対談タイトル
未来予測ロゴ   インフォーマルラーニングがモチベーションを促す
     
平田  

スキルマップ化のメリットでさらに大きかったのは、スキルマップ各分野のリーダーを中心に、インフォーマルラーニングが活発化したことです。インフォーマルラーニングのモチベーション効果はアメリカの学会でも報告され近年話題になっていますが、当社でも、社内グローバル学会を開いて知見や研究を共有したり、ネットワークをつくって現実的な研究課題に意見を求め合ったりするなどの積極的な自己啓発風土が生まれています。

 

大久保  

事務職にもそうした活性化は期待できますか。

 

平田  

営業やマーケティングの分野は特に期待しています。これまでは商習慣などの違いもあり、活動は事業内で完結していました。しかし一例を挙げれば、ガラス事業にも、化学品事業にも、電子・ディスプレイ事業にも、自動車業界をお客様とする部門がある。それぞれの営業戦略や顧客開拓スキル、人脈といった資産がスキルマップのネットワーク活動によって共有されることで、お客様に対する新たなアプローチが開拓されていく可能性がある。実際、ディスカッションは盛り上がっており、この先が楽しみです。

 

大久保  

技術が進化するように、営業スキルも進化する。身近な先輩から属人的にスキルを伝承するだけでは、進化の速度に追いつけません。

 

平田  

そうです。技術職にしろ事務職にしろ、自ら必要を感じて自己啓発するのはむしろ人として自然な姿。生産性や成果などに追われる日常業務とは別に、自分の技術やスキルの価値を実感できる場があるのはよいことだと思います。

 

大久保  

人材マネジメントの研究でも、人がエンパワーメントされるにはいくつかの要因があることがわかっています。「自分で選んだ仕事と思えるか」「社会に影響を与えているか」「意味のある仕事ができているか」といったことです。こうしたモチベーションにつながる要素がインフォーマルラーニング活動にはそろっているのでしょう。

 

     
未来予測ロゴ   コア人材育成で大切なのは、資質の発掘とチャンスの提供
     
大久保  

インフォーマルな活動から新たな技術開発やイノベーションが生まれるケースも非常に多いようです。御社のような開発スピードの速い事業形態では、創造型人材の育成も大きなテーマではないでしょうか。

 

平田  

ええ。ただ、シーズを事業に展開できる資質を持った人材はかなり限られます。人事としてはそうした人材を確実に見つけ出し、見つけたら早くチャンスを与えることが重要だと考えています。コア人材発掘のためのデータマネジメントは、人事の仕掛けとして既に始めています。全体的な教育プログラムや多面的評価のなかで育成することもできますが、資質のある人材の発掘にも力を入れていかないと、確率は上がりません。

 

大久保  

我々の調査では、企業で創造型人材が輩出される背景には、本流から外れた仕事をやり始めても寛容に放置してくれる上司の存在があったケースが、非常に多くありました。イノベーターを生み出すには風土の面も大切です。そうした風土の一例としても、インフォーマルラーニング活動は興味深いですね。

 

平田  

創造型人材は、多くの場合、組織のなかでははじかれてしまう。マネジメントが優等生集団育成に偏っているんですね。それはある意味しかたがないことですが、人事が適性についてしっかり目配りし、適材適所に配置していく仕組みを持たないといけないと思います。新卒採用についても、第一印象や単なる面接だけでそうした貴重な資質を備えた人材を排除しないよう心がけています。

(TEXT/荻原 美佳 PHOTO/刑部 友康)

 

     
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