働き方改革時代にマネジャーは何をすべきか働き方の見直しにあたっては、マネジメントがカギに

働き方の見直しにあたっては、マネジメントがカギに

以上、実際に企業内部の現象をみても、労働時間の長さと営業社員の業績との間には正の相関があることがわかった。マクロ統計からみた通り、経済活動を営むにあたり、労働時間は最も基本的な投入要素である。そして、労働時間を縮減しつつ、経済活動への負の影響を抑制することは一般に考えられている以上に困難なことなのである。
しかし、マネジャーに関しては労働時間と業績との間に明確な関係はみてとれなかった。ここに、労働時間縮減と企業業績向上の両立に向けた大きなヒントが隠されているのではないか。

マネジャーの行動に関する調査を実施

マネジャーについては、なぜ労働時間が成果に直結しないのか。マネジャーの労働時間と業績との間にどのようなメカニズムが働いているのか。これらを調査するために、研究協力企業に対し、アンケート調査を行った。
このアンケートでは、マネジャーが実際にどのような行動をとっているのか、マネジャー本人に対して調査を行っている。営業担当部署の77名のマネジャーに対してアンケート調査を行い、その回収数は74名と、大半のアンケート対象マネジャーから回答を得ている。
アンケート調査の集計結果をみてみよう。本アンケート調査では、「平均的な一日において、それぞれの行動にどれくらいの時間をかけていますか。以下の分類ごとに、一日の労働時間を100としたうえで、おおよその割合をお答えください」という設問を用意したうえで、各行動の実施率を聞いている名のマネジャーに対して調査を行い、その回収数は74名分と、大半のアンケート対象マネジャーから回答を得られた。
調査の集計結果をみてみよう。本アンケート調査では、「平均的な一日において、それぞれの行動にどれくらいの時間をかけていますか。以下の分類ごとに、一日の労働時間を100としたうえで、おおよその割合をお答えください」という設問を用意し、各行動の実施率を聞いている。
マネジャーの行動は、研究協力企業との綿密なすり合わせのうえで9つに分けた。(図表10

図表10 マネジャーの行動
6-10-2.jpg

出典:人事アンケートをもとに筆者作成

マネジャーの各行動の平均実施率を算出したところ、それぞれに対して、業務時間のなかで一定の比率をかけていることがみてとれ、マネジャーの行動の要件定義が適切に行われていることが確認できる。(図表11

図表11 マネジャーの各行動の実施率

6-11-1.png

出典:人事アンケートをもとに筆者作成