定点観測 日本の働き方賃金(2020年11月版)

厚生労働省「毎月勤労統計調査」によると、2019年の名目の現金給与総額は387.4万円と前年比▲0.3%の微減となった(図1、図2)。実質の現金給与総額は、前年比▲0.9%と微減となった。パートタイム労働者など比較的賃金が低い層の増加によって、全体の賃金水準が下がった可能性が考えられる。

毎月勤労統計調査は、事業所が各従業員にどの程度の賃金を支払っているかを把握するものである。しかしながら、近年は、副業やフリーランスなど、従来とは異なる形態の働き方が注目を集めている。そこで、ここでは、リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)」を用い、個人側からの視点で収入を捕捉し、主な仕事からの収入、副業からの収入、仕事以外からの収入に分けたうえで、その推移を分析してみよう。

JPSEDをみると、主な仕事からの収入は2019年において330.2万円と対前年比▲0.2%の微減となった(図3)。副業からの収入も51.5万円と、対前年比で▲1.1%と微減している。仕事以外の収入は177.3万円と対前年比▲7.2%と減少した。新たに仕事を始めた人は比較的収入が低いことが多い。そのため、入職者や新規副業者の増加によって、全体の平均収入が微減したと考えられる。

一方、各種収入がある人の割合をみると、主な仕事からの収入がある人の割合は62.2%(対前年比+2.1%pt)、副業からの収入がある人は7.9%(対前年比+0.3%pt)、仕事以外からの収入がある人は43.1%(対前年比▲0.1%pt)とそれぞれ増加している(図4)。

収入を得る手段は、一つの仕事から得る給与に限らない。副業からの収入や、労働を伴わない収入をもち、かつその額が十分であることは、生活を営むうえで重要となる。働き方が多様化するなかで、従来の給与だけでなくそのほかの収入の側面からも、生活を営むうえでその額が十分かを見ていく必要がある。

図1 現金給与総額
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出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

図2 現金給与総額の対前年比の伸び
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出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」

図3 主な仕事からの収入、副業からの収入、仕事以外からの収入
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出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2017~2019」
注:それぞれの収入が0円である人を除いた平均値である。xa18、xa19、xa20を用いたウエイト集計を行っている。

図4 各種収入がある人の割合
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出出典:リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査(JPSED)2018~2020」
注:いずれもxa20、xa19、xa18を用いたウエイト集計を行っている。

文責:坂本貴志(研究員・アナリスト)
編集:リクルートワークス研究所
※2019年7月時点の本記事はこちら
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