2014年度研究プロジェクト

リーダーが集中しているのはどの仕事か
では、どの仕事領域でリーダーが集中してみられるのか。次いで、この点について素描しておこう。

まず、現職別に課題行動・人間行動4類型の分布を示したものが、図3になる。起業家という仕事を選択した層におけるリーダー比率の高さが目立つ。課題行動と人間行動の両方を得意とすることと、自ら起業し、同志とともに目的に向かって突き進むということのあいだには、なるほど、強い親和性があるように思われる。唯一半数を超える56.3%という比率がみられることも合点がいく。

図3 現職とリーダー指標4類型分布
図3 現職とリーダー指標4類型分布

では、企業勤務の者に焦点をあて、その内実を探れば、どのような姿がみえてくるだろうか。業種別、企業規模別、担当業務別の分布を図4に示した。ここからは、(1)卸売・小売業、(2)大企業というより中堅企業、そして(3)企画を担当業務にしている者、にリーダーが多いことがわかる。

図4 企業に勤務する卒業生のリーダー指標4類型分布図4 企業に勤務する卒業生のリーダー指標4類型分布

開成・灘卒業生が勤める卸売・小売業といえば、そのほとんどが大手の商社である。そして誤解を恐れずに単純化すれば、「商社」は原材料や部品の調達先やメーカー、そして顧客をトータルにコーディネートする役割を担っており、他方で「企画」という担当業務は、市場調査にはじまり商品開発、営業・販売戦略を練り、広報にも目を配るなど、幅広い内容を扱っている。他部署と調整する場面も少なくない。そして「中堅企業」をめぐっては、スタッフ層が薄い組織では多くの活動がそれぞれ短時間でこなされ、上級職であってもさまざまな役割を担う傾向があるという示唆的な報告もある(H.ミンツバーグ『マネジャーの仕事』白桃書房,訳書1993年)。だとすれば総じて、幅広く、柔軟な仕事を担当するところにリーダーが集中しているといってよいだろう。見方を変えれば、リーダーとしての素質がある者が、自覚的なのか無自覚的なのか、幅広く、柔軟な仕事を担当するところを自らの職場に選んでいるということもできる。

そしてリーダーに該当する者が企業のなかでどのような役職についているかをみたものが、図5になる。役職があがるにつれてリーダー比率が高まっている様子が読み取れよう。企業は、開成・灘卒業生という有能な人材のなかでも、課題関連行動と人間関連行動に長けている者を重宝し、組織を率いるポジションへと押し上げている。ポジションとリーダーは同義ではないが、ここに両者のあいだの相関をみることができる。

図5 役職とリーダー指標4類型分布図5 役職とリーダー指標4類型分布
2015年03月03日