キャリアにオーナーシップを持っている社会

学校を卒業し、すぐに働き始める。最初に入った会社で定年まで勤め、それで職業人生を終える。そのようなキャリアが標準的であった時代は過去のものになっています。いい学校に学び、いい会社に入れば、安定した人生が約束される――といったモデルが機能していたのは昔の話です。これからの時代は、一人ひとりが、自らを見つめ、その人なりの、その人らしいキャリアを、自身の意思と行動で作り上げていくことが求められます。

自身のキャリアのオーナーは自分であることを、誰もが自覚し、実践していくことが問われます。それは、「みなと同じ生き方でなくてもいい」と一人ひとりが思うことから始まるのでしょう。幸せになるための「標準的な人生やキャリア」があるという幻想から、一人ひとりが解放されることが、自身のキャリアのオーナーとなる出発点です。

そして、一人ひとりがその人らしいキャリアを自身で構築していくためには、職業生活のスタートに至るまでのキャリア教育の質の向上、個々人の志向・適性や望ましい働き方の発見と気づきをサポートするキャリア支援の仕組みなどの整備が必要です。みなが大学に進学する、みなが一斉に就職活動に取り組む、みなが卒業と同時に就職するといった、キャリアスタート時の一律な社会規範やシステムを改めること、職業上の成功とは昇進・昇格していくことだ、働くのは定年までだという画一的で旧弊なキャリア思想や社会通念を、時代にふさわしいものへと改めていくことも必要でしょう。

一人ひとりがキャリアにオーナーシップを持っている社会を創造するために、私たちは、私たちの想い描く未来像を広く社会に届けていきます。