マルチサイクル・デザインの時代 ~100年ライフのキャリアを考える~Introduction 「広げる×深める」で、キャリアを考える(6)

Introduction 6

それぞれのステージでは何が起きていたのか。
多面的にリサーチしました。

「キャリア曲線調査」は、キャリア曲線を描いてもらうワークシートに加えて、そのワークシートへの回答結果に沿った調査票にも回答してもらいました。その調査票の内容に簡単に触れておきましょう。まずは、各ステージの実態質問です。

そのステージでは、仕事の中でどんな役割を担っていたのかについて尋ねています。ステージごとに、担っている役割は変わっているはず。そして、役割の変化は、キャリア曲線の変化と密接に関係していると考えられます。

学習行動についても尋ねました。学ぶことは「広げる」「深める」のいずれにも必要です。キャリア曲線の変化と学習行動との間にも密接な関係があるはずです。学習行動は、研修を受けたり本を読んだりするような行動だけではなく、関係者との頻繁な対話や、試行錯誤を重ねることなど、広く仕事での課題解決行動について尋ねました。そうした行動から人は必ず学んでいるからです。

仕事以外の活動についても尋ねました。仕事以外の社会的役割を担うことは、ワークライフバランスの観点から望ましいことといわれていますが、質問の趣旨はそうではありません。仕事以外の活動をすることが、自身の価値観の変容をもたらし、サイクルシフトを促すのではないか、という仮説があるからです。

これ以外にも、仕事の内容や仕事のやり方の自己決定性、影響を受けた人との出会い、そのステージでの仕事レベルについても尋ねています。そして、ステージを通して「生き生きと働いていたか」を最後に訪ねています。私たちリクルートワークス研究所のミッションステートメントは「一人ひとりが生き生きと働ける次世代社会の創造」。一人ひとりが生き生きとしていたかどうかは、私たちにとってとても大切な問題なのです。

text:豊田義博
「マルチサイクル・デザインの時代」レポートPDF版