マルチサイクル・デザインの時代 ~100年ライフのキャリアを考える~Introduction 「広げる×深める」で、キャリアを考える(7)

Introduction 7

キャリア展望を持っていること。
キャリア・オーナーシップの最重要ファクターです 。

「キャリア曲線を描く調査」の質問票の最後では、その人の現在の状態について尋ねています。尋ねたのは、以下の7つの項目でした。

◎キャリア展望(今後のキャリアの見通しや明るさ、未来への前向きさや自立心)
◎キャリア満足(これまでのキャリアへの満足度や納得感、自分らしさや自立性)
◎実践型学び(学びを実践の場につなげる意識、今後の自分に必要な学びの自覚)
◎創造型学び(学びを発信するようにする意識、対話を通して確認する意識)
◎体系型学び(体系立てて学びたいテーマの存在、学びを文章などにまとめる意識)
◎学び習慣(現在や将来に必要な知識やスキルを身につける意識)
◎しなやかマインドセット(知能の可変性の認識、チャレンジへの積極性)

この7つの項目は、マルチサイクル・デザインのカギになるものです。変化に富んだ時代に、自身のキャリアの主人公として、オーナーシップを持って、生き生きと働き続けるうえでのキーファクターです。「キャリア展望」は、その中核となるものでしょう。「キャリア満足」は「キャリア展望」を支える土台です。マルチサイクルに生きる=学び続けることが必要な時代においては、「実践型学び」「創造型学び」「体系型学び」「学び習慣」から構成される「学びスタイル」が確立していることがキャリア・オーナーシップを確かなものにするはずです。そして、変化に適応し自身が変わることに積極的な「しなやかマインドセット」を持っていることが、すべての基盤となります。

次のページから始まる分析編では、この7つの項目がしばしば登場します。特に、中核的な項目である 「キャリア展望」との関係が、随所で提示されます。着眼点は、 「キャリア曲線」「役割」「学習行動」「転機」「ファーストキャリア」の5つ。キャリア・オーナーシップを育むポイントが、きっと見えてくるはずです。

text:豊田義博
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版