2014年度研究プロジェクト

「リーダー≒社会リーダー」という関係
この連載コラムでは、これまで課題関連行動「他人には描けない、大きなビジョンを描いてみたいと思う」と人間関連行動「喜んで自分についてきてくれる人がいる」の2つに「傾向有」と回答した人を「リーダー」と呼んできた。そして超進学校卒業生に占めるリーダーの割合を改めて確認すれば、その値は4割。ここでこのリーダーのうち、さらに価値創造行動「自分(たち)の仕事は、社会に新たな価値を生み出すものである」に「あてはまる」と回答した者を「社会リーダー」だとすれば、その比率はどれほどになるだろうか。

図2は、課題関連行動と人間関連行動を掛け合わせた4つの類型ごとに、価値創造行動の回答分布をみたものである。リーダーにあたるHigh-High型に際立った傾向があることがうかがえよう。「非常にあてはまる」の比率だけで5割弱。「ややあてはまる」の比率を足し合わせれば9割強。これまで「リーダー」と呼んできた者のほとんどが、「社会リーダー」でもあった、ということになる。

図2 リーダー指標4類型別にみた価値創造行動分布
図2 リーダー指標4類型別にみた価値創造行動分布

超進学校出身のリーダーは、大きなビジョンを描きたいと思っているだけでも、喜んでついてきてくれる人たちがいるだけでもない。仕事で新しい価値を生み出すという「成果」も残している。そして、「社会リーダー」に該当する人の比率を出せば、リーダー比率から若干落ちるも、「3割強」という値が算出される。「社会リーダー」として活躍しているのは、3人に1人。これが、データからうかがえる超進学校卒業生の実像である。

そして、灘卒業生の「社会リーダー」がどこに集中してみられるのかを探れば、とりわけ、そのほとんどが官僚を意味していると推測される「公務員」に多くいるということが明らかになる。公務員の社会リーダー比率は45.9%であり、全体平均より1割以上高い。考えてみれば、人びとの生活を支え、必要な政策を打ち出していく官僚の仕事は、社会リーダーの定義と重なるところが多い。したがって必然的な結果のようにもみえるが、いまの時代であっても公務員が筆頭だという事実、そして起業家の社会リーダー比率35.7%のほうが低いということに意外性を感じることもできよう。公務員になった卒業生たちは、新しい価値を生み出すことに成功できており、起業家はできていない。起業家たちを取り巻く環境には、いまだに厳しいところがあるということなのかもしれない。

なお、価値創造行動の回答分布だけをみれば、もっとも肯定的な回答を寄せたのは、研究者(文理)たちだった。「あてはまる」と答えた者の比率は94.4%。しかしながら研究者の場合、「喜んで自分についてきてくれる人がいる」で「傾向無」とする者も多く、それゆえ「社会リーダー」に相当する者の比率は3割にまで下がる。新しい知識の生産に自力で立ち向かっている研究者たちの姿が浮かび上がる分布になっている。

2015年03月31日