HR Technology Trendsジョブボード・アグリゲーター

オンライン上の求人情報を集約する検索エンジン

Job Board Aggregators
代表的なサービス

ジョブボード・アグリゲーターは、求人求職サイト、企業サイトの求人募集ページ、新聞社や協会のサイト、SNS、コンテンツサイト、公共職業安定所など、インターネット上に掲載されている何千ものサイトから求人情報を自動収集して1つのサイトに集約する。求職者は、勤務地、業種、職種、キーワードなどで、1つに集約された求人情報を一括検索できるという求人情報に特化した検索エンジンである。情報は、ウェブサイト、モバイルアプリ、ソーシャルネットワーク、ブログ、その他のウェブサイトのパートナーに提供している。

表面的にはジョブボードと酷似しているが、ジョブボードは、企業が求人情報の掲載料金を支払って掲載するのに対して、ジョブボード・アグリゲーターは、企業が自社サイトに掲載した求人情報を自動収集して無料で掲載するという違いがある。基本は無料であるが、ジョブボード・アグリゲーターのサイトの検索結果の上位に求人情報を表示させる有料サービスなどもある。

人事との関連性

グーグルやヤフーといった検索エンジンの利用者は多く、同じようにインターネット上にある多くの求人を1つのサイトで見たいという求職者には便利なサイトである。ジョブボードやSNSは数多くあるが、企業側も採用予算に限りがあり、すべてに求人広告を掲載することはできないため、いくつかのジョブボードに限定して掲載する企業も多い。ジョブボード・アグリゲーターはインターネット上を巡回するロボット型検索エンジン(クローラー)が自動的に求人情報を収集し、無料で求人を掲載できるため、他の手法と合わせて活用するとよい。

サービス例

  1. Indeed:世界最大級のアグリゲート型求人情報専門検索エンジンサイト
    世界中の企業の採用情報ページや求人求職サイトから情報を収集し、一括検索できる国際的なジョブボード・アグリゲーター。大規模なレジュメデータベースを持っており、企業や個人リクルーターなどが検索することもできる。

  2. Simply Hired:求職者の興味や、応募行動をフォローする検索エンジン
    大手のアグリゲート求人情報専門検索エンジンサイト。24カ国、12言語に対応する。求人掲示板、新聞や分類リスト、団体、ソーシャルネットワーク、コンテンツサイト、会社のキャリアサイトなど、何千ものサイトから求人リストを収集している。求職者は、業種、職種、勤務地、キーワードなどの基本的な検索が可能。検索した企業で働いている従業員とのつながりをSNSで確認できる。また、「環境に優しい」「犬好き」「ワーキングマザー」といった取り組みを重視した企業の検索サイト、インターンシップに特化した検索サイト、起業家が有能な人材を探すことに特化した起業家支援の検索サイトなどを提供する。

ビジネスモデル(課金形態)

  1. インターネット上の求人情報を自動的に収集し掲載する。企業は無料で求人を掲載できる
    企業は、自社の求人情報を検索結果の上位に表示させるための料金をサービス事業者に支払うグーグル検索と同じモデルである。クリック回数に応じて料金を計算するペイパークリック(PPC、Pay Per Click)方式、もしくはペイパーアプリケーション(PPA、Pay Per Application)方式で課金する。

  2. 企業が採用ブランドの宣伝広告料をサービス事業者に支払う
    求人広告の掲載に加えて、企業は採用ブランドを向上させるために自社のイメージ広告を有料で掲載できる。

今後の展望

ジョブボード・アグリゲーターは、ジョブボードと共存しているが、いずれはビジネス領域を拡大する可能性がある。また、このサービスが認知され、定着することで、企業は求人広告そのものが無料であるという価値観に変わることもあり得る。ジョブボードと同様に、技術の進展により新しい人材獲得方法などに置き換わるリスクはいつでもある。

グローバルセンター
村田弘美(センター長)
鴨志田ひかり(客員研究員)

HRテクノロジーマップ

※クリックすると拡大出所:TTL "Talent Acquisition Technology Ecosystem"を基に再分類し筆者作成(2016.10)

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