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未来予測ロゴ   若手のチャレンジに期待。職務給導入で抜擢しやすく
     
大久保  

中長期課題の経営戦略に関連して、今どのようなことが人事課題になっていますか。

 

高久  

百貨店業界の市場規模は現在約6兆円ですが、今後5兆円、4兆円と収縮するかもしれないといわれています。国内人口の減少による市場縮小だけでなく、百貨店が果たすべき役割自体が変化していることも大きい。

 

大久保  

百貨店は、長い間、日本の大量消費文化を牽引してきました。

 

高久  

その大量消費の担い手は中産階級。つまり百貨店は、中産階級がさらに上の夢を見て消費するための装置として機能してきたのです。今、世の中が二極化し、その中産階級に空洞化が起きています。百貨店はターゲットを失いつつあるのです。

 

大久保  

これまでと違う百貨店像を模索していく必要があるということですね。

 

高久  

経営戦略的には、百貨店という箱ではなく中身の差別化、商品の個性での勝負になるでしょう。これまでなかった商品を世界中から発掘してくる、オリジナリティのある商品を開発するといったバイイング力を強化することが人事の課題です。今後はバイヤー個々の資質や、その多様性、またそれらが刺激し合ってそれぞれ高まっていくような環境が欠かせない。これまでバイヤーは、売り場で販売を学び、セールスマネジャーの経験を十分に積んだ40代でようやく任せられる職種でしたが、ワンパターンのキャリアでは多様性は生まれにくい。若い人のまったく違った発想に期待していこうということで、20代からのバイヤー登用を始めました。既に26歳、27歳のバイヤーも誕生しています。

 

大久保  

しかし、思い切った仕入れ判断をするには、ある程度の現場経験は必要では?

 

高久  

もちろんですが、一歩先のマーケットをつくっていく力も必要です。経験の延長やマーケティングデータの積み重ねでは正解が出ない部分をいかにジャンプできるか。人は年を取ると保守的になりますが、失敗を恐れない若い世代にはそこを期待したい。そのために人事制度も変えました。一部で職務給を導入し、本人の資格等級より上の仕事に1度チャレンジさせてみる、ということを可能にしたのです。

 

大久保  

職能資格給制度は1度上げたらその後下げるという発想はないから、1回試してみるということができないですね。

 

高久  

職務給のために職務をすべてグレードづけしたことも、若手のキャリア目標の描きやすさにつながりました。

 

     
未来予測ロゴ   再雇用シニアの補佐でミドルマネジャーの負荷軽減
     
大久保  

若者を生かすには、一方で彼らを生かすミドルマネジャーが不可欠です。御社ではどのような課題がありますか。

 

高久  

販売部長など経営に近いポジションが、今、完全にプレーイングマネジャー化し、かなりの業務量を負っています。経営視点でのマネジメントを期待するなら、業務負荷をもっと減らすべきです。

 

大久保  

具体的にどう負荷を減らすかが難しいところです。

 

高久  

部長をフォローできる人を増やすしかありません。たとえば弊社では、定年後約7割が再雇用されますが、管理職経験者も大勢います。そういう人たちを補佐につけるのも1つのアイデアです。現在人事部には、部長クラスで定年したあとに再雇用され、社員のキャリア相談を受けている人がいますが、マネジメントの勘所がわかっているので非常に頼りになる存在です。

 

大久保  

キャリアを積んだシニアが、若い人の教育役になってくれるのはよいことです。

 

高久  

はい。シニアにモチベーションを持って働いてもらうには、自分が役立っている、必要とされているという実感がとても大事で、そういう感覚は配置とミッションの与え方によって大きく変わってきます。

 

大久保  

我々の研究でも、シニアの方々は定年退職を迎えたあと、人の役に立つことへの価値観がぐんと上がるという結果が出ています。そういう人材をうまく生かしたいですね。

 

     
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