働き方改革時代にマネジャーは何をすべきかマネジャーへのインタビュー 新しい時代のマネジメントはどうあるべきか(2)

メンバーに結果を出させるため、
徹底して時間をとる

マネジャーD さん

マネジャーとして、営業同行で行うティーチングやモニタリングには、特に時間をとりたいと思っている。営業同行については、重点クライアントに限らずに、かなりの頻度でおこなっている。営業成績をいつもモニタリングしているが、契約がとれていなければすぐに結果に出る。営業成績のデータをみて、いつ誰と同行するかを常に考えながら、メンバーに声をかけていく。

また、重点クライアントについては、あらかじめどう攻めていくかすり合わせをしている。これにはかなりの時間をとっている。部下への個別指導は、メンバーの教育という面もあるが、何よりメンバーに結果を出させるために行っているという側面が強い。営業としては、実際に営業成果が出ることが自信につながるので。

そのほかでも、普段の会話や、飲みに行ったり、喫煙所で話すなど、そういった部下との普段のコミュニケーションは意識的に行っている。そして、営業同行の合間の時間のコミュニケーションは何より重要。社内で時間をとって教えることと同時に、外で学ばせることを大事にしている。

仕事の勝ち筋がわかる
ように訓練をさせる

部長a さん

労働時間が長いマネジャーは、営業の勝ち筋がわかっていない。できるマネジャーは、営業で何か問題が生じたときに最短ルートで解決する方法をメンバーに指示できる。マネジャーについては、できる人ほど短い労働時間で高い成績を上げる。

逆にできないマネジャーは、試行錯誤を繰り返しているうちになんとなく数値はとれても、それが理論化できないものだから、ほかの機会でまた試行錯誤することになる。結果として、マネジャー自身もメンバーも労働時間が長くなってしまう。

そういったところは、本人の能力の問題やこれまでのキャリアでどういった経験をしてきているかも関係するが、本人が自覚して訓練することで伸びる部分もかなりあると思う。実際に、私も育成勉強会のようなものを部内で作って、育成している。具体的には、特定のミッションを達成するためにどういったアプローチをしていけばよいかマネジャーに考えさせ、それについて一緒に議論している。これをやると、実際にマネジャーの行動変化につながるなど、それなりの効果が出るという感覚がある。

業務に優先順位
付けをする

部長b さん

あたりまえかもしれないが、パフォーマンスが高いマネジャーは仕事の優先順位付けがうまい。業務には、時間をとって行うべきものと、最低限の時間で処理すべきものの2パターンがあって、それはどのマネジャーにも共通していえること。パフォーマンスが低いマネジャーは仕事の優先順位をつけずにあれもこれもとなって、結局時間だけかけて成果が上がらないということになりがち。

たとえば、営業について、できるマネジャーほど新規案件の獲得を戦略的に行っている。その代わり、受注後のお客さんへのフォローについては、最低限やればよいという認識をもっている。お客さんをフォローしても実際の数値にはそこまでつながってこないから。

部下への接し方でも違いがある。できるマネジャーほど、限られた時間のなかで、1対1のコーチングを熱心に行っている。一方、そうでないマネジャーは、グループ会を過度に行って時間を浪費するという状況になりやすい。営業の仕方ひとつとっても、全員に共通する要因よりも、メンバーそれぞれ固有の要因があって、それを指導していかなければ成績は上がらない。だから、1対1の指導こそが、マネジャーの行うべきことだと思っている。


PDF版 『働き方改革時代にマネジャーは何をすべきかー働き方改革の中間報告―』 はこちら