マルチサイクル・デザインの時代 ~100年ライフのキャリアを考える~分析2 役割に虫眼鏡をあててみた(4)

分析②-4

典型的な2つの役割変化パターン。
それは、誰かが決めたこと? それとも自分で決めたこと?

多くの人は、どのような役割を担いながらキャリアを歩んでいるのでしょうか。分析の結果2つの典型的な役割変化のパターンがみつかりました。今回の調査の回答者のうちで、ステージ①からステージ⑤までを経験されている方を抽出して分析した結果です。少し具体的に説明すると、「あるステージで、特定の役割を担った人は、次のステージではどの役割に移行しやすいか」という役割が移る傾向について確認しました。そして、代表的な2つの役割変化パターンが浮かび上がってきたのです。

ステージ②までは同じサポーター→プレイヤーの役割を経験するのですが、ステージ③から役割が分岐していきます。一方は、プロフェッショナル→アドバイザー→リーダーと役割が変化します。プレイヤーから、高い成果を期待されるプロフェッショナルとなり、アドバイザーとして周囲を助け、それら周囲の人たちとともに率先してプロジェクトを推進するリーダーとなっていくことがこの特徴といえます。もう一方は、ステージ③から、フロントランナー→リーダー→マネジャーと役割が変遷します。こちらは、フロントランナーとして新しいテーマに挑戦して、リーダーとしてより大きなプロジェクトを推進し、マネジャーへと成長していくことがみてとれます。いずれも絵に描いたような素敵なキャリア・ストーリーです。

役割変化パターンからは、ステージの変化とともに役割も変化しており、連続したステージで同じ役割を担うことは少ないということがわかります。裏返せば、多くの人は、自身のキャリアにおいてステージが変わるとは、自分自身の役割が変わった時だと認識しているということです。つまり、自身の役割を主体的に設定することで、ステージ変化を自立的に起こすことができるということです。自身の役割をどうとらえるかが、マルチサイクル・デザインの基本だといえそうです。

text:津田郁
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版