宿泊業の「働き方改革」10のキーワードKeyword2 IT・テクノロジーの活用

IT 化、AIやロボットによる業務の代替を進め 効率化とサービス向上を実現

最新のテクノロジーを活用して情報伝達のスピードを高め、非効率な業務を機械化することによって、生産性向上とサービス向上が可能となる。
宿泊業はこれまで、他産業と比較して業務効率化の分野でIT 投資を十分に行ってこなかった。サービスが属人的に行われ、業務が可視化されてこなかったこと、「おもてなし」は人のサービスで実現するものだという思い込み、また、売上に直接つながらない部分は投資対効果が見えないため、十分に投資されないというケースが散見されていた。

労働集約型である宿泊業では、顧客接点から離れた付加価値の低い業務をIT化することにより、スタッフが付加価値の高い業務に専念でき、サービスの質の向上を実現できる。

先行的な取り組みをしている旅館では、業務の実態を調べたところ、顧客接点に最も時間を割き、付加価値を提供するべき接客スタッフの多くの業務時間が、情報連携のために館内を走り回ることに使われていたことがわかった。
人間であればミスにつながる作業を効率化できるだけでなく、コミュニケーションコストも低下し、本来行うべき、売上の拡大につながる付加価値の高い業務に集中することができる。IT テクノロジーの活用は、「働き方改革」のカギを握る。

Case Study1
鶴巻温泉 元湯 陣屋(神奈川県)

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元湯 陣屋では「陣屋コネクト」という統合システムを自社で製作し、予約管理、売上分析、会計処理、原価管理、アンケート分析などを一元管理し、旅館における業務のあらゆるロスを削減している。

例えば、売上、原価といった経営情報をタイムリーに経営者が確認できるようになることで、適切な手が打てるようになり、利益につながっている(料理原価率は導入前から8%低減)。
また、タブレット端末を活用し、顧客情報がタイムリーに全従業員にシェアされることで、情報連携の手間がなくなるとともに、均質なサービスの提供も可能になっている。