定点観測 日本の働き方パート時給(2019年7月版)

「定点観測 日本の働き方」最新値はこちら

厚生労働省「毎月勤労統計調査」を用い、短時間労働者(パート労働者)の時給を算出したところ、2018年のパート時給は1169円(前年比+2.4%)と前年から増加となった(図1)。最低賃金の引き上げによる政策効果、景況感の改善や人手不足による労働需給の逼迫化などから、2014年以降、パート労働者の時給は増加傾向にある。

リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用い、パート労働者の労働時間や時給がどのように変化しているかを分析してみよう。パート労働者の週労働時間の分布をみると、この3年間でパート労働者がふえるなかで、そのなかでも特に短時間の労働者が増えていることがわかる。すなわち、週10時間に満たないパート労働者が2015年から2018年にかけて130万人から158万人と3年間で+21.9%と増加しており、週1019時間のパート労働者も3年間で328万人から378万人(+15.1%)と増加している。

短時間労働者が大幅に増えるなか、時給の分布も大きく変化している。JPSEDを用い、時給制で働いている人の時給の分布をみると、時給が高い方向に分布が移っていることがわかる(図3)。2015年に109万人いた800円未満の時給で働く労働者は、2018年には32万人まで減少した。また、800円から900円未満の時給で働く人(221万人→186万人)も3年間で着実に減少している。一方、時給が900円から1000円(168万人→215万人)や1000円から1100円(103万人→155万人)で働く人が大幅に増えており、高い時給へのシフトが鮮明になっている。

人手不足や最低賃金の引き上げなどから、パート労働者の時給は着実に増加しており、待遇の改善から労働時間が相対的に短い人の労働参加が促進されている。パート労働者を取り巻く状況は着実に改善しているといえるだろう。

図1 パート労働者の時給
3-3-1.png

出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

図2 パート労働者の週労働時間
3-3-2.png

出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016~2019」

図3 時給制で働いている人の時給の分布
3-3-3.png

出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2016~2019」
注:いずれもxa19、xa18、xa17、xa16を用いたウエイト集計を行っている。

文責:坂本貴志(研究員・アナリスト)
「定点観測 日本の働き方」一覧へ戻る