業員の副業(複業)が加わるなど、オープンな選択肢が増えている。

TA(タレントアクイジション)アナリスト、TAオペレーションディレクターといった新たな人事専門職が、自社に最適なテクノロジーの選出や、人事業務そのものの解析を担う。多岐にわたる領域から、最適な人材を選出するのが、TTAの基本的な考え方である。

また、HRテクノロジーを利用して、人事業務そのものを解析し、採用や管理コスト、利用効果などを掌握し、新たな人事の在り方を構築する企業も多い。例えば、ユニリーバは5つのHRテクノロジーを活用することによって、一連の採用プロセスに要する期間を6カ月から2週間へと短縮した。

ペプシコ、イケア、ロレアルなどは、問い合わせや面接にAI面接のテクノロジーを導入することで、サービス職の一次面接に要する時間を大幅に短縮した。また、膨大な事務をシステム化している。

ただし、HRテクノロジーは人事の全ての仕事に適しているという訳ではない。実際にどのような業務に効果を発揮するかという人事の目利きが重要となる。人事専門職は、日々進化するテクノロジーをいち早く理解して、自社のどの業務に取り入れると効果を発揮できるのか、人材不足に対応できるのかなど、共存を模索する。

HRテクノロジーのサービスで、最も人気があるのがAIである。新商品を紹介するEXPOではAIのブースが増えている。また、英語圏にかかわらず、さまざまな国で新しい技術の開発をしており、ボーダレス化もはじまっている。HRテクノロジーを熟知するプロフェッショナルも増えており、オープンネットワークを活用するのもTTAへの近道である。

図 HRテクノロジーマップ(新)

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HRテクノロジーマップは、2つの軸から成る。横軸は、以前よりもステージが増え、1)ソーシング(候補者の発掘)、2)エンゲージメント(候補者との交流)、3)選考(最適な人材を選ぶ)、4)採用(採用の事務的なプロセス)というタレント・アクイジション(人材獲得)の4つのステージとなる。縦軸は、5)求職者(個人)寄りのテクノロジーと、6)企業寄りのテクノロジーを表している。求職者と企業の両者にサービスを提供しているものもあるため、厳密な線を引くことは難しいが、サンプル企業のサービス提供の状況をみて分類した。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)

 

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2019年03月08日