全国就業実態パネル調査10年の軌跡

全国就業実態パネル調査は2016年にスタートし、2025年調査をもって10周年を迎えました。調査回答にご協力いただいている皆様に厚くお礼申し上げるとともに、JPSEDで明らかにしてきたこと、社会で果たしている役割、発信してきたレポート等をまとめました。

10周年記念コンテンツ

働き方の定点観測
—JPSEDで見る日本のトレンド—

JPSEDの時系列データを用いて、2015年からのトレンドを示し、4つの側面から日本の働き方を毎年定点観測するレポートです。日本における個人の働き方を可視化し、個人が生き生きと働き続けられる状態であるかどうかを評価することを目的としています。

コンテンツはこちら https://www.works-i.com/surveys/report/teikan2024.html

10周年記念レポート:10年の「働く」を解析する

過去10年間には、働き方改革や新型コロナウイルス感染症の拡大など、働き方に大きな影響を与える出来事がありました。働き方はどのように変化し、その変化によって、人は幸せになったのか。約5万人の同一個人を追跡調査してきたJPSEDの強みを生かし、働く人・働き方の変化と仕事満足度・生活満足度の変化の要因を解析します。

コンテンツはこちら https://www.works-i.com/surveys/report/jpsed10th.html

10周年記念シンポジウム動画
(オープニング/分析報告パート)
※後日公開予定

JPSED10周年の軌跡に
感謝を込めて

おかげさまで2025年、「全国就業実態パネル調査(JPSED)」は10周年を迎えることができました。継続的に調査にご協力いただいている皆様に、心より御礼申し上げます。この節目にあたり、JPSEDの立ち上げ背景と特徴を振り返るとともに、これまでの活用実績についてご報告いたします。

JPSEDは、働き方の実態と変化を継続的に可視化するために、2016年に開始された大規模なパネル調査です。同一個人を追跡するパネル調査は、継続的な変化の把握だけでなく、変化の要因や効果の分析に強みを持ち、政策評価や制度変更の効果検証、さらには経済・社会的ショックの影響分析において不可欠とされています。しかしながら、日本においては、こうした調査データの蓄積が十分とは言えない状態でした。

そのようななかで、必要とされる調査データを社会に届けるという強い思いのもと、JPSEDの設計を進めてきました。質の高いパネル調査の実現には困難が伴いましたが、JPSEDの理念にご賛同いただき、調査設計委員を快くお引き受けくださった統計や労働分野の有識者の先生方との協働体制により、議論を重ね、JPSEDを形にすることができました。JPSEDは大規模なパネル調査であることに加え、働き方を「量と質」の両側面で把握できる点、そして、日本の就業動向の縮図を捉えられる点など、他に類を見ない特徴を備えています。

データを囲い込まず、いち早く公開しているのは、より多くの方にご活用いただくことで、実態の解明が進むと考えているからです。これまでに、厚生労働省の「労働経済白書」、内閣府の「経済財政白書」、中小企業庁の「中小企業白書」、OECD(2018)の報告書など、政府機関による白書等で活用されてきました。また、東京大学社会科学研究所SSJデータアーカイブを通じて、2016年度から2024年度までの累計で7,000件近くの個票データの利用申請があり、JPSEDはさまざまな分野の学術研究に広く役立てられています。

日本の働き方は望ましい方向に向かっているのか。これからも継続的に、その実態と変化を定点観測していくことが求められます。私たちは今後も、質の高い調査を継続的に実施し、データを広く公開することで、日本の就業実態のさらなる解明に寄与してまいります。

リクルートワークス研究所
調査設計・解析センター長
萩原牧子

10年間で調査回答者から得られたライフイベントと仕事上の経験

JPSEDから作成された発行物一覧

JPSEDデータ集(2016~)

毎年の各設問について、主要属性ごとのクロス集計表をまとめたデータ集です

JPSEDコラム

「日本の働く」のさまざまなトピックスに関するデータ分析コラムをWEBサイトで公開しています。これまでに90本以上のコラムが公開されています。

働き方の定点観測(2025~)

「Works Index」と「定点観測 日本の働き方」を2025年に統合・リニューアル。よりシンプルな内容とし、2026年以降も毎年公表していきます。

JPSED.stat

JPSEDの主要項目について、ブラウザ上でどなたでも簡単に、属性別クロス集計をすることができるページです。

更新終了
Works Index(2015~2023)

JPSEDのデータから日本の働き方を5つの側面から可視化する指標を開発し、毎年レポートしていました。

更新終了
定点観測 日本の働き方

JPSEDと公的統計を併用し、日本の働き方の変化を時系列データで追いました。

【英語版書籍】
How the Pandemic Changed Work
in Japan

『仕事から見た「2020年」:結局、働き方は変わらなかったのか?』の英訳版です。

なぜ転職したいのに転職しないのか
-転職の“都市伝説”を検証する-

「ブランクが長い人や、転職回数が多い人は転職が難しいのか」といった転職にまつわる都市伝説の真偽について、分析しました。

副業のリアル 解禁ガイドライン

JPSEDによる副業者の実態と効果の検証に、解禁企業の実例や当時のルール整理を加え、企業向けの実践的なガイドラインを作成しました。

副業のリアル 受入れガイドライン

人手不足への有効策として「副業者の受け入れ」に着目し、JPSEDでわかる副業従事者の実態や、受け入れのポイント、企業事例などを紹介しました。

【書籍】仕事から見た「2020年」:
結局、働き方は変わらなかったのか?

コロナショックは日本の労働市場にどのような構造変化をもたらしたのか。有識者によるプロジェクトで働き方の変容などを多角的に分析し、書籍化しました。

コロナショックは日本の働き方を変えるのか
-全国就業実態パネル調査2021 臨時追跡調査-

コロナ禍での働き方・仕事や生活への変化を追跡するため、通常の1月の調査とは別に臨時調査を行い、分析結果をレポートしました。

職場のハラスメントを解析する

職場でのハラスメントの発生メカニズムと帰結について、JPSEDで検証しました。

データで見る日本のフリーランス

JPSED2019から、本業フリーランスのみを抽出して再集計した結果をもとにフリーランスの現状についてまとめ、視覚的に表現しました。

再雇用か、転職か、引退か
-「定年前後の働き方」を解析する-

定年前後のシニアの働き方をJPSEDで分析し、シニアが活躍する社会の実現に向けて、企業や個人は何をすればよいのかを考察しています。

どうすれば人は学ぶのか
-「社会人の学び」を解析する-

自ら学び行動をとっている人は雇用者の約3割しかいない、という調査結果を起点に、学ばない理由、学んだことの効果等について分析を行いました。

働き方改革の進捗と評価

2017年3月に政府が公表した「働き方改革実行計画」の各項目について、その進捗をJPSEDデータを用いて評価しています。

政府での活用

厚生労働省「労働経済白書」や内閣府「経済財政白書」などに掲載されています。
政府統計を補完できる信頼性の高いデータとして参照・活用されています。

東京大学社会科学研究所SSJデータアーカイブでのJPSEDデータ利用申請数

東京大学社会科学研究所SSJデータアーカイブにJPSEDの個票データを毎年寄託し、非常に多くの学生・研究者の皆様に、研究や教育の現場でご活用いただいています。2023年度には同研究所の寄託者表彰も受けました。
https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/infrastructure/prize/prize-depo/

東京大学社会科学研究所SSJデータアーカイブへの、
学生・研究者の方からのJPSEDデータ利用申請数

※東京大学社会科学研究所SSJデータアーカイブ
https://csrda.iss.u-tokyo.ac.jp/infrastructure/
大学等教育機関にご在籍の方は、学術・教育目的のご利用に限り、JPSEDの各年個票データを入手し、分析することができます。詳しくは上記URLにてご確認ください。