マルチサイクル・デザインの時代 ~100年ライフのキャリアを考える~分析3 学習行動のつながりを探ってみた(5)

分析③-5

転機は、学習の宝庫。
学習を生んでも、学習から生まれてもいました。

仕事に向かう姿勢が大きく変わるような「転機」。6ページにあるように、そのような転機は「働く価値の再発見」「仕事以外の価値の発見」「新しいテーマの発見」という3つの変化をもたらします。学習行動は、転機とどのようなつながりがあるのでしょうか。転機と学習行動の関係を分析してみました。転機につながる学習行動もあるでしょうし、転機によって誘発される学習行動もあると考えられます。両方のつながりを見てみました。

まずは、転機につながる学習を見ていきましょう。内省型学習は、「働く価値の再発見」や、「仕事以外の価値の発見」をもたらしていました。確かに、このままのキャリアでよいのか、何か変えたほうがよいのではないか、といった自分の生き方を見つめるような内省型学習を経て、新たな価値観に触れたり仕事以外のことに対する関心を持ったりする経験は誰しも持っていることでしょう。また、学校型学習は「新しいテーマの発見」といった変化をもたらしています。新たな知識を獲得することで、転機につながる興味関心が生まれています。

転機によって誘発される学習を見てみましょう。「働く価値の再発見」「新しいテーマの発見」という変化は、学校型・対人型・内省型・経験型のすべての学習行動を促進していました。やはり、転機は学習と密接なつながりがありました。しかし、「仕事以外の価値の発見」という変化が起きると、学校型・経験型の学習行動は減る傾向にありました。仕事以外に関心が高まることによって、職場での仕事を通じた学びや体系だった学習をしなくなる、というのです。気持ちが目の前の仕事から離れ、別の活動に目が向いているのかもしれませんし、仕事以外のことに従事する時間が増えたことで、学習時間や機会が減っているのかもしれません。

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text:辰巳哲子
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版