ジョブ・アサインメントの全貌ジョブ・アサインメントモデルの全貌(4) 仕上げ・検証

ステージD 仕上げ・検証

本コラムでは、これまでの3回に続いて、ジョブ・アサインメントモデルの詳細を解説する。図1のように、ジョブ・アサインメントモデルは「目標設定」「職務分担」「達成支援」「仕上げ・検証」の4つのステージからなる。前回のコラムでは、第3のステージである「達成支援」について解説した。このステージでは、マネジャーは、部下に委任した職務が順調に進展するようにさまざまな形で支援を実行する必要がある。今回はそれに続く最後のステージ「仕上げ・検証」の内容を解説する。なお、ジョブ・アサインメントモデルにおいては、行動の主体はマネジャーである。

図1) ジョブ・アサインメントモデル~ステージD 仕上げ・検証~

最終ステージとなる仕上げ・検証とは、「職務の完了を確認し、検証を行う」ことである。我々が考えるジョブ・アサインメントモデルにおいては、部下が職務を完遂したのを確認し、成果を適切に評価し、当該期の部下やマネジャー自身の行動を顧みることまでを実施して初めて、ジョブ・アサインメントの1サイクルが完結すると考える。

仕上げ・検証のステージも、他のステージと同様に2つのステップからなる。部下に職務を完遂させた上で、マネジャーがひと手間加えてアウトプットの価値を高める「仕上げ」のステップと、部下の成果を検証し、自身の一連の行動についても振り返る「検証」のステップだ。それぞれのステップにおける重要なポイントを4つずつ抽出している。

ここから、2つのステップとそのポイントについて詳しく見ていこう。

ステップ7 仕上げ

仕上げ・検証のステージの、第1のステップが「仕上げ」である。仕上げの定義と、このステップにおける重要なポイントについては図2を参照してほしい。ここでのゴールは、部下に、委任した職務を目標としている水準を達成するレベルで完遂させ、その職務のアウトプットの価値を最大化するとともに、完了した職務を適正に評価することである。

図2) ジョブ・アサインメントモデル~ステップ7 仕上げ~

仕上げのステップでポイントとなるのは、「完了確認」「加筆修正」「ディスクローズ」「質と効率の評価」である。以下に1つずつ解説していく。

ポイント1 完了確認:部下に職務をやり切らせて、達成感を持たせる

最初のポイントは「完了確認」である。これは、部下に職務をやり切らせ、その完了を確認し、部下に達成感を持たせることである。あくまで、部下本人に最後までやり切らせることが重要である。そのうえで、完遂したこと自体を褒め、ねぎらうことによって、部下に達成感を持たせることができる。
完了確認は、部下の仕事の効率という意味でも重要な意味を持つ。職務のなかには、どこまでやったら完了といえるかが、それをしている本人には見えにくい性質のものもある。すでに期待する水準を達成しているにもかかわらず、いつまでもその職務に取り組むのは非効率というものだ。このような場合に、その職務がゴールに達していることを告げてやるのも完了確認である。

ポイント2 加筆修正:アウトプットに対してひと手間加えて、受け取り手にとっての価値を高める

2つ目のポイントは「加筆修正」である。これは、部下が職務を完遂した時点で行う行動で、マネジャーがアドバイスや微調整などのひと手間を加えて、その職務のアウトプットの価値をより高めてやることを意味する。
どのような職務であっても、マネジャーが自らの経験を活かして、アウトプットの価値をほんの少しでも高める何らかのひと手間を施すことは可能であろう。これはもちろん顧客など受け取り手にとっての価値を高めることでもあるが、部下にとっても、職務のアウトプットのレベルをあげるために何をすればよいのかを学習するよい機会になる。必要以上の手出しは逆効果にもなるが、部下育成の観点からもこの加筆修正を上手に行う必要がある。

ポイント3 ディスクローズ:アウトプットを積極的に社内外に公開し、アピールする

3つ目のポイントは「ディスクローズ」である。これは、部下が創出した成果を、広く社内外へ知れ渡るように拡散してやることである。
部下の仕事を広くディスクローズすることによって、部下の存在やその能力が他部署や顧客の間に知られることになるのは、部下のモチベーションを向上させるのに、何よりも効果がある。また、こうした情報を組織内で"横展開"させることによって、よい仕事の進め方、工夫などのナレッジの共有や、当該職務についての知見というリソースがどこにあるかの共有も進むことになる。マネジャー自身のチームや課を超えたより広範囲への貢献という意味でも、成果を広くディスクローズすることが重要である。

ポイント4 質と効率の評価:完了した職務について、アウトプットの質と量及び効率を評価する

4つ目のポイントは「質と効率の評価」だ。これは、部下が完了した職務について適正に評価することである。
評価の際には、アウトプットの質に加えて効率面がどうであったかも確認する必要がある。なぜなら、より少ない時間で、質の高いアウトプットを生み出しているほうが当然評価されるべきであるからだ。効率を評価することによって、部下が生産性を意識しながら職務を進めるようになることを期待できる。
さらに大切なのは、部下が職務を進めるうえでの創意工夫や新しいやり方への挑戦を見落とさないことである。既存のやり方にとらわれない新しい取り組みを積極的に評価していけば、チーム内で、部下が自分でやり方を考える、工夫するといった行動が促進される。

ステップ8 検証

仕上げ・検証のステージの第2のステップが「検証」である。検証は、一連のジョブ・アサインメントの最後を締めくくるものであり、部下の成果を評価し、マネジャー自身の行動をも振り返ることで、次の期の改善へとつなげていくことをいう。検証の定義と、このステップにおける重要なポイントは図3にまとめたとおりである。

図3) ジョブ・アサインメントモデル~ステップ8 検証

このステップの目的は、マネジャー自身と部下の双方が、自らの職務の進め方、取り組みが本当に適切であったか、翌期以降に向けて変化させるべき行動は何なのかといった点について考え抜くことだ。その際のポイントとなる「反響フィードバック」「成果検証」「改善指導」「内省」の4つについて、順に解説する。

ポイント1 反響フィードバック:アウトプットのその後の発展や社内外での反響について本人に知らせる

第1のポイントは、「反響フィードバック」である。これは、部下が終わらせた職務のその後の発展や評判を、マネジャーが検知し、部下に伝えてやるという行動である。反響フィードバックには、仕上げのステップにおける「ディスクローズ」と同様に、部下の自信や満足感を高める効果がある。
特に、組織の規模が大きくなると、一つひとつの職務の、全体における役割や意義はとらえにくくなる。全体を俯瞰できるマネジャーの視点から、部下が終わらせた職務の、他部署などへの影響や組織全体とのつながり、その効果を伝えることで、部下は改めて自分の職務の意義について認識することができようになる。

ポイント2 成果検証:良い成果を出せた要因について本人に振り返らせて、検証する

第2のポイントは「成果検証」である。これは部下が良い成果を出したときに行うものである。成果がその時だけの一過性のもので終わるのを防ぎ、部下が継続的に高いパフォーマンスをあげられるようになるためには、良い成果が出せた要因を自覚し、それを再現していく必要がある。そのためには、何がその要因であるかを、部下自身が掘り下げて考えることが重要となる。
成果検証を行う際は、マネジャーは、部下が自身の行動について振り返ることを促し、部下がしっかり考えを深めて、整理できるように支援する役割を担う必要がある。

ポイント3 改善指導:成果が芳しくなかったときに、その原因を内省させ、次に向けた改善策を練る

第3のポイントは、「改善指導」である。「成果検証」と対になる行動で、部下の成果が芳しくなかった際に行う。改善指導においても、部下自身に自らの行動を振り返らせ、なぜ成果があがらなかったのかを深く考えさせることが重要である。経験を学びに変えて成長するためには、思うように事が運ばなかったときにも本人がしっかりと自分と向き合って内省する必要がある。
マネジャーは、「モニタリング」のステップなどを通じて、部下が思うような成果を出せなかった理由をおおよそ感じ取っているはずなので、改善すべき点をフィードバックし、部下の内省をより深いものにする支援をする必要がある。

ポイント4 内省:職務分担・達成支援フェーズを中心に、自身の方針や行動について振り返る

最後のポイントが「内省」である。これは、マネジャー自身が、自らの一連のジョブ・アサインメントについて振り返ることを意味している。自らのジョブ・アサインメントと、その結果としての一連の職務における成果、部下全員の成長の様子を改めて確認し、次の期に改善すべきことを明らかにする。これによって、次の期により高い目標への挑戦を可能にする準備ができたことになる。
特に、期中で多くの軌道修正を要した職務や、部下の職務を引き取らざるを得なかったケースについては、「職務分担」や「達成支援」のステージで自身の行動に迷いや不明瞭さがなかったかを入念に振り返ることが重要である。

以上がジョブ・アサインメントの最終ステージである「仕上げ・検証」の内容である。
これで、「目標設定」「職務分担」「達成支援」「仕上げ・検証」という、ジョブ・アサインメントモデルの全貌の解説が完了したことになる。

ジョブ・アサインメントモデルが、部下を預かり現場を支えるマネジャーが、より高い成果を上げるチームをつくりあげるための一助になれば幸いである。