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未来予測ロゴ   “公団”時代を知らない社員が既に1割
     
大久保  

御社の前身は日本道路公団ですね。2005年にスタートし、そろそろ企業としての体制が確立された頃だと思います。これまでに取り組んできた人事課題について教えてください。

 

萩原  

特殊法人から株式会社に変わり、成果や能力を重視する評価・報酬制度に移行しつつありますが、まだ十分とはいえません。人事・組織面でいちばん大きかったのは、高速道路の料金収受、交通管理、維持修繕、保全点検といった、それまで外部に発注していた仕事をすべて内部化したことです。そのために、19の子会社を立ち上げました。役員を含めた人事交流は活発で、2600人いる本体の社員のうち、そうしたグループ子会社に300人が派遣されています。

 

大久保  

人事制度は、統一されているのでしょうか。

 

萩原  

いいえ、まだです。それぞれの業務も設立経緯も異なりますので、短期間での統一はあえてしていません。関連会社も含めたグループ全体では1万4000人の社員がいますが、評価制度など、グループ全体の人事制度をどう変革・統一していくのかは、今後のグループ経営の大きな課題の1つです。

 

大久保  

人事制度の定着には、最低でも5年は必要でしょう。その場合、管理職クラスへの周知徹底が鍵を握ります。

 

萩原  

その通りです。目標管理制度を取り入れたのですが、最初の半年は管理職のみを対象としました。まず管理職自身が目標を設定し、それに従って仕事を行い、他者から評価されるというプロセスを経験させたのです。専門機関による研修も実施し、目標設定のやり方から評価の仕方まで、かなり綿密な教育を行いました。会社発足後に入ってきた新人が250人いますが、こうした人たちは道路公団時代のことを知りませんから、新しい制度を所与のものとして受け入れ、すんなり馴染んでいます。

 

大久保  

ところで、先の大震災では東日本の高速道路も大きな被害を受けました。

 

萩原  

はい。私どもが管理する道路は3600kmあるのですが、うち7割が一時通行止めになりました。段差が生じたり法面(のりめん)が崩落したりで、結局、870 kmが被災しました。甚大な被害でしたが、高い士気のもと、社員が昼夜を分かたず対応にあたり、2週間足らずで応急復旧にこぎつけることができました。

 

大久保  

すばやい対応でしたね。今回の震災では、会社によって復旧のスピードに差が出ましたが、現場重視の会社ほど、うまく対応していました。  

 

萩原  

当社社長の佐藤龍雄も、現場がすべての価値創造の源泉だ、と常に発信しています。道路建設から管理まで、当社ですべて担当していたこともすばやい復旧に役立ちました。設計がわかっていれば修繕もしやすいのです。

 

大久保  

グリーンフォーラムという日本経団連の研修事業で、2011年5月、御社や中日本高速道路の社員の方々を対象としたキャリア研修の講師をやらせていただきました。その時に、皆さんが異口同音に、「震災では、高速道路というインフラの社会的重要性を改めて認識した。今回のような、まさかのリスクに対応する部署をぜひ一度経験したい」とおっしゃっていたのが印象的でした。  

 

萩原  

心強いことです。本当に、あの震災は、自分たちが担っている社会的価値を再認識させられた出来事でもありました。

 

     
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