HR Technology 2019【Tech Stack Interview】ThoughtWorks マーカス・ソープ氏(TAグローバル責任者)

ThoughtWorksは、約20種類の採用テクノロジーを活用し、2,000人を採用している。マーカス・ソープ氏に同社のテックスタック(複数のテクノロジーを組み合わせて活用する)について語っていただいた。

【ThoughtWorks】アジャイルソフトウェア開発の草分け的存在であるグローバルIT企業。テクノロジー主導の変革を支援するコンサルティングサービスやオープンソースソフトウェア製品などを提供。1993年設立。世界14カ国、42カ所に拠点を持ち、従業員数は約6,000人。

インタビュアー=ジェリー・クリスピン TEXT=杉田 万起

新卒エンジニアをコード採用

Q ThoughtWorksのテックスタックについてですが、ATS(応募者追跡システム)やCRM(採用候補者管理)はどの製品を利用していますか?
Greenhouse
[1]を3年前に導入しました。レポーティング機能を除けば満足しています。最近この機能がアップデートされましたが、ThoughtWorksではそれ以前にレポーティング機能を自社で開発しました。Greenhouseは、CRMの機能も担っています。ただ、このプロスペクト機能には不満があるので、今後1年以内に別のCRM製品を導入するかもしれません。

Q ソーシング・採用マーケティングにはどの製品を利用していますか?
AmazingHiring
[2]です。Mixmax[3]の試験利用も最近始めました。この2つをメインに利用しています。その他、LinkedIn Recruiter[4]やHired[5]、Indeed[6]も利用しています。

Q エンゲージメント・人材供給パイプラインマネジメントにはどの製品を利用していますか?
利用していません。各リクルーターに任せています。パイプラインにリーチするためのビデオ面接といったシステムも使っていません。Greenhouseの機能が限られているので、それを補うため、多言語に対応しているRolePoint[7]といったリファラル採用支援ツールの導入を検討しています。弊社はグローバル企業なので、北京語とポルトガル語への対応が必須です。

Q 選考・アセスメントにはどの製品を利用していますか?
新卒採用のアセスメントにHackerRank[8]とHackerEarth[9]を利用しています。現在インドでHackerRankのテストパイロットを行っており、グローバル規模での利用を見込んでいます。より包括的なツールを求めてCodility[10]など多数の製品についても調べましたが、弊社にとって最適なベスト・オブ・ブリード型サービスであるこの2社を選択しました。近い将来、IT開発者の採用全体で利用を開始することを目標としています。

Q オンボーディングにはどの製品を利用していますか?
Workday
[11]を昨年導入し、現在準備中です。年内に利用の開始を見込んでいます。弊社のニーズを満たしてくれることを願っています。

約20のテクノロジーで2,000人を採用

Q テックスタックに含まれるアプリケーションの数はどのくらいですか?
11~20くらいだと思います。採用テクノロジーの年間予算は、約100万ドル台です。昨年、いくつかのツールの内製化も含めて、数多くの実験的取り組みを行いました。しかし、それらは特定の地域に限定されたものだったので、もっとグローバルかつホリスティックな視野を取り入れようと考えています。オペレーションチームのリーダーが現在、あるアセスメントサービスの導入を検討しているところです。
現在利用しているテクノロジーの中で、採用活動に最も大きなインパクトを与えている製品は、Greenhouseです。Greenhouseは、市場に出回っている多くのATSよりも優れていると私は思います。しかし、よりソーシングに特化したツールを取り入れたいと考えています。

Q 年間の採用人数を教えてください。
昨年は約1,500人でした。今年は2,000人の採用を予定しています。その採用に140人の従業員が取り組んでいます。インドと中国にいるチームが最大規模です。

ヒューマンコンタクトを重視

Q 採用プロセスの中で完全に自動化されているものはありますか?
完全に自動化されたものはないと思います。物理的には可能ですが、弊社で採用する職種や人材を考えると、完全に自動化されることは今後もないでしょう。大量採用を担当するリクルーターの業務負担を軽減するため、AIで応募者を優先順位の高い順にランク付けしています。テクニカルスキルのテストについても、HackerRankとHackerEarthを活用し、自動化を行っています。しかし応募者のスコアリングにテクノロジーを活用したとしても、スコアを確認し、場合によっては代替案を提示する人間の目が必要です。

Q 自動化されることはないと思うものはどれですか?
ThoughtWorksでは、人間が求職者にコンタクトし、なぜ弊社に転職したほうがいいのか、その魅力やストーリーを伝えています。他社との違いを求職者に売り込むヒューマンコンタクトが必要だと思います。弊社では、応募者の3分の1を、弊社への転職についてあまり考えたことがない完全な顕在層で占めることを目標としています。初回のアウトリーチとして弊社についてのマーケティング資料を彼らと共有し、その後に説得力のあるストーリーを伝える。この部分は今後も決して自動化されないことを願っています。

Q 5年以内にどのくらいの割合が自動化されると思いますか?
大量採用の職種は、自動化の余地が大きいと思います。AIで返信したり、事前に定めた条件をもとに求職者をふるい分けたり、次のステージへと進めさせたりすることができます。最初のスクリーニングの部分はすべて何らかの形で自動化することが可能でしょう。AIによるスクリーニングの通過者を動画面接で二次スクリーニングすることもできます。グローバルの採用市場全体で自動化される割合は、おそらく25%程度でしょう。

[1]Greenhouse:求人広告の作成からジョブボードやSNSへの求人掲載、採用プロセスの進捗管理、候補者管理、採用経路の分析レポートといった機能を備えるATS「Greenhouse Recruiting」などを提供。
[2]AmazingHiring50以上のSNSやプロフェッショナルコミュニケーションサイトに掲載されているIT系人材のプロフィールや連絡先情報を一括検索できる。
[3]Mixmax:メール編集システム。メール開封者の確認、メッセージのテンプレート、メール送信日時の予約、ワンクリックで会議などの日時調整ができる機能などを備える。メールの中にサーベイや投票アンケートなども埋め込むことができる。
[4]LinkedIn Recruiter:LinkedInによる企業の人事・採用責任者やスタッフィング会社向けの採用管理機能。全ユーザーのプロフィールの高度検索(役職、場所、スキル、社名、会社規模、出身校、卒業年、業種、社会人経験年数、現職勤続年数、過去の応募者、自社のフォロワー、転職活動に前向きといった細かいフィルタの設定が可能)と閲覧。求人広告のポスティング、つながりのないユーザーへのメッセージ「InMail」の送信(毎月150回まで)、採用候補者の管理などが可能。
[5]Hired:逆求人型のIT系採用プラットフォーム。求職者がサイトにスキルや経歴を含むプロフィールを登録すると、企業から給与額を含むオファーと面接への招待が届く。
[6]Indeed:ウェブ上のあらゆる求人情報をまとめて検索できるジョブボードアグリゲーター。
[7]RolePoint:リファラル採用プラットフォーム。Google の機械学習機能「Google Cloud Job Discovery」を活用しており、従業員は求人情報を簡単に検索できる。リクルーターが従業員へメッセージを送るたびにアルゴリズムが学習し、リファラル採用制度への参加を促すメッセージを作成する。従業員は自身が紹介した候補者の選考状況を定期的に受け取る。
[8]HackerRank:次世代のインテリジェントアセスメント技術を活用した、エンジニアやソフトウェア関連人材の採用プラットフォーム。35種類以上のプログラミング言語に対応したコーディングによるアセスメントテストを候補者に送り、スキルを客観的に測る。HackerRankがテスト結果を自動評価し、スコア化。候補者をランクづけする。企業はコーディング作業をリアルタイムにチェックし、同時に動画やチャットで候補者と交流することも可能。
[9]HackerEarth:オンラインテストやハッカソンでプログラマーのスキルを測る採用プラットフォーム。35種類以上のプログラミング言語に対応。 ビデオ面接機能「FaceCode」で面接中にリアルタイムにプログラミングスキルを測ることも可能。面接官は、面接後にフィードバックや評価を共有できる。60カ国以上のプログラマーに利用されている。2012年にインドで設立。
[10]Codility:コーディングスキルをオンラインテストで測るプログラマーの採用プラットフォーム。タスクのテンプレートをもとにテック面接を行う「CodeLive」サービスもある。プログラマー向けに、テスト本番などで実力を発揮できるよう練習用のコーディング課題を無料で提供。
[11]Workday:人事から採用、タレントマネジメント、ラーニング、労働力管理、給与計算管理、報酬管理までを網羅し、人材、労働力、コストを一目で把握できる統合型HCMクラウドシステムのプロバイダー。

Profile

マーカス・ソープ氏(Marcus Thorpe)
Global Head of Recruitment at ThoughtWorks
Google、Skype、Twitter、Amazonといった企業でStaffing ManagerやHead of Talent Acquisitionを務めたのち、2018年にThroughtWorksに転職。現在同社でGlobal Head of Recruitmentとして活躍する。