対談タイトル
未来予測ロゴ   採用縮小世代が次期リーダーに。人材の補充が急務
     
藤田  

もう1つの喫緊の課題が、次期リーダー世代の補充です。総合商社は1995年から10年ほど採用を控えた時期があり、30代に人員構成の谷間ができている。

 

大久保  

今はよくても、10年後にチームリーダーが不足しますね。現在のリーダーたちにとっても仕事を任せる下の層がいないのは問題です。自分で仕事を抱え込まなくてはならないし、人をマネジメントする機会を失ってしまいます。

 

藤田  

おっしゃる通りです。総合商社の最大の鍵であるビジネスの種を発見し育てていくサイクルを継承していかないと10年後20年後が厳しい。地味なことですがこの世代をきちんと育てていくことが一番大事だという気がしています。そこで、我々は2011年に50人規模のキャリア採用を始めました。5年くらい続ける予定です。

 

大久保  

世代の谷間をキャリア採用で埋めていくのは非常に大事なことです。

 

藤田  

ええ。ただ一方で、三菱商事は長く新卒中心でやってきたため、キャリア採用に対しては現場にはまだどこか抵抗感もある。

 

大久保  

多様性の高い会社でありながらキャリア採用がうまくいかないケースはよくあります。

 

藤田  

弊社も「MC(Mitsubishi Corporation)パーソンはかくあるべし」というすり込みが新人時代に強くなされます。でも20代後半ならまだ会社の文化にも馴染めるはず。ここをターゲットにいい人材が採れ始めているので、現場の違和感も次第になくなっていくと思います。

 

     
未来予測ロゴ   リーダーの育成には教育より現場での失敗経験が効く
     
大久保  

若手世代の育成についてはどのようにお考えですか。

 

藤田  

育成の流れとしては、新卒入社2~3年のうちに財務分析、マーケティングなどのビジネススキルをひと通り学ばせ、8年目くらいまでに一度海外に出します。事業先への出資、スタートアップ会社への出向、社長の補佐など経営の現場を目の当たりにする経験をさせます。それから本体で管理系の業務につき、その後はトップあるいはセカンド等のポジションでもう一度海外に出ていく、そんなステップになっています。

 

大久保  

御社のように複雑化、多様化した組織では、リーダーには相当高いマネジメントスキルが求められるはず。そのプロセスでそれらも補えますか。

 

藤田  

これは個人的意見ですが、30代前半にストレッチアサインメントに真正面から取り組んで、突っ走って、けつまずいて転んで、結果として足元をきちんと見てかつ皆と手をつなぎスピードを合わせて走らないとだめだ、ということを体で覚えないと、40代後半で本当の意味でのリーダーにはなれない。座学でやれる教育には限界があります。

 

大久保  

突っ走れる人材を採用し、海外で修行させ、ちゃんと想定内の失敗をさせるということですね。

 

藤田  

僕はそう思っています。保守本流で育てられ、絶対リスクをとらないという人は、継承してきた商権を維持・拡大していくビジネスの場合ならいいですが、何かを新たに始めなければならないときには向いていません。最近は三菱商事でも「事業会社の社長」のまま執行役員になる人が増えています。商社のありようとともに、求められる人材も変わってきたのかもしれません。

(TEXT/荻原 美佳 PHOTO/平山 諭)

 

     
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