みんなが早く帰れる組織の「掟」夕方以降の電話は取り次がない、を徹底せよ/パーソルテンプスタッフ

 女性社員の割合が高く、7人に1人が労働時間に制約のある社員(以下「時短勤務者」)だというパーソルテンプスタッフは、2015年、時短勤務者だけを集めた「ダイバーシティ営業部(現・ダイバーシティ第2事業部)」を開設した。同部門を統括する安岡忍部長は、こう語る。
「時短勤務者は『同僚より短時間しか働けない』と引け目を感じ、補助的な役割に甘んじがちです。そこで、時短勤務者を集め、気兼ねなく活躍できるようにと考えたのが出発点でした」
派遣会社の営業職は夜間対応を求められる機会が多いため、同社では営業時間を19時までとしている。一方、ダイバーシティ営業部のメンバーは16~18時に退社。そこで、18時以降にかかってきた電話を社外のコンタクトセンターで受け、連絡があったことを各メンバーにメールで伝える仕組みにした。
「このやり方には、2つの利点がありました。まずは、電話を取り次ぐ手間がなくなり、業務効率化に役立ったこと。もう1つが、夕方以降の電話を他部門のメンバーが取らずに済むようになったことです(下図参照)」
夕方以降は電話を受けないことを社外に説明する際には勇気が必要だったと安岡氏。だが、日本全体で働き方改革が進んでいることが追い風となり、意外なほどスムーズに受け入れられたそうだ。また、この時間帯に入る電話の9割は社内からのもので、営業損失がほとんど発生しなかったこともわかった。
「対応時間が短くなった分、サービスの質を高めて補っているため、クレームなどはほとんどありません。また、当部門の営業成績は、他の営業部門を上回る水準。時短勤務でも十分な成果を上げられるとわかったため、同様の取り組みを他部門にも広げようとしています」

コンタクトセンターで外線電話を受けることが業務効率化につながるとわかったため、2016年12月からは、すべての時間帯でコンタクトセンターを利用することになった。

Text=白谷輝英Photo=平山諭

安岡忍氏
Yasuoka Shinobu パーソルテンプスタッフ 第三営業本部ダイバーシティ第2事業部 部長