Column

Nguyen Dinh Phuc

在ベトナム日系企業向けに人材紹介を行うアイグローカル・リソース代表のNguyen Dinh Phuc(グエン・ディン・フク)氏は、日系企業がベトナム市場で成長するためには、戦略的な人事制度を構築する必要があると言う。どのタイミングに合わせて、どのような制度を用意する必要があるか、同氏がチェックリストを用いて解説する。

◆    有能な現地人材は、ミッションやビジョンを明確に掲げる企業への入社を望んでいる。

◆    人事制度の構築が会社の将来を決める、といっても過言ではない。

 


 ベトナムでの人事制度構築について

ベトナム計画投資省によると、2014年の日本からの新規投資件数(認可ベース)は298件となり、前年の291件から微増した。また、プログレス アンド パートナーズの調査では、2014年度第3四半期にASEAN9カ国で日系企業が「法人設立」「進出」「提携」したと判断できる活動は359件で、全体では前四半期より25件減少した。しかし、国別ではベトナムが最も多い87件で、全体の24%を占める。円安などの影響で日系企業の海外進出が減少する中、ベトナムは相対的に注目を集めている。
業種別にみると、ベトナムを生産拠点とみて進出する企業だけでなく、消費マーケットを狙った企業の進出が着実に増えている。進出分野は、現地で生産して販売する企業のほか、教育関係、商社、ITサービスとさまざまである。

これらの企業が、現地企業や多国籍企業との競争に打ち勝つためには、他社よりもよい人材を採用できるかどうかが非常に重要であることは言うまでもない。しかし、多くの日系現地法人は、人事制度が未整備であり、確立された人事制度の下で、人材採用、教育、評価ができているところは意外と少ない。本稿では、人事制度の構築が、採用を含むあらゆる経営管理の改善をもたらすことを述べ、人事制度の構築に対する意識を促したい。

採用時に、マネジメント能力をチェックする
私は仕事上、ベトナムに進出した日系企業から頻繁に人材紹介依頼を受けている。その際に、「どういう人を採用したいか」質問すると、「真面目」「素直」「几帳面」と回答する方が多い。そのような特徴を持った人材が、企業の成長のためにベストかどうか議論されないまま、日本人に合う人材に焦点を絞っているように感じる。また、日本語能力を重視している傾向も強い。日本語のできる人材は、語学があまり得意ではない日本人にとって助かることも分かる。しかし、日本語能力を重視しすぎて、マネジメント能力といったほかの能力をチェックせずに、将来の幹部として採用してしまうケースもある。

日系企業はとても真面目で、進出する前にいろいろな調査資料を入手して、ベトナムの人材マーケットについて検討しているケースも多い。しかし、そのような資料には、大まかなベトナム人の人物像と給与の幅が書かれているだけである。そのため現地人材を採用する際に、給与の低さに目がいきがちで、会社が必要としている人材の能力とは何であるかを議論せず、最低限必要な経験と給料の安さを優先してしまう企業もある。そういう企業はなかなか組織が安定せず、幹部社員も育てられないため、継続的な成長を果たせていないように見受けられる。

2015年03月30日