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未来予測ロゴ   圧倒的なスピード感。人事異動は月に2回
     
大久保  

御社はインターネット・サービス分野での世界ナンバーワン企業になることを標榜していますね。そのためにはあらゆる面でスピード感が要求されると思いますが、人事がそこに対応するのはとても難しい。どんな課題をお持ちですか。

 

武田  

いずれも進行形ですが、弊社はこれまで3つの大きな変化をくぐり抜けてきました。1つ目は規模の変化。会長兼社長の三木谷浩史が数名で立ち上げた小さな組織が、今や国内外含め1万人超を擁する大組織になりました。2つ目は事業内容の変化。ネットビジネスという基盤の上に、物販から始まり、旅行、証券、銀行、カードと、独立採算の個別事業が50近くもあります。3つ目は国際化も含む事業展開地域の拡大です。これが今後の最大の課題でもあります。

 

大久保  

その3つに人事の課題が結びつくわけですね。

 

武田  

はい。我々が理想とするのは戦略的思考を備えた自律型人材ですが、そういう人材を、外から、必要なだけ補充するのはなかなか難しい。かといって、既存の社員が全員、変化に対応できるスキルや、しかるべきキャリア意識を備えているか、といえば、そうとも言い切れません。今、全社をあげて取り組んでいる英語社内公用語化は10年前に入社した社員にとっては青天の霹靂だったでしょう。もっとも、その頃から三木谷は世界一になると公言していました。

 

大久保  

ところで、組織が拡大するにつれて、変えなければならないことがある一方、どんなに組織が大きくなっても変えてはいけないものもあると思います。その点、いかがでしょうか。

 

武田  

まずは採用基準です。戦略的思考と物事を徹底してやり切る力、それに改善力、この3つが必須です。特に大切なのがやり切る力です。過去に何かをやり切ったことがあるか、物事から逃げないか、力を出し惜しみしないか、そのあたりが大切なポイントです。

 

大久保  

とはいっても、御社は今や押しも押されもせぬ大企業です。安定志向の学生も応募してくると思いますが、その辺の見極めはどうしていますか。

 

武田  

見極めの方法は2つあります。1つは、本人がもがいて成長しようとするポテンシャルがあるか。もう1つは、たとえば最初はEコマースの玩具担当だったのが次は電化製品、さらには旅行事業や金融事業担当になるといったような異動があった際、仕事の変化に機敏に対応できるか、を見ています。

 

大久保  

事業変化のスピードが速いので、仕事も変わらざるを得ない。

 

武田  

その通りです。普通の企業の人事異動は毎年4月と10月ですが、うちは月に2回もあります。

 

大久保  

それはすごいですね。リクルートは月1回ですが、それでも多いと思っていました。

 

武田  

企業買収も多いのでそうせざるを得ません。そして、もう1つ、どんなに組織が大きくなっても変えたくないのはオープンな社風です。その典型が社員全員が参加する「朝会」です。トップが語り、各事業部の実績を共有する会を毎週1回欠かさず行っています。1カ月に4週あるとしたら、1週目は前月の振り返りと今月の目標、2週目はテクノロジー動向、3週目は英語強化に向けた各部署の取り組み、4週目は最新のマーケティング手法、といった具合です。すべての情報をオープンにし共有することは、「自分は楽天の社員だ」というオーナーシップの醸成につながっています。

 

大久保  

世界で従業員が1万人超となり、国内だけでもユニットが50あったら、普通の経営者ならとっくに共有を諦めていると思いますが(笑)。

 

武田  

三木谷の創業以来の信念なんです。我々が「楽天主義」と呼んでいる行動規範も、その場を使って共有しています。

     
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