HR Tech Roundup  海外のHRテクノロジー最新ニュースインターンの給与が高い米国企業ランキング、1位のRobloxは約1万ドル、ほか

海外HR Techニュースリリースまとめ(2022年4月)

新卒者向けコミュニティサイトのHandshakeは、欧州の大手オンライン採用イベントプラットフォームのTalentspaceを買収した。イベント開催・管理機能を強化する狙いがある。
Glassdoor Economic Researchは、インターンの給与が高い米国企業の上位25社を発表した。テクノロジーや金融会社が上位を占め、月額基本給(中央値)は約6500~1万ドルであった。
フルリモートで働く従業員の採用や労務管理プラットフォームのRemoteが、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2などから3億ドルを資金調達した。女性管理職向け会員制コミュニティのChiefも、Googleの親会社Alphabetの投資ファンドなどから1億ドルの出資を受けた。

  • 【注目トピック】

    履歴書・面接不要のスキマバイト検索アプリ、企業の利用が増加

    空いた時間にすぐ働けるアルバイト検索アプリの企業による利用が欧米で増えている。代表的なスキマバイトのサービスとして、米国のInstawork、Wonolo、Gigpro、英国のStintなどがある。

    2016年に開設されたInstaworkは、主に飲食やサービス、倉庫作業などの数時間や数日の短期アルバイトの求人を掲載するアプリだが、掲載件数は、過去2年間で8倍に増加し、登録者数は100万人を超える。現在、米国とカナダの28の地域でサービスを提供している。求人は、経験がなくてもすぐに働けるエントリーレベルとスキルポジションの2種類がある。エントリーレベルは、スタジアムの売店や倉庫などの求人で、プロフィール・写真・社会保障番号を登録し、犯罪歴などの身元調査が行われるが10分程度で応募ができる。スキルポジションでは、詳しい職歴や資格の証明書や、前職におけるリファレンスチェックを登録し、仕事の知識を測るクイズに回答する。事前審査通過後、求人に応募できる。登録後は企業への履歴書の提出や、面接の必要はない。求職者はアプリで、求人の検索と応募、始業・終業時間の記録、給与の管理を行うことができる。スキマバイトのシフトは、登録者であれば友人や知人に代わってもらうこともできる。
    利用する企業は、管理画面から、募集情報の作成、募集状況の確認、応募者のプロフィール確認や採用判断、勤怠管理などを行う。シフトにキャンセルが発生した場合には、同じ地域に住む登録者に募集情報が自動配信される。Occupational Accident Insurance(労災保険)への加入、給与の支払いは、Instaworkが行う。

    2014年に開設されたWonoloは、飲食、サービス、倉庫、製造、イベントなどの求人を掲載し、登録者数は100万人を超える。求人の掲載件数は2021年12月時点で前年同月から88%増加した。Wonoloは、ギグワーカーとしての時間や場所に縛られない自由な働き方を実現しながら、福利厚生サービスを受けられるしくみを整えている。登録者は、フリーランサー向け医療保険プラットフォームのStride Healthなどを通じて、保険に割安で加入できる。また、一定の条件を満たせば、旅行や病気などで働けないときに利用できる有給休暇制度「FTO(フレックスタイムオフ)」がある。

    経済活動の再開が急速に進んだ米国では、飲食、小売、物流業などで人手不足が続いており、こういったスポットで人材を確保できるサービスの需要拡大が見込まれる。

  • 【M&A】

    Handshake、Talentspaceを買収

    学生や新卒者のコミュニティサイトのHandshakeは、欧州の大手オンライン採用イベントプラットフォームのTalentspaceを買収した。オンラインイベントサービスを強化し、欧州進出を加速させる狙いがある。Handshakeには、オンラインキャリアフェア、グループビデオチャット、求職者とのダイレクトメッセージ機能などがあり、2021年には、約5000のオンラインイベントが同サイト上で開催された。4年制大学、コミュニティカレッジ、ブートキャンプ、マイノリティ支援機関に通う学生や新卒者2100万人が登録し、Google、Nike、TargetなどのFortune 500企業、医療機関、非営利団体など65万以上の企業や組織が利用している。Talentspaceは、オンライン、対面、ハイブリッド型イベントの開催や管理機能を備え、AmazonやPorscheなどの企業や大学が、数千人規模のキャリアフェアやネットワーキングイベント、個別面接などのイベントの開催に利用している。(4月13日 PRNewswire)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/handshake-acquires-talentspace-to-expand-career-opportunity-for-european-jobseekers-301525052.html


    iCIMS、Candidate.IDを買収

    大手ATS(応募者追跡システム)のiCIMSは、採用マーケティング自動化ソフトウェアのCandidate.IDを買収した。Candidate.IDは、独自のリードスコアリング技術を備える。iCIMSの顧客企業は、どの候補者のエンゲージメントが高いかをリアルタイムで確認し、採用の対象を最適な候補者に絞ることができる。(3月29日 iCIMS)
    https://www.icims.com/company/newsroom/march29announcement/


    Checkr、Inflectionを買収

    身元照会プラットフォームのCheckrは、Inflectionを買収し、スモールビジネスに特化した同業のGoodHireを傘下に収めた。急成長する中小企業市場での事業の拡大を進める狙いがある。Uber、Instacart、Netflix、Adecco、Airbnb、Coinbaseなど数万社の企業がCheckrを利用している。(4月12日 PRNewswire)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/checkr-announces-acquisition-of-goodhire-301523758.html


    Malt、COMATCHを買収

    フリーランスの開発者、データサイエンティスト、デザイナー、プロジェクトマネジャーなどを対象とする欧州の大手タレントプラットフォームのMaltは、フリーランスの経営コンサルタントや業界専門家に特化した欧州コンサルタントマーケットプレイスのCOMATCHを買収した。これにより、対象分野を経営コンサルタントに拡大し、2024年までに取引額の10億ユーロ達成を目指す。Maltの登録フリーランサー数は、フランス、スペイン、ベルギー、オランダ、ドイツで約32万人。利用企業は、CAC40(ユーロネクスト・パリの上場企業上位40社)のうちの36社を含め、3万社。COMATCHの登録フリーランサー数は、120カ国で1万5000人を超える。(3月28日 COMATCH)
    https://www.comatch.com/press/malt-acquires-comatch/


    Adevinta、InfoJobs Brazilを売却

    15カ国で40ブランドのクラシファイド広告サイトを運営するAdevintaは、ブラジル最大の求人マーケットプレイスであるInfoJobs Brazilの株式の76.2%を、スペインのRedarborに売却した。Redarborは、南米25カ国で展開する大手求人求職サイトComputrabajoの主要株主でもある。ComputrabajoとInfoJobs Brazilの事業統合により、同地域におけるオンライン求人マーケットプレイスの地位を強化する狙いがある。Computrabajoの月間アクティブユーザー数は3500万人を超える。InfoJobs Brazil の月間平均ユニークユーザー数は1200万人で、4400万人以上の求職者が登録している。(3月30日 Adevinta)
    https://www.adevinta.es/press/regulatory-releases/adevinta-announces-sale-of-infojobs-brazil-to-redarbor

  • 【決算】

    Kanzhun、2021年第4四半期は、前年同期比69.1%の増収

    中国最大級の求人マッチングアプリ「BOSS直聘(BOSS Zhipin)」の運営会社であるKanzhunは、2021年第4四半期および通年決算を発表した。第4四半期の売上高は、前年同期比69.1%増の10億9070万元(1億7110万ドル)で、2億3310万元(3660万ドル)の純利益を計上した。売上高の内訳は、ネット求人サービスが同68.8%増の10億8200万元(1億6980万ドル)、その他サービス(主に求職者向けの付加価値サービス)が同112.2%増の870万元(140万ドル)となった。通年の売上高は、前年比119.0%増の42億5910万元(6億6840万ドル)で、内訳はネット求人サービスが同118.9%増の42億1900万元(6億6210万ドル)、その他サービスが同133.1%増の4010万元(630万ドル)となった。(3月23日 Kanzhun)
    https://www.globenewswire.com/news-release/2022/03/23/2408333/0/en/KANZHUN-LIMITED-Announces-Fourth-Quarter-and-Full-Year-2021-Financial-Results.html


    51job、2021年第4四半期は、前年同期比15.7%の増収

    中国の求人求職サイト「前程无忧(51job)」を運営する51job Inc. は、2021年第4四半期および通年決算を発表した。第4四半期の売上高は、前年同期比15.7%増の13億4520万元(2億1110万ドル)で、内訳はオンライン求人サービスが同12.0%増の6億1770万元(9690万ドル)、その他HR関連サービス(新卒採用、BPO、研修サービスなど)が同19.0%増の7億2750万元(1億1420万ドル)であった。通年の売上高は、前年比19.8%増の44億2040万元(6億9370万ドル)で、内訳はオンライン求人サービスが同11.6%増の23億9620万元(3億7600万ドル)、その他HR関連サービスが同31.3%増の20億2420万元(3億1760万ドル) となった。(3月31日 PRNewswire)
    https://www.prnewswire.com/news-releases/51job-inc-reports-fourth-quarter-and-fiscal-year-2021-financial-results-301514753.html 

  • 【調査】

    Glassdoor Economic Research、2022年インターンの給与が高い米国企業上位25社を発表

    Glassdoor Economic Researchは、現役または元インターンによる企業口コミサイトGlassdoorへの投稿をもとに、インターンの給与が高い米国企業の上位25社を発表した。
    最高額は、利用者が独自のゲームを制作・販売できるゲームプラットフォームのRobloxで、月額基本給の中央値は9667ドル。次点はUberとCapital Oneで両社とも8333ドルである。
    上位25社のランキングは下記の通りであるが、テクノロジーや金融など、新卒の採用が多い業種の企業が多くランクインしている。職種別では、ソフトウェアエンジニアリングやソフトウェア開発がテクノロジー企業の職種の60%を占める。インターンには、データサイエンスやエンジニアリング、財務分析、UX、機械学習などの技術職以外に、製品管理や、マーケティング、D&Iスペシャリストなどの職種もある。金融会社の職種は、アナリストが全体の3分の1、ソフトウェアエンジニアリングが3分の1を占める。残りはその他の専門職だった。

    順位 企業名(業種) 月給基本給の中央値
    1位  Roblox(テクノロジー) $9667
    2位  Uber(テクノロジー) $8333
     Capital One(金融) $8333
    4位  Salesforce(テクノロジー) $8167
    5位  Amazon(テクノロジー) $8000
     Meta(テクノロジー) $8000
     NVIDIA(テクノロジー) $8000
    8位  LinkedIn(テクノロジー) $7500
     HubSpot(テクノロジー) $7500
     Expedia Group(テクノロジー) $7500
    11位  Microsoft(テクノロジー) $7366
    12位  Oracle(テクノロジー) $7250
    13位  Bain & Company(コンサルティング) $7125
    14位  Deutsche Bank(金融) $7083
    15位  Apple(テクノロジー) $7000
     Intuit(テクノロジー) $7000
     Susquehanna International Group(金融) $7000
    18位  BlackRock(金融) $6917
    19位  eBay(テクノロジー) $6833
    20位  J.P. Morgan(金融) $6667
     Citi(金融) $6667
     PayPal(テクノロジー) $6667
     Palo Alto Networks(テクノロジー) $6667
    24位  American Express(金融) $6500
    25位  Google(テクノロジー) $6454

    (4月5日 Glassdoor)
    https://www.glassdoor.com/research/highest-paying-internships-2022/

  • 【資金調達】

    Remoteが、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2やAccelなどから3億ドルを資金調達。累計資金調達額は4億9500万ドル、企業評価額は約30億ドルに達した。フルリモートで働く従業員の採用や労務管理プラットフォームのRemoteは、60カ国以上に配置された専門家メンバーとともに、新規採用者のオンボーディング、給与計算、福利厚生などの管理ツールを提供する。GitLab、DoorDash、Loom、Paystackなどの企業が利用している。過去1年間でRemoteの年間経常収益(ARR)は13倍以上に増加した。

    https://www.globenewswire.com/news-release/2022/04/05/2416485/0/en/Remote-secures-300-million-Series-C-financing-to-power-global-employment.html

    Chiefが、Googleの親会社Alphabetの投資ファンドCapitalGなどから1億ドルを資金調達。資金は、プラットフォームのパーソナライズ機能の強化や新商品の開発に充てる。2019年に開設されたChiefは、女性管理職向け会員制コミュニティを運営しており、コミュニティ、サポートシステム、リーダーシップや影響力の強化に役立つインサイトを提供している。2022年1月までの1年間で、副社長やCレベルの幹部職に就く登録者数は2倍以上に増加した。同年4月現在、American Express、Nike、Google、Goldman Sachs、NASA、Pfizer、Apple、The New York Times、Delta Air Lines、Accenture、Chanel、Ford Motor Company、Netflix、IBM、Fidelity、Walmart、Marriott、Johnson & Johnson、Lockheed Martin、アスペン研究所、国境なき医師団、ハーバード大学、米司法省など、8500の企業や組織のシニアエグゼクティブ1万2000人以上が登録し、6万人が登録待ちである。

    https://www.businesswire.com/news/home/20220330005926/en/Chief-Secures-100-Million-in-Series-B-Funding-Bringing-Total-Valuation-to-1.1B

    HackerRankが、Randstad Innovation Fundやリクルートホールディングスなどから6000万ドルを資金調達。累計資金調達額は1億1500万ドルである。資金は、機械学習、ブロックチェーン、暗号などの新興分野における技術的スキルのスクリーニングと面接をサポートする「Developer Skills Platform」製品の拡充や、ソフトスキルのアセスメントの機能開発にも充てる。コード採用プラットフォームのHackerRankは、2800社超の企業に利用されており、1800万人の開発者が登録している。

    https://www.prnewswire.com/news-releases/hackerrank-raises-60-million-series-d-to-accelerate-the-worlds-innovation-301512548.html

    IntelyCareが、Janus Henderson Investorsなどから1億1500万ドルを資金調達。企業評価額は11億ドルに達した。資金は、新たな州への拠点の拡大や、AIベースのプラットフォームとデータサイエンス技術への投資に充てる。看護師向け勤務シフト検索アプリのIntelyCareは、AIで看護師と空きシフトのマッチングをする。医療機関は、プラットフォーム経由で看護師を募集し、シフトを管理する。空きシフトを即時に埋めることで、採用コストを削減し、スタッフの燃え尽き症候群を減らすことができる。登録者数は3万人を超え、2020年2月の資金調達以降、年間売上高は850%以上増加した。

    https://www.intelycare.com/newsroom/intelycare-secures-115-million-series-c-financing-led-by-janus-henderson-investors/

    WorkIndiaが、パーソルグループから資金調達。資金をもとに、パーソルが事業を展開する13の国と地域に商品販売網を拡大する。2015年に設立されたインドのブルーカラー向け求人サイトのWorkIndiaは、アルゴリズムとジオタギング技術で求人情報と求職者をマッチングする。不正求人を自動的に排除する独自のシステムを持ち、140万社以上の中小企業と2350万人の求職者がWorkIndiaのプラットフォームを利用している。

    https://www.businesswireindia.com/workindia-india-s-largest-blue-collar-recruitment-portal-bags-funding-from-persol-group-78209.html

TEXT=杉田真樹